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看護師の自己効力感を高める

今日は看護師の自己効力感が高められるような職場環境に関する取り組みについての研究発表を2つご紹介したいと思います。

全国的に病院における看護師不足率は11.5%(病院看護実態調査)であるにも関わらず、このコロナ禍で離職の増加が見られ、看護師がバーンアウトをおこさない取り組みが必要と考えられています。

看護師のバーンアウトは31.7%であり、医師の16.0%の約2倍となっていて、バーンアウトの予防が重要です。

バーンアウトには自己効力感と関連があるため、看護師への様々な自己効力感アップの取り組みが行われています。

山本(2022)らの研究では、看護師に対してサポーティブな声掛けを行うことで自己効力感を上げようとしました。

対象は看護師18名、男性8名、女性10名です。
経験年数は女性看護師の経験年数10年未満が10名中6名,男性看護師は8名中7名が10年以上となっていました。

自己効力感を上げる取り組みとして
「管理者を含めた看護師が、業務終了後に10分ほどサポーティブな言葉かけをする」
ということでした。

この取り組みの前後で自己効力感尺度を実施しています。

さて、その結果ですが、
『 認められているようでよかった』『コロナ禍で職場の人との話す機会がなく不安になることが多かった。取り組みで笑顔・会話が増えた感じがする』
とのコメントがみられるものの、
自己効力感尺度での点数の向上はなかったようです。

一方で、森(2020)らの研究では、新人看護師9名に対して認知行動療法を用いた自己効力感アップの研究を行いました。

プログラムは4回にわたり、自身を否定されない環境で自分や相手の強みを探すことや自分自身の成長を認めるなどの内容が行われていました。

この結果、自己効力感尺度の中の「行動の積極性」が高くなり、「日々の失敗や自分の短所に注目していたことに気づき,自分の能力に着目することで前向きな思考が生まれ,積極的な行動を引き出せたのではないか」と考察をしていました。

この2つの論文から分かるのは、単にサポーティブ的な言葉かけを行うだけではなく、自身の内面に目を向けてもらい、短所に注目するのではなく、できていることに注目することが自己効力感に影響していることがわかります。

他者に褒めてもらって自己効力感が上がる場合は、環境に依存した自己効力感アップになり、批判的な人が多い職場では一気に自己効力感が下がってしまいます。。

認知行動療法を用いた介入のように、
自身で自身の良い所を認めて自己効力感を上げていくことが重要であることがわかります。



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