見出し画像

ファンタスティックコント~人里に来たがる獣たち編~

① 迷子の質問

  人里離れた山奥で、幼い子供が迷子になりました。
 大きな熊に出会いました。
 熊は子供が住んで住んでいる町に、案内してくれました。
「どうして、道を知ってるの」
「よく町に遊びに行くんだ。脅かしちゃ悪いから、夜中だけなんだけどね」
 熊は子供の家まで、連れて行ってくれました。
「上がっていきなよ。熊さんの縫いぐるみがあるよ」
 熊は、バイバイと手を振りました。
「大人の人は怖いから帰るよ。じゃね」
 子供は首を傾げました。
「宅急便ですっていえば、大丈夫だよ」

 ② 熊さんに弁当を

 熊が人里に出てきました。
 弁当が置いてありました。食べました。
 お腹が痛くなりました。
 熊は慌てて山へ戻りました。
 地元の人が、熊が食べ残した弁当を手に取りました。
「下剤がきいたな。下痢止めがないと止まらない新薬だ」
 熊が山の中でぼやきました。
「あの弁当。きっと、消費期限切れだ」

③ 食いしん坊の猿

 猿が歩行者に時間を尋ねました。
「すみません。今、何時ですか」
「腹時計を持ってないのかい?」
「いつも三時なもので」

④ 猪が道場破り

 ちゃんこ鍋のにおいが、相撲部屋の前の通りに漂っていました。
 腹をすかした猪が、相撲部屋に道場破りに来ました。
 押しが得意でした。
 いざ、お相撲さんと勝負。
 猪は簡単に寄り切られました。
 さすがプロです。
 お相撲さんが猪を誘いました。
「食べていきなよ。猪鍋だ」

⑤ 鹿の角は元気だ

 鹿が理髪店に入ってきました。
「すみません。角切ってください。伸びすぎたもんで」
 理髪師が一言。
「うちに、のこぎりないよ。角、黒く染めてあげようか」

⑥ 地球に行きたい

 月のウサギさんが、ニンジンを買いに地球に行こうとしました。
 地球にジャンプしました。
 届きませんでした。
 地球からロケットが来ました。
 ウサギさんは、あわてて、ロケットに飛び移りました。
「よかった。これで地球に行けるよ」
 ロケットは、宇宙の中へ。
「なんで、地球にもどらなんだよ」
 運転室から、亀さんが、ふりかえりました」
「次は火星、次は火星」
 のんびりした声でした。  


いいなと思ったら応援しよう!

火山竜一  ( ひやま りゅういち )
サポートしていただき、ありがとうございます。笑って泣いて元気になれるような作品を投稿していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

この記事が参加している募集