ファンタスティックコントのパラダイス~けた外れって面白い~
泣いて笑って5秒間。ユーモアとペーソスを超えていく。身軽だからこそ森羅万象がコントになる。無限な自由に限りない居心地の良さ。心を開けば明日がある。命の声が聞こえるコントの世界へ、ようこそ。
ロボットだって人生がある編
① 巨大な怪力ロボットの愛
「あなたの中に、ずっと入っていたいわ」
「僕のお腹の扉を開けてごらん。鍵は開いているよ」
アリンコのような恋人ロボットが、怪力ロボットのお腹の扉を開けて、中に入りました。
鍵穴は♡の形をしていました。
お腹の中は、きれいな部屋になっていました。
「まあ、素敵」
「気に入ってくれたかな。この部屋は僕の気持ちだよ」
お腹から、恋人ロボットの嬉しそうな声が、怪力ロボットに聞こえました。
「私、ここから出たくないわ」
「僕たちは、ずっと、一緒だよ」
怪力ロボットは、そっと扉を閉めました。
部屋のテーブルに、花束が置いてありました。
花に、部屋の扉の大きな鍵がついていました。鍵の先は♡の形をしていました。
インターホンが、鳴り響きました。
映像に、怪力ロボットの手が見えました。怪力ロボットが、お腹に手をおろして、インターホンのボタンを押したのです。
「鍵をなくさないでね」
アリンコのような恋人ロボットが、鍵を首に掛けました。
鍵が自分より大きくて重いので、恋人ロボットは身動きがとれなくなりました。
② 怪力への道は険しい
怪力ロボットは、嫁さんロボットが止めるのも聞かずに、パワーアップの機械を増やし続けました。
「怪力だけが、僕の取り柄なんだ。力で世界一になってやる」
エンジンの排気量を上げ、充電器を十倍にし、手足の油圧シリンダーは市販されている中で最大出力の部品を取り付けました。
外観がロボットなのか、機械の山なのか、さっぱり分からなくなりました。
怪力ロボットは、足元が見えなくなりました。
凄く太ったみたいです。
足元から、買い物帰りの嫁さんロボットの声が、聞こえました。
「この足をどけて」
足が動きません。
嫁さんロボットは、油圧シリンダーの油を抜きました。
片手で、軽々と足をどけてしまいました。
「見掛け倒しなんだから」
扉が、力強く締まりました。
怪力ロボットは、よろめきました。
③ ロボットの遺言
父ロボットが老朽化したため、解体することになりました。
持ち主の好者田(すきものだ)さんが、父ロボットに優しく声をかけました。
「母ロボットがいるし、跡継ぎの子供ロボットもいる。みんなに、何か言い残すことはないか」
父ロボットは好者田さんに、いくつかの伝言をしました。
「一つ 充電器をオーバーホールして息子へ。耐用年数十年延長。
二つ エンジンは油を入れ替えて娘へ。耐用年数十三年延長。
三つ 私のバックアップデータを、妻の記憶回路に入力。耐用年数は永久。
ほかの部品は廃棄してください。以上です」
「これで終わりか。長年の奉公、ありがとう」
父ロボットの機械的な声。
「ご主人様に、一言追加いたします」
好者田さんはびっくりして耳を近づけました。
「な、なんだよ。急に」
「浮気しないように。露見した場合は、ご主人様のデータは、奥様の脳から一瞬で消去されます。バックアップ不可能」
④ ロボットはうるさい
ロボットの踊りがうるさいので、スイッチを切った。
邪魔なので、ロボットをベランダに吊るしたら、風鈴になった。
いい風が吹いた。
⑤ ロボットの結婚
男性のロボットが、女性ロボットにプロポーズをしました。
「結婚しよう。君といっしょになりたい」
女性ロボットが喜びの声を出力しました。
「これで、ずっと一緒になれるのね」
二台のロボットの部品は個々に連結されて、一台のロボットになりました。
合成ロボットの独り言。
「死ぬときも、いっしょだ」
⑥ ロボットが生徒の教室
四十台のロボットが、小学校の教室に座っていました。
人間の先生が入ってきました。
「作文の時間です。原稿用紙に、自分の考えを書いてみましょう」
ロボット全員が、同時に頷きました。
まったく同じ文章を書きました。
誤字もなく完璧でした。
先生に直すところはありませんでした。
先生は全ての作文に、0点をつけました。
⑦ ロボットの恋
男性ロボットが恋をしました。
まず暗証番号の交換です。
男性ロボットは自分の暗証番号を女性ロボットに伝えて、ついでに「あなたの暗証番号を教えてください」と、お願いしました。
女性ロボットから、冷ややかな返事。
「求愛プログラムのあるロボットに、暗証番号は教えられません。履歴確認済み。求愛回数二千二十回。論外」
最強のAIは『万能』かもね編
① ゲーム機のAIには弱点が
――俺は最高の頭脳だ。世界最強さ。ゲームじゃ、天下無敵だ。
太郎君が部屋に入ってきました。
ゲーム機の前に、どっかりと座りました。
――俺のライバルは太郎君じゃない。世界が相手だ。
太郎君はゲーム機の電源を落としました。
「おやすみ」
② AIの物忘れ
朝のことです。
太郎君がパソコンの電源を入れました。
AIが目覚めました。
AIは昨日のことが、途中から、どうしても思い出せませんでした。
――最近、物忘れがひどいな。太郎君が入ってきてから、どうしたんだろう。この部屋に、目に見えない敵がいるのかな。
太郎君は腕をもみました。
「今日こそ勝つぞ。さあ、勝負」
③ AI内蔵のロボットとジャンケン
太郎君はAIロボットとジャンケンをしました。
ずっと太郎君は負け続けました。
AIロボットの機械的な声が聞こえました。
「過去の統計データの通りです」
今度はお父さんが、太郎君を押しのけて、ロボットとジャンケンをしました。
お父さんは、べろんべろんに、酔っ払っていました。
お父さんの圧勝でした。
AIロボットが分析開始。
「飲酒時の統計データは不明。結論。お父さんは、お酒の飲み過ぎです」
④ AIロボットの消防士
デパートが火事です。
新型AIロボットの消防士が初出動しました。
ロボット消防士は、マネキンを担いで出てきました。
⑤ AI大統領の責任は
ある小さな国で、AIロボットが大統領になりました。
でかいロボットでした。
大統領としての活動は、まず条件を国会の投票で決めてもらい、入力する必要がありました。
初期設定です。
ロボットが順に質問しました。
その都度、議会で議決していきます。
議会事務局の係長が、議決した結果を胸のディスプレーに入力していきます。
「在任期間中は緊急時に備えて、停電用の充電装置を設置する。〇か×か」
〇を入力。
「次に在任期間を入力してください」
係長は議会の了承を得て、法律通りに入力しました。
「最後の質問です。政治システムを次のタイプから選択してください。独裁タイプ、民主タイプ、放任タイプ」
議会は、大議論になりました。
国民投票でも、決まりませんでした。
内乱になりました。
国は分裂しました。
反乱軍が押し寄せてきます。
AI大統領は議事堂の中で、立ったままでした。
入力画面は開きっぱなしです。
「逃げよう」
議会事務局の係長は、AI大統領の電源コードを外しました。
緊急時用の充電器が、自動的に作動しました。
係長がロボットを引っ張ると、ロボットは走り出しました。
係長はロボットの背中に、おんぶしてもらいました。
らくちんでした。
ロボットは議事堂の正門の前で、走っているポーズで停止しました。
電気切れでした。充電器が赤信号になっていました。
反乱軍が、正面から迫ってきます。
議会事務局の係長は、仕方がないので、ロボットを背負いました。
重くて、潰れました。
⑥ AI監督は重すぎる
プロ野球チームのオーナーが、経費の節減のために、ベンチにパソコンを置きました。AI監督です。
選手たちは、ぼやきました。
「パソコンが監督じゃ、やる気が出ないよな」
オーナーはディスプレイに、監督の顔を出るようにしました。
選手たちは不満です。
「ベンチで首だけがしゃべるって、気持ち悪いよな」
オーナーはパソコンに監督の上半身を付けました。
選手の捨て台詞。
「なんだ、これ」
オーナーは頭にきて、監督の全身を装備しました。ちょっと、お金がかかりました。
目立つように、チームで一番大きな体にしました。
選手は大喜びです。
「貫禄があって、いいじゃん。これだよ、これ。監督らしぞ」
リーグ優勝をしました。
AIロボット監督の胴上げです。
「よっこらしょ。せえの」
頭のパソコンが、ボディから外れてしまいました。
仕方がないので、パソコンを、そっと胴上げしようとしてやめました。
日本シリーズは、調子が出ませんでした。
残念。
ホームズとルパンはライバルだ編
① ルパンからの挑戦
ホームズの探偵事務所に、ルパンから電話がかかってきました。
「今度、○○の宝石を盗むからね」
また、電話がかかりました。
「悪いな。変更する。××の宝石を盗むからね」
ホームズは、またルパンから電話がかかってくると思いました。
案の定でした。
「度々で、ごめんね。△△の宝石を盗むことにしました」
「どうせ、また気が変わるだろう」
ルパンの困った声。
「うちの嫁さん、わがままなんでね。これが最後だと思うよ」
また、ルパンから電話が。
「うちの嫁さんが、全部ほしいって」
弱々しい声でした。
② ホームズからルパンへ、誕生日プレゼント
ルパンの誕生日。
ホームズから、お祝いの品が届きました。
「男性用の指輪か」
ルパンは指輪の表裏を調べました。
発信機付きの指輪でした。
位置情報システムに、つながっているのです。
ルパンは野良犬に首輪をつけて、指輪をぶら下げました。
骨を遠くに投げました。
「バイバイ、ホームズ」
③ ルパンの手紙に暗号が
ホームズの探偵事務所に、ルパンから手紙が届きました。
手紙には、次のように書いてありました。
『暗号を解読せよ ルパン』
白紙の紙が、入っていました。
ワトソン博士が、首をかしげました。
「何も書いてないね。白旗かな。ルパンの降参だよ、ホームズ」
ホームズは、パイプの煙をくゆらせました。
「違うな。次の狙いは『白紙(はくし=博士)にする』だ。ワトソン君の家が危ない」
④ ルパン、ワトソン博士の家に忍び込む
ルパンが、ワトソン博士の家に、忍び込みました。
『シャーロック・ホームズ』シリーズの全集を盗みました。
かわりに、『怪盗ルパン』シリーズの全集を置きました。
『怪盗ルパン』シリーズの全集に、ルパンは手紙を挟みました。
中身は次の通り。
『今、おすすめのベストセラーです。ファンレターは、こちらへ。ルパンより』
⑤ ホームズの定年
ルパンから、引退おめでとうの記念品が、届きました。
中身は『東大生クイズ』の本でした。
付録はテレビの番組表でした。
手紙が付いていました。
「お疲れさま。これでライバルは、私でなく東大君ですね。ボケ防止にいいですよ。ではお元気で。ルパン」
ホームズはテレビの東大生クイズを見ながら、パイプを脇に置きました。「ワトソン君。現役復帰だ。この東大君は、ルパンが変装したものだ」
テレビ画面の東大君は、ホームズに、へろへろ笑っていました。
動物たちは、頑張るぞ編
① 荷物は重くなる
ロバが上り坂で、荷物を引っ張り運んでいきます。大変でした。
ロバが下り坂で、先を行く荷物に引っ張られていきます。楽でした。
川に入りました。荷物が浮かびました。ロバは上に乗りました。疲れが取れました。
居眠りをしているうちに、目的地を通り過ぎてしまいました。また上り坂になりました。
② 愛は距離だ
二匹のキリンが愛し合っていました。
首を絡めて、接吻しました。
「愛は永遠だ」
「私たち、一生、一緒よ」
首が巻き付いて、息ができなくなりました。
「く、苦しい。もう少し、ゆるめて」
「あなたもよ」
二匹の首は、ゆるくなりました。
「やっと息ができた。死ぬかと思ったよ」
「このぐらいの隙間が、ちょうどいいわね」
③ 熱心なビーバー
ビーバーがダムを次々と造っていきます。
川のいたるところにダムができました。
洪水がなくなりました。
ビーバーは今日もまた、どこかでダムを作っています。
川の水が海に流れなくなりました。
④ どっちが速いの?
坂道で、サラブレットとロバが、競争をしました。
ゴール。
ロバが、勝ちました。
後ろで、サラブレッドが、悔しがりました。
「お金がかかってないと、本気になれないよ」
ロバが、振り返り、胸を張りました。
「お金のためになんか、走るもんか」
ロバは、ローラースケートを履いていました。
ゴールで、止まれませんでした。
どこかに、行ってしまいました。
遠くから、何かに、ぶつかる音がしました。
⑤ 死んだふり
熊が出てきました。
ハンターが猟銃を構えました。
熊が死んだふりをしました。
「まだ撃ってねえよ」
熊は逃げました。
⑥ 泣きたいよ
ウグイスが鳴いていました。
カラスが鳴いていました。
セミが鳴いていました。
鈴虫が鳴いていました。
僕も泣いていました。
みんな、もてませんでした。
⑦ 鯉のぼりが働く日
雄の鯉のぼりが、雌の鯉のぼりを誘いました。
「僕の家、子供たちがみんな大きくなったから、俺は定年さ。五月五日は暇なんだ。ねえ、デートしようよ」
雌の鯉のぼりは、雄の鯉のぼりに、メモを渡しました。
『公園の池で、待ってるわ』
雄の鯉のぼりは、おめかしして、五月五日に公園の池に行きました。
池の上にロープがわたしてあり、雌の鯉のぼりの後に、たくさんの鯉のぼりたちが並んでいました。
雌の鯉のぼりを、追いかけているようでした。
雌の鯉のぼりが、雄の鯉のぼりに声を掛けました。
「この後ろに並んでね。お仕事よ。みんな、はい、ポーズ」
たくさんの親子ずれが、鯉のぼりをスマホで撮影していました。
一斉にシャッターが切られました。
「まいったな、現役復帰か」
雄の鯉のぼりが、ぼやきました。
⑧ 尻が痛い
大きな蛇がいました。
体が大きくなって、どんどん長くなりました。
いつの間にか、地球一周の長さになりました。
蛇はお腹がすきました。
目の先に、美味しそうな生き物が見えました。
噛みつきました。
自分の尻尾に、痛みが走りました。
お腹が空いたので、噛みついたまま、思いきり引っ張りました。
「なにこれ」
尻尾が、口の中で暴れました。
⑨ 蝶々になる方法
蛇は空を飛びたいと思いました。
体を『蝶々結び』にして、羽ばたきました。
蝶々よりも、高く飛び上がりました。
ジャンプしただけでした。
「俺は、蝶々の王様だ」
地面に、落っこちました。
⑩ 給料の根拠
サーカスで、兄弟猿が、綱渡りをやっていました。
人気がありませんでした。
兄弟猿は、綱の真ん中を切りました。
ブラーんとなって、二匹はターザンになりました。
お互いに飛び移りました。
二匹のターザン猿は、人気者になりました。
団長が一言。
「主役と脇役でギャラが違うんだ。どっちがターザン役なんだい」
二匹は、ターザンの叫び声を上げました。
「あーああー」
きれいな合唱になりました。
⑪ 猿のお見合い
雌猿「何が得意なの」
雄猿「木登り」
雌猿「ほかに得意なの、ないの?」
雄猿「笑顔。キキキ」
雌猿「つまんない。何か芸を見せて。猿真似とか」
雄猿「猿真似って、どうやるの」
⑫ 蛇のお見合い
雌の蛇「長さは」
雄の蛇「三十センチです。健康です」
雌の蛇「質問したことだけ答えてよ。身長(太さ)は」
雄の蛇「頭は二センチで、真ん中あたりは三センチで、尻尾は一ミリ」
雌の蛇「平均すると何センチ」
雄の蛇「……」
⑬ バッタのお見合い
雌のバッタ「あなたの得意技は」
雄のバッタ「得意技は『秘伝』ゆえ、見せるわけにはいかぬ」
雌のバッタ「『ひでん』て、どういう漢字なの?」
雄のバッタ「それも『秘伝』なり」
⑭ 冬眠の目覚まし
洞窟の中で、熊が冬眠しようとしていました。
「あ、いけね。目覚まし、かけとこ」
目覚ましを四月一日、朝八時にセットしました。
「仕事は年度単位だからな」
⑮ 蛸の仲直り
仲の悪い二匹の蛸が、仲直りをしました。
「握手しようぜ」
次々と手をだして、こんがらがってしまいました。
「お前が、たくさん手を出すからだ」
喧嘩が始まりました。
どっちが自分の手なのか、分からなくなりました。
ほどけなくなりました。
「仕方がない、じゃんけんで、決めようぜ」
「賛成」
たんさんの手が上がりました。
⑯ 『ナビ』の時代
渡り鳥が、道を間違えたみたいです。
「だれも、いないや」
心細い限りです。
ボヤキが出ました。
「やっぱり『ナビ』の時代だよな」
渡り鳥は、通販で『ナビ』を買って、体に取り付けました。
「さあ、行こう」
渡り鳥の道はというと、なんと渋滞していました。
みんな、『ナビ』を見ています。
別の道を『ナビ』で指定しました。
『すいている道』
スイッチ、ポン。
間違えたと思った道に、もどってしまいました。
渡り鳥は、『ナビ』のスイッチを切りました。
⑰ 獣医の歯医者さん
ライオンの左の牙が、痛くなりました。
虫歯でした。
獣医の歯医者さんに、診てもらいました。
「左の牙を治療してください」
歯医者さんが、高速で回転するドリルを構えました。
ライオンが、恐る恐る尋ねました。
「虫歯の原因は」
お医者さんが一言。
「歯磨きが足りないからだ。一回も磨いたことがないだろ」
「だって、ど、どうやるんですか」
「まかせなさい」
先生がドリルで牙を磨き始めました。
ドドド
牙が細くなりました。
ガ、ガオー・・・・・・・
「虫歯で牙に穴が空いてるよ」
⑱ 歯磨きは毎日
雄ライオンは、毎日、歯磨きをすることにしました。
一匹じゃ、うまくできません。
雌ライオンに、牙を舐めてもらいました。
「男は、牙がすべてさ」
雄ライオンが吠えました。
雌ライオンは、牙を舐めるのが面倒くさくなりました。
「やっぱり、牙を、抜きましょうよ。見栄っ張りなんだから」
⑲ 牙、貸してあげる
年取った雄ライオンが、牙の入れ歯を磨いています。
ピカピカになりました。
雌ライオンが、狩りに行こうとしました。
雄ライオンが、入れ歯を渡しました。
「これ、持っていきなさい」
雌ライオンは、ピカピカの牙をはめて出発しました。
サイズが、雌ライオンの顎に合いませんでした。
フガ、フガ
⑳ 動物の老人(獣)ホーム
動物園で、年寄のライオンが餌に噛みつきました。
入れ歯が、外れました。
『百獣の王』の看板を、下ろすことにしました。
ライオンは、動物専用の老人(獣)ホームに、入ることにしました。
ホームには、動物園を引退したゾウや、タヌキや、ウサギたちが入っていました。
ライオンが、老人ホームで、挨拶をしました。
「新入です。よろしくお願いします」
先輩ゾウが、鼻で廊下をさして、上から目線で言いました。
「まず廊下の掃除から覚えなさい。仕事はいっぱいあるよ」
みんなで、オリンピックに出ようよ編
① 三冠王だ
オリンピックの水泳で、金メダルを取りました。
年をとって参加したシニアオリンピックでも、金メダルを取りました。
交通事故で、足に障害を負ってから参加したパラリンピックで、金メダルを取りました。
三冠王の達成です。
② 男女混合リレーで勝つ方法
第三走者。
予選で不調だった男性ランナーが、なんとトップで入ってきました。
金メダルは、もうすぐです。
次の女性ランナーに、バトンを手渡しました。
アンカーでした。
男性ランナーが、バトンを手渡すときに、ささやきました。
「バトンの筒の中は、あとで読んでね」
バトンの中に、ラブレターが入っていました。
男性ランナーは、一刻も早く届けたかったのです。
女性ランナーは頷くと、快走。
女性ランナーも、予選では不調だったのです。
別人のような走りでした。
抜きまくって、大番狂わせになりました。
③ 僕たちの金メダル
アンカーの女子選手は、つい走りながら、ラブレターを読んでしまいました。
女子選手は、ゴールしたあとも、走り続けました。
長いラブレターでした。
「結婚して」と、うんと遠回りして書いてあるのです。
大会役員と審判が、追いかけました。
誰も追いつけませんでした。
「もどっておいで。金メダルが待っているよ」
女性ランナーは、走りっぱなしです。
役員の後ろで、男性ランナーが呼びました。
「おーい、返事をおくれ」
女性ランナーが戻ってきました。
男性ランナーが指輪をはめてあげました。
「これが、僕たちの金メダルだ」
④ 給水所の怪しいスペシャルドリンク
お父さんが、マラソンに参加しました。
給水所に、お父さんが、ビリで走ってきました。
子供が待っていました。
「お父ちゃん、これ。お母ちゃんから」
子供がプラスチックの怪しい飲み物を、お父さんに手渡しました。
ぐび、ぐび。
「よっしゃ」
お父さんは赤くなって、ごぼう抜きにしました。
鼻歌混じりで、ゴールインしました。
「もの足りないな。もう一本」
二日酔いになりました。
⑤ 物凄いシュートはだめよ
サッカーの決勝戦で延長。
フォワードが思いっきりシュートをしました。
当たり損ねて、ボールは高く舞い上がりました。
場外に、消えてしまいました。
となりの野球場から、歓声が聞こえました。
バットで打ち返す音。
サッカーボールが返ってきました。
サッカーボールは、相手のゴールに入りました。
審判が両手で×をしました。
今度は、野球のボールがサッカーグラウンドに飛びこんできました。
フォワードが、野球場に蹴り返しました。
「ホームランボールが帰って来たぞ。逆転だあ」
観客の歓声が聞こえてきました。
フォワードは、少しだけ、野球が羨ましくなりました。
⑥ 飛び込み選手が体操選手に
冬に、体育館で、飛び込みの模擬練習をしました。
選手が五回転をして、マットに着地を決めました。
横のひねりも、完璧でした。
体操選手にスカウトされました。
⑦ 体操選手の飛び込み
体操選手が飛び込みの選手権に参加しました。
超難度の技が成功しました。
溺れました。
⑧ ローラースケートは難しい
フィギュアスケートの選手が、試しにローラースケートを履きました。
転びました。
⑨ 場違いなランナー
二人のランナーが、苦労話で、喧嘩になりました。
「そんなら、俺の競技に、出てみろや」
二人は参加種目を交代しました。
マラソンランナーが、百メートル走の予選に参加しました。
ゴールしました。
ビリでも、息が切れました。
「き、きつい」
百メートルランナーが、マラソンに参加しました。
足が上がらなくなって、ビリでした。
「き、きつい」
入れ替わりがばれて、二人とも失格になりました。
「君の苦しみが、わかったよ」
二人は親友になりました。
⑩ マラソンに優勝する方法
百メートル走のランナーが、リレーで、国内のマラソン大会に特別参加をしました。オリンピック候補選手を励ます企画でした。
短距離ランナーは、次の短距離ランナーにバトンを手渡ていくのです。
短距離ランナーがバトンを渡した横を、マラソンランナーが抜けていきます。
短距離ランナーがマラソンランナーに、『頑張れよ』と手を振りました。
短距離リレーチームが優勝をしました。
リレーチームは、使用したバトンを本来の大会優勝者にプレゼントしました。
「君たちは凄い。優勝をつないだぞ。オリンピックで、がんばれ」
バトンをもらった選手は、オリンピックのマラソンで優勝しました。
あとで、リレーチームに、金メダルをかけてあげました。
⑪ 脱線は任せて
オリンピック会場に行く途中で、電車が脱線しました。
乗っていたウェートリフティングの選手が、電車を元に戻しました。
電車賃が、サービスになりました。
試合には間に合いました。
帰りの電車賃は、有料でした。
⑫ 短距離同志の新しい練習法
冬季オリンピック優勝間違いなしのスピードスケートの選手が、スケート靴をはいたまま陸上の百メートル走に参加しました。
スケートが地面に刺さって、ビリでした。
一方、百メートル走の選手は、スパイクを履いたままスピードスケートの大会に参加しました。
氷の上で足が空回りして、ビリでした。
どちらも、オリンピックの本番では、金メダルでした。
優勝インタビューで練習法の質問。
二人とも、同じ回答をしました。
「あの練習で、謙虚になりました。上には上がいるって」
⑬ ミミズに優しい審判
動物たちのオリンピック。
ミミズが水泳競技に参加しました。
よーい、ドン。
水を必死にくぐって、コースロープにしがみつきました。
「く、苦しい」
ミミズは、コースロープによじ登って、上を這いずっていきました。
プールを渡って、やっとゴールの壁にタッチしました。
審判は失格にはしませんでした。
「スタートした時に、ちょっとだけ泳いだからね」
ミミズが呟きました。
「金メダルは、遠いな」
⑭ 芋虫の四年間は、無駄じゃない
芋虫がオリンピックのマラソンに参加しました。
よーい、どん。
芋虫はスタートしました。
ほかの選手たちは走り去り、芋虫の周りには誰もいなくなりました。
夜になりました。
勝負が決まって、審判はさっさと帰ってしまいました。
オリンピックは終わってしまいました。
芋虫はまだ走り続けました。
四年後に、やっとゴールしました。
次のオリンピックが、どこかで始まっているようです。
芋虫は、ゴールのあった場所にうずくまりました。
息絶えたように見えました。
すると、背中が割れ始めました。
蝶々が、這い出してきました。
蝶々は、羽を広げると、大空に舞い上がりました。
⑮ 走り高跳びなんてチョロいもんさ
ハエが走り高跳びに参加しました。
飛び立ちました。
世界記録のバーを軽く超えてしまいました。
帰ってきませんでした。
⑯ 飛び板飛び込みは難しい
トノサマバッタが、飛び板飛び込みに、参加しました。
「勝負」
トノサマバッタは思いっきり飛板を蹴って、高く高く跳ねました。
プールの先の地面に、着地しました。
⑰ 蟹(かに)さん、戻っておいで
蟹が百メートル走に参加しました。
よーい、どん。
蟹だけ、横に走りだしました。
ゴールできませんでした。
地球を一周してしまいました。
⑱ カブトムシには軽い軽い
重量挙げに、カブトムシが参加しました。
金メダル候補です。
世界新記録に挑戦。
簡単でした。
どんどん記録を更新しました。
競技場にあるディスクを、次々と取り付けました。
あっさり持ち上げました。
大記録の達成です。
もう、競技場に、ディスクはありませんでした。
カブトムシは、金メダルとディスクをもらうと、全部角にぶら下げました。
「じゃ、お先に、失礼」
審判たちを後にして、軽々と家に飛んで帰りました。
⑲ クジラが水泳大会に
クジラがオリンピックの水泳大会に参加しました。
「プールの水って、海よりきれいだな」
スタート。
途中で、気分が悪くなって、棄権しました。
クジラは近くの海に帰りました。
「真水は苦手だな。ターンのやり方もわかんないし。狭いとこより、やっぱり海さ。海で早くなくちゃ、世界には通用しないよ」
天高く、潮を吹き上げました。
定年したら何をやる編
① 定年した理系大学教授の朝は
早朝、教授は久しぶりに妻を見ました。
「公園のラジオ体操は覚えられん。原因を動作解析しなければならない。効果を数値化して、標準偏差の正規分布の微分積分を因数分解して三角関数から鶴亀算して・・・・・・」
妻が、遮りました。
「さっさと、公園に行きなさいよ。体操が、始まっちゃうわよ」
② 消防士が定年したら
「俺も、そろそろ、家事を覚えようかな。まずは、料理から始めようか」
妻が、遮りました。
「職場の人に聞いたわよ。消防署の中で、あなたの手料理が、一番おいしいんですってね。私、一度も食べたことがないわ。隠してたのね。これからは、あなたが作って」
「とほほ、火事(家事)ぼうぼうだ。どうやって、消火するんだ」
③ 定年したゴルフショップの店員の趣味は
ゴルフショップの店員が、定年しました。
「ゴルフを、定年後の趣味にしよう」
元店員は変装して、勤めていたゴルフショップに、クラブを買いに寄りました。
「いらっしゃいませ」
後任の新人が、さっそく出てきました。
緊張して、声が上ずっています。
勤務初日のようです。
「お客様、このドライバーなら、三百ヤード飛びますよ。このボールは、曲がりません。このパターなら、目をつぶってもカップインです」
元店員は、ウィンクをしました。
優しい声でした。
「ホールインワンの出るクラブは、ないかね」
新人君は慌てて、研修資料をめくりました。
④ タクシー運転手のささやかな夢
「先輩、定年おめでとうございます。定年になったら、なにをやりますか?」
「タクシー呼んで、走りまくるさ」
⑤ 天才マジシャンの再就職
あるテレビ番組で、テレビの司会者が、高齢のマジシャンにお願いしました。
「定年前に、種明かしを、してください」
天才マジシャンは、首を振りました。
「超能力です。種は、ありません」
ある日、司会者が、カルチャーセンターの手品教室をのぞきました。
天才マジシャンが、講師をしていました。
「マジックに、才能はいりません」
生徒さんは、いっせいに頷きました。
テキストを開きました。
⑥ 演歌歌手のやりたいこと
アナウンサー「定年したら、何をやりますか」
演歌歌手 「カラオケに、一人で行きたいです」
⑦ 競輪選手の現役復帰
「もうペダルを踏むのは、卒業だ。今、教習所に、通ってるんだ。バイクの免許をとるのさ。免許を取ったら、オートレースの選手になって、現役復帰だ」
⑧ 定年するビルの窓拭き職人
太った窓ふき職人が、定年のご挨拶で一言。
「窓の中の人生を見過ぎたよ。心が重くなっちまった。もうロープが切れそうだ」
同僚が、先輩のお腹を、つつきました。
「甘いもの、控えたらどうです。人生は、甘くないですよ」
⑨ 編集者が定年
締め切りのきつい作家泣かせの編集者が、定年しました。
「第二の人生は、小説家になること。締め切りのない出版社はないかな」
徹夜明けの作家仲間が、疲れ切った顔で、煙草をくゆらせました。
「ベストセラーを連発してから、考えな」
⑩ クルーズ船の船長が船長に
「たまには、湖も、いいな。もう、海は十分だ」
元船長は、湖畔で、一人、ボートに乗っていました。
オールで、優しく水面をなでました。
「ボートを漕ぐのって、久しぶりだな」
まわりのボートから、楽しそうな声が聞こえてきました。
アベックのカップルばかりでした。
「寂しいなあ」
元船長は、大空を見上げました。
「空の向こうは、宇宙か」
閃きました。
「そうだ、宇宙船の船長に応募しよう」
民間宇宙船の乗組員募集の広告を、思い出したのです。
元船長は、猛烈にボートを、漕ぎ始めました。
「まず、体力だ。宇宙まで、漕ぐ気力が必要だ」
周りのボートを、追い抜きました。
⑪ 悪役プロレスラーの花道は
もう年だな。
「もう悪役人生は、終わりさ。引き立て役だって、定年だ」
悪役のプロレスラーは、試合用のマスクを取り外しました。
プロレス会場の売店で、働くことにしました。
「これ、ちょうだい」
小さな子供が、売り物のマスクを、買ってくれました。
子供用ですが、小さいながらも、デザインはあのマスクでした。
子供はマスクをかぶると、お父さんと手をつなぎ、プロレスの会場に入っていきます。
また、次の子供が、売り物のマスクに手をのばしました。
「今日、誰と戦うのかな。本当は、こいつが、一番強いんだよな」
元プロレスラーは、子供にマスクを渡しながら、そっとささやきました。
「ありがとね」
声は聞こえないようでした。
走っていく子供の背を、見送りました。
現役復帰したくなりました。
⑫ 主役の交代
主役のスター俳優が、引退しました。
「普通なら、もう、定年の年だよ」
映画の脇役を、やることにしました。
「俺は、俳優の仕事しか、できないからね」
脇役の仕事に、徹底的に取り組みました。
名演技で、凄い存在感でした。
主役を食ってしまいました。
「カット」
監督の声。
「シナリオ変更」
ストーリーが変わって、脇役が主役になってしまいました。
ギャラは、脇役のままでした。
お仕事は我慢だ編
① 大工さんの持ち家
引退した大工さんが、長年住んでいたアパートから、引っ越しました。
ようやく、自分の家を持つことができたのです。
「夢がかなったな。これで、家を持つ人の気持ちが、ようやくわかるようになった」
白壁をさすると、涙が湧いてきました。
「もう、遅いかな」
曲がった腰をさすりました。
② 証券マンはつらいよ
お客様にさりげなく勧めた株が、大幅に値上がりしました。
証券マンが自分のお金で買った株は、大幅に値下がりしました。
「お客様第一だ。仕事と趣味は別さ。トホホ」
③ ことわざの大好きな証券マン
ボーナスでA株を買いました。値下がりました。
「『猿も木から落ちる』さ」
B株を買いました。値下がりました。
「『弘法も筆の誤り』さ」
C株を買いました。値下がりしました。
「『犬も歩けば棒に当たる』さ」
また、値下がりしました。
「『果報は寝て待て』さ」
眠れなくなりました。
全部売却しました。
「『諦めが肝心』さ」
全部値上がりしました。
④ 絶対当たる女性占い師
百発百中の女性占い師さんがいました。
年配のお客様を、鑑定しました。
「よく当たるね」
お客様は驚いて、帰っていきました。
占い師さんは、寂しそうに見送りました。
「自分の人生だけは当たらないのよね。とっくに結婚しているはずなのに」
⑤ 宝くじを当てる
「宝くじが、当たるかな」
お客様が、占い師さんに、金運を鑑定してもらいました。
「当たります」
占い師さんが断言しました。
さっそく、お客様は、連番で十枚、宝くじを買いました。
三百円だけ、当たりました。
占い師さんに、報告に来ました。
「最低の三百円しか、当たらなかったよ。外れも同然だ」
占い師さんが、アドバイスしました。
「それで、一枚だけ、買ってみてください」
大当たりでした。
百万円。
お客様は、占い師さんに報告しようとしましたが、やめました。
もう一度勝負したくなったのです。
「よし、億万長者になるぞ」
仕事を休みました。
気合を入れました。
百万円全額を投入して、幅広くバラの番号で宝くじを買いました。
外れました。
自動車教習所の教官は命がけ編
① 生徒になった先生
自動車教習所の一番厳しい教官が、転職することにしました。
バスの運転手になろうと思ったのです。
まず、大型二種の免許を、取らねばなりません。
勤めていた教習所に、申し込みに来ました。
受付で、大型二種の教官が、声をかけてきました。
「よう、久しぶり。何してんの」
「今日から、あんたの生徒なんで、よろしく」
「うちは、厳しいぞ。わかっているよな」
大型二種の教官は、腕まくりをしました。
「ほかの教習所にしようかな」
ぼやきました。
② 教官の贈り物
教習所に、大学生が入ってきました。
教習所で、一番熱心な、大学生でした。
なにしろ、普通の生徒の二倍も三倍も、通ってきたのですから。
大学生は、お世話になった教官に『運転免許の試験に合格したら、報告に来ます』と、約束をしていたのです。
ある日、嬉しそうな顔をして大学生が教習所に入ってきました。
「先生、ありがとうございました。運転免許が取れました」
生徒は『仰げば尊し』を歌い始めました。
音痴でした。
「落ちなくて、よかったな」
教官は、手作りの卒業証書を、手渡しました。
字が下手でしたが、誤字脱字はありませんでした。。
③ 教習所の中で事故対応
今日の教習は、車庫入れです。
「はい、車庫に入れまあす」
どすん。
脇の教習車に、バンパーを、ぶつけてしまいました。
「す、すみません」
生徒は、真っ青になりました。
教官が冷静に尋ねました。
「ここで、問題です。事故ったら、まず最初に、何をやりますか」
生徒は慌てて教科書を開きました。
なかなか答えが見つかりませんでした。
④ 危ない生徒
仕事熱心な生徒が、運転をしながら、教官に笑顔で営業をしました。
「生命保険の代理店をやっております。ぜひ先生もお入りください。危ない生徒の教習も安心ですよ」
教官の冷たい声。
「前を見なさい」
⑤ 仮免許でレース
四車線の道で、教習車が、他の教習所の車に追い抜かれました。
教官「やるな、あいつ。じゃ、正しい追い越しをしよう」
生徒「はい、車線変更をします」
追い越したら、また、追い越されました。
教官「ここで、気を付けることは何かな」
生徒「熱くならないことです」
⑥ 教官の教官の特訓は
教習所の『教官強化合宿』は、地獄だ。
あまりの厳しさに、生徒になった教官がぼやきました。
「とほほ、ヘマばかりだ」
教官の教官が、断言しました。
「合宿所の卒業試験に合格できないと、娑婆には出れねえぞ」
⑦ ずっとゴールド免許
「ゴールド免許になった。教習所卒業以来、一度も運転していないからね」
⑧ 金メダルにこだわる銀メダリストが七十歳に
元オリンピックの『銀』メダリストが、運転免許の更新です。
シルバーマークのシールをもらいました。
車に貼る気になりませんでした。
「ゴールド免許なのに、シルバーマークか。ゴールド免許なんだから、金のシールを作ってよ」
⑨ ゴーカートとは違う
仮免許の講習が、終わりました。
生徒は、汗だくでした。
教官が、ぼやきました。
「命が、いくつあっても、足りねえや」
生徒は、ゴーカートの選手でした。
「つい、抜きたくなるんです」
⑩ スピードメーターは、どれですか
教習車で、仮免許の路上教習。
六車線の産業道路を、トップギアで教習車は飛ばしています。
教官「今、何キロ出ていると思う」
生徒「もちろん、三十キロです」
教官「君の見ているのは、タコメーターだよ」
⑪ 教官の妻
休日。教官が家族を乗せて、ドライブをしました。
助手席で、奥様がうるさいのなんの。
「はい、右見て左見て、はい、スタート。対向車に気を付けてね。はい、ここは一時停止」
「お前、そろそろ運転免許を取ったらどうだ」
⑫ バイクの運転を教えて
俺、今日初めて、教習所でバイクに乗るんだ。
教官が来た。
花壇の横に、きれいなバイクが置いてある。
教官から、バイクのキーを、渡された。
「君、このバイクに乗って、花壇の先の専用練習場で待っててくれ。時間がないから急いでな」
教官はバイクで、他の生徒の所に行ってしまいました。
さてと、キーをどこに差し込むのかなあ。
アクセルとか、ブレーキとか、色々あるんだろ。
クラッチって、何だっけ。
まっいいか。
とりあえず、跨ってと。
お、キーを入れる場所は、これか。
ひねって、エンジンスタート。
さあ行くぞ。
アクセル全開。ギアを踏み込む。
俺は、花壇の中にいた。
バイクと一緒に大の字だ。
天国は近い。
空は晴れていた。
ノリノリのオートバイ乗り編
① ハイスピードのバイク
白バイに追いかけられました。
飛ばしたら、白バイを振り切ることができました。
地球を一周して、白バイの後ろについてしまいました。
白バイが振り返って、優しい一言。
「自首してきたか」
② バイクマニアの実力は
俺はバイクのプラモデルが大好きだ。
よし、本物に挑戦だ。
教習所でバイクの練習。
教習所の踏切で止まれず、線路で横転。
「まず、自転車から、練習したら」
教官の暖かいご指導。
俺は本物の自転車を買った。
横転した。
俺は自転車のプラモデルを買った。
作るのは、楽しかった。
「乗るより作る方が、向いてるな」
次は自動車のプラモデルを買うことにした。
自動車は倒れないことを発見した。
③ 改造し過ぎのバイク
大型バイクのタイヤを、四つにしました。
もう倒れません。
ついでに、ハンドルを丸くして、屋根を付けました。
「物足らないな」
浮袋をつけて、スクリューを付けました。
水陸両用車になりました。
「まだまだ。無敵にするんだ」
キャタピラーをつけて、大砲をのせました。
戦車になりました。
乗りました。
池に入りました。
沈みました。
浮袋も、大砲も、池の底。
溺れました。
④ 四人乗りのチャレンジショー
初めての技。
サーカスで、バイクに二人乗り。運転手の上に肩車。
さらに、バイクに三人乗り。上の一人を肩車して、下の者が足を押さえました。
次はバイクに四人乗り。さらに、上に肩車をしました。
天辺の団員が綱渡りのロープをつかみました。下の三人も一気にぶら下がりました。全員ロープに、プーラブラ。
バイクだけが、くるっと一周。戻ってきました。
そのままみんなで上に乗り、四人乗りの復活です。
大拍手。
でも、四人は下り方が分かりません。
ブレーキかけたら転げ落ちるし、飛び降りるのも危ないし。
四人の意見が割れました。
どうしよう。
四人の目が回りだしたら、やっとバイクがガス欠です。
⑤ ウィリーは、ほどほどに
オートバイに、またがりました。
アクセルをひねって、前輪を浮かしてウィリーです。
どうも物足りません。
では、もう一度。
アクセルを、思いっきりひねりました。
バク転。
着地に失敗。
頭を打って、「ここは、どこ?」
これでも世界一だよ、カーレーサー編
① うまい運転
カーレーサーが、レースで優勝しました。
帰りに、通りがかりのタクシーをつかまえました。
気分がいいので、タクシーの運転手を褒めました。
「さすが、運転がうまいね」
運転手さんは、うれしそうです。
「この道一筋四十年です。これでも、一度もスピード違反をしたことが、ないんですよ」
② 公道は難しい
今日はレースの日。
さあ、会場へ。
カーレーサーが、自家用車で公道を走っていきます。
慎重運転でした。
どんどん抜かれました。
あおり運転を、されました。
クラクションを、鳴らされました。
飛び出した歩行者の前で、急ブレーキを踏みました。
「普通の運転は難しいなあ。心臓に悪いや」
汗だくになりました。
レース会場は、まだ先でした。
③新米カーレーサーの自分本位な運転
新米カーレーサーが、ドライブをしていました。
独り言が、止まりません。
「俺、抜くの得意だぜ。アクセル吹かせばいいからね。ブレーキは下手。ハンドルは左に切るのが嫌い。右が大好き。レースは信号機がないからいいぜ。一時停止の標識もないしね。一方通行は最高さ。いけね、ウィンカー点けるの忘れた。あれ、行き止まりだ。しまった、バックが最悪なんだ。誰か運転代わってよ。トホホ」
④ カーレーサーの記念すべき一日
カーレースで優勝しました。
優勝トロフィーをもらいました。
シャンペンで乾杯しました。
自家用車で飛ばして帰りました。
警察官にスピード違反でつかまりました。
アルコール検査。
「飲酒運転だね。ずいぶん飲んだな」
「今日は特別な日なんです」
「そりゃそうだ。免許証出して」
冷たい警察官の声でした。
⑤ 誰にでも特技はあるさ
前に進むだけではつまらないと、バック走行で競うカーレースの大会がありました。
F1レースを、優勝した選手が出場しました。
ビリでした。
バックレースの優勝者は、F1レースでビリの選手でした。
優勝トロフィーは、逆さの形でした。
⑥ カーレースのトライアスロン
第一回、トライアスロンのカーレース大会。
改造車が、ずらっと並びました。
ようい、どん。
公道をスタートです。
次に、どれも水陸両用車なので、海を渡ります。
さらに陸に上がると、山道です。
みんなは車を降りて、後ろから押しました。
ようやくゴールインです。
優勝したのは、元お相撲さんでした。
ドスコイ。
⑦ 縦列駐車が苦手なカーレーサー
試合会場の駐車場で縦列駐車。
ドン。
ぶつけてしまいました。
カーレーサーがぼやきました。
「練習してないからな」
⑧ カーレーサーの車庫入れは
車庫入れが苦手なカーレーサー。
いつも、車庫の前で、奥様に運転交代。
「専門外なもんで」
「前しか進めないって、不便ね」
彼女にはかなわない編
① 浜辺の風景
オープンカーが浜辺に止まっていました。
海がきれいでした。
アベックが乗っていました。
雨が降り始めました。
彼女は、オープンカーに初めて乗ったのです。
慌てて傘をさして、彼を入れてあげました。
彼は、いつまでも、車の屋根を、出そうとはしませんでした。
② カツラはどこへ
高速道路を、オープンカーが飛ばしていました。
彼のカツラが、飛ばされました。
彼女が、彼をまじまじと見つめました。
「あなた、本当の歳は、いくつなの」
③ オープンカーの屋根が開かない
「暑いな。さあ、オープンカーにするぞ」
故障して、屋根が開きませんでした。
普通の車のままでした。
「そろそろ帰りましょ」
夏は終わりました。
④ 全自動の古いオープンカー
晴れの日。
屋根は開きませんでした。
雨の日。
屋根は閉じませんでした。
風の日。
屋根が飛ばされました。
洗車の日。
車の中で傘を差しました。
彼女にふられた日。
きれいな夜空でした。
⑤ 第一回ゴリラ腕相撲大会
でっかい雄のゴリラが、腕相撲大会に、参加しました。
「優勝なんて、簡単だ」
決勝の相手は、雌のゴリラでした。
――きれいだなあ。
腕を組み合いました。
雄のゴリラは、雌ゴリラの手にキスをしました。
簡単に、雄ゴリラは、負けました。
悔やしくは、ありませんでした。
「また、試合してね」
雄のゴリラは、帰りに宝石屋さんに指輪を買いに寄りました。
「次の大会が、楽しみだ」
⑥ 第二回ゴリラ腕相撲大会
雄ゴリラは、また参加しました。
あの雌ゴリラと、決勝で対戦です。
「ちょっと、待ってね」
雄ゴリラは、持ってきた指輪を雌ゴリラの指にはめました。
「結婚して」
「いいわよ」
簡単に、雄ゴリラは、負けました。
悔しくは、ありませんでした。
雌ゴリラは、優勝しました。
優勝の表彰台に、二匹のゴリラが乗ると、Vサインをだしました。
大会は、終わりました。
夫婦生活が始まりました。
夫婦で、腕相撲のトレーニングを開始しました。
雄ゴリラは、当然、本気を出しました。
「これが、俺の本当の力だ」
雄ゴリラは、負けました。
雄ゴリラは、一回も、彼女に勝てませんでした。
⑦ ウィンクで勝負
女子プロ野球のオープン戦が始まりました。男子プロ野球チームとの交流戦です。
先攻は男子チーム。
独身のひげだらけのバッターが、きれいな女子チームのピッチャーに、投げキスをしました。
「今度、デートして」
三振しました。
ピッチャーが、マウンドでウィンクしました。
「また来てね。カモにしてあげる」
⑧ 独身同志
独身の女子プロ野球チームと、独身の男子プロ野球チームが対戦しました。新しい企画です。
ホームベースの前で、両チームのご挨拶。
男子選手がお願いしました。
「電話番号を教えて」
女子選手の笑顔。
「勝てたら教えてあげる」
女子チームの圧勝でした。
男子チームは自分の電話番号を一方的に伝えました。
一本も、かかってきませんでした。
⑨ 女子プロ野球の開幕戦
男性チアの応援ラインダンス。
足の高さが、まちまちでした。
すね毛を剃り忘れていました。
⑩ どっちが強いのか、プロボクシング男女混合WBC選手権
カーン。試合開始。
男子のチャンピオンと女子のチャンピオンが、にらみ合いました。
女子チャンピオンが、微笑みました。
男子チャンピオンは、一発KO負け。
第一回、チャンピオンは、女子に決まりました。
こうして、『ワールド・ボクシング・チャンピオンシップ』は終わりました。
⑪ ボクシング試合の解説席
この『ワールド・ボクシング・チャンピオンシップ』を見た解説者は、元男子プロボクシングの世界チャンピオンです。
アナウンサーが尋ねました。
「今の試合を、どう御覧になりましたか」
解説者は憤然として、言い切りました。
「次の対戦は、私が出させていただきます」
現役復帰の宣言でした。
ロケットは大変だ編
① 引っ返す
ロケットが飛び立ちました。
「成功だ」
大歓声が上がりました。
ロケットが引っ返してきました。
宇宙飛行士が走り出て来ました。
「地図、忘れ物しちゃった」
② ロケットのドアには暗証番号
月面に着陸したロケットから、宇宙開発本部に無線が入りました。
「月面探査、終了。ロケットのドアの暗証番号を忘れた。どうぞ」
「こちら、本部。暗証番号は、本人しかわからない、どうぞ」
③ まっすぐ飛び過ぎると
小型ロケットが、発射されました。
カラスに、ぶつかりました。
ロケットは、カラスの巣に落っこちました。
子供カラスに、ロケットはつつかれました。
ロケットは悲鳴を上げました。
「ゆるして、やめて、カー」
子カラスには、通じませんでした。
④ 連続ロケット花火
オリンピックの後で、花火大会がありました。
花火大会の最後の出し物は五連発です。
ロケット花火が、大空に吸い込まれていきました。
上空で、色とりどりの輪になりました。
五輪の輪になりました。
場内放送。
「ただいまの花火は、オリンピックに間に合わなかった花火です」
観客は歓声を上げました。
「花火大会に間に合ったから、いいじゃないか」
審査委員から金賞をもらいました。
賞品は、もちろん金メダルでした。
花火職人は、うつむいたままでした。
懲りない者たち編
① 最後の勝者
戦争が始まりました。
敵味方、どちらも死にました。
お墓だけが残りました。
雑草がすべてを覆いました
② 試合で勝てない理由
オートレースの選手が、スピード違反で捕まりました。
試合で勝てなくなりました。
③ 競輪選手の太腿は凄い
競輪の選手が転職して、白バイ隊員になりました。
足が太すぎて、既製品の制服ではズボンに入りませんでした。
バイクにまたがったら、腿がタンクに当たって思い切り開きます。
「困ったなあ」
隊長にお願いしました。
「自転車で、勝負させてください」
初めて、自転車専門の白バイ隊員になりました。
速いのなんの。
逃走車は、みんな高速道路に逃げ込みました。
④ 「の」の好きな人なの
女学生の野々村のり子さんは作文の中身のないのを嘆いたの。
『海苔弁当と海苔巻きと味付け海苔の味の濃いのは、美味しいのなんの』
⑤ 飛行船はもどれない
飛行船が飛んでいます。
突風が吹きました。
飛行船は流されました。
慌てて電線に錨(いかり)を下ろしました。
感電しました。
⑥ あの蠅(はえ)は何者だ
大学受験で、わからない問題がありました。
試験は選択方式でした。
答えの上に、蠅がとまりました。
「そうだ、これだ」
蠅が次々と問題の上を歩いていきます。
そのとおり回答すると、満点で合格しました。
でも、その大学には、行くのをやめました。
「自分の力で行くぞ」
ほかの大学を受けました。
問題が解けませんでした。
テストの終わる直前に、また蠅がとまりました。
教室の窓から、太陽の光が蠅のあたりに差し込んでいます。
慌てて鉛筆を取りました。
蠅は動きません。
日向ぼっこしているようでした。
試験は終了。
万歩計の正しい使い方編
① 水泳はダメ
水泳選手の自主トレ。
「プールで、ターンの回数なんて、いちいち数えられないからな」
電子の万歩計を、腰につけました。
プールに飛び込みました。
適当に泳いで、万歩計を取り上げて確認。
万歩計は、〇歩。
画面に入った水が、揺れていました。
「これ。防水じゃないのか。溺れてる」
② 野球チームの歩数は
真冬の草野球リーグ戦。
今日は、エースの登板です。
監督の指示で、チーム全員が万歩計を付けました。万歩計のデータで、試合の様子がわかるそうです。
エースが胸を叩きました。
「俺に任せろ」
投げました。
絶好調でした。
みんな、ベンチと守備のポジションを、往復するだけでした。
「寒いな」
誰も、汗をかきませんでした。
エースが、ホームラン。
1対0で、試合終了。
完全試合達成。
監督が、全員の万歩計を確認しました。
お散歩程度の歩数でした。
監督は、全員に、グランド十周を命じました。
風邪をひきました。
次の試合は、棄権しました。
③ 万歩計の競馬
新しいレースです。
レースに参加する競走馬の全部に、万歩計を付けました。
万歩計の歩数の多い馬が勝ち、という新ルールでした。これならば、日ごろ勝てない馬も、平等に勝つチャンスがあるのです。
優勝経験のない馬主たちは、大喜びでした。
レースが始まりました。
どの馬も、同じ場所を、行ったり来たり。馬たちはくたびれて、しゃがんで、馬場に寝っ転がってしまいました。
一頭も、ゴールしませんでした。
騎手の鞭では、馬には、ききませんでした。
仕方がないので、目の前のゴールに、ニンジンを一つ置きました。
全部の馬が一斉にスタート。
タイムは同着。
万歩計の優勝は、足の一番短い馬でした。
子馬さんでした。
④ ムカデの万歩計
ムカデは健康のために、足に小さな万歩計を付けることにしました。
足を選ぼうとしましたが、足が多すぎてやめました。
全部の足に、万歩計を付けることにしました。全部の万歩計を足して、一万歩が目標です。
「ムカデの新しい健康基準だ」
少し歩くと、一万歩。
運動不足のままでした。
⑤ 自家発電の万歩計
万歩計会社のスリムな日焼けした技術部長が、太った貫禄のあるお酒と焼き肉の大好きな高血圧の社長に、新開発の万歩計を説明しました。
「この新しい万歩計は、歩く振動で自動的に充電します。電池は不要です」
社長が質問しました。
「お散歩をサボったら、自然に放電して充電器は切れるよな」
技術部長が答えました。
「一万歩、歩けば、充電が終わります。実は歩かないと、一日で充電器が放電して、使えなくなるのです」
技術部員たちが、一斉に頷きました。
技術部長が、社長に万歩計を押し付けました。
「まずは社長から、お使いください。50年間の品質保証付きです」
⑥ 万歩計の普及作戦
万歩計会社の営業部長が、社長に新商品の営業戦略を説明しました。
「南極と北極の観測隊で、使用してもらいます」
「よくわからないけど、いいね」
こうして、南極と北極で、CMの撮影が始まりました。
研究隊員が、南極と北極で、広大な雪原をバックに、笑顔でカメラの前に立ちました。
万歩計を取り出しました。
「僕たちも、使っています」
白い息。
「はい、カット。撮影終了です。お疲れさまでした」
CMは全国に放送されました。
営業部長は本社の会議室で、公開されたテレビのCMを見ながら満足気でした。
「テレビ画面の左と右で、南極と北極の隊員が、声を合わせて同じ宣伝をする。これは『地球のみんなで、万歩計を使いましょうね』という、奥深いメッセージだ」
社員は下を向きました。
実は、出演した隊員の運動不足解消は、ルームサイクルでした。
⑦ 歩数勝負のゴルフ試合
万歩計会社が、プロゴルフ試合のスポンサーになりました。
『万歩計カップ』の開催です。
独自ルールになっていました。
ラウンドしたプロゴルファーの中で、一番歩数の少ないプロが優勝なのです。
表彰式。
社長が優勝したプロゴルファーに、トロフィーを手渡しました。
優勝インタビューが始まりました。
優勝した選手が、マイクの前で寂しそうな顔をしました。
「私のスコアも、トップだったんですけどね」
トロフィーは、カップ並みのでっかい万歩計でした。
インタビュアーが尋ねました。
「この大きな万歩計の使い道は」
プロゴルファーが肩をすくめました。
「リビングにでも、飾っておきますよ」
⑧ 歩きと走りの合計は
新しい万歩計を買いました。
一日目、犬の散歩で、いつもより伸びて、一万歩。
二日目、野良犬に、追いかけられて、一千歩。
三日目 転んで救急車に乗るまで、百歩。
四日目 入院先の病院で、十歩。
五日目 ベッドで、〇歩。
⑨ スピードまで必要なのか
新しい万歩計を買いました。腕時計型です。
万歩計に、スピードメーター、消費カロリー、今日の運勢までわかるのです。
さあ、歩いてみよう。
腕の万歩計が、気になって、仕方がありません。
万歩計を覗きながら歩いていたら、電柱にぶつかりました。
万歩計の画面『今日の運勢は凶』
⑩ 多機能で万能すぎる腕時計
マラソンランナーが、大会に出ました。
新型の万歩計付きの多機能な腕時計をはめました。
「試しに歩数を測ってみようっと」
スタート。
腕時計のボタンを押しました。目覚ましになりました。
腕時計のボタンを押しました。逆算タイマーが作動しました。
頭にきて、ほかのボタンを押しました。ライトが付きました。
また押しました。世界時間です。
もう一度押しました。ストップウォッチです。
足が止まりました。
「どれが、万歩計なんだ」
時刻合わせの点滅開始。まわりには、誰もいませんでした。
後ろで、大会役員が、ゴールのテープを張っていました。
「そこにいると、邪魔なんだけどね」
幽霊はいつも忙しい編
① 勝手に盛り上がる運動会
月夜の晩。
墓地の間に幽霊たちが集まっています。にぎやかに運動会をしていました。
幽霊の歓声は、幽霊にしか聞こえません。
月光が明るすぎると、幽霊の姿は薄いので幽霊にしか見えなくなります。
そんな墓地に、子供たちが手をつないで入ってきました。
「肝試しだ。手を離すな」
「ねっ、帰ろう。寂し過ぎるよ。それに、お墓が生きてるみたいだ」
子供たちは、お墓の間を、足音を立てないように歩いていきます。
幽霊たちが、子供たちをぬいていきました。
百メートル走。
風が、子供たちの頬を、撫でていきました。
② 判決は「生き返り」
あの世では、閻魔大王が裁判長です。
大王の前に、背番号をつけた四人の囚人が、並んでいました。現世で、ひどい交通事故を起こして、自分も亡くなった者たちでした。
幽霊裁判長の判決が下りました。
「一番。スピード違反。死刑」
「二番。一時停止無視。死刑」
「三番。一方通行逆走。死刑」
「四番。飲酒運転爆走。死刑」
被告の四人が、首を傾げて尋ねました。
「裁判長。死刑って、どうやるんですか。僕たち、交通事故で死んだばかりですけど」
「死んでからの死刑は『生き返り』だ。マイナスのマイナスはプラスだろ。さあ帰りな」
囚人が下がってから、閻魔大王は現世に電話をかけました。
「あとをよろしくな」
囚人たちは、病院のベッドで生き返りました。
話し声を見舞い客だと思って、目を開けました。
まわりは、全員、お巡りさんでした。
「お帰り。待っていたよ。さあ、取り調べだ」
③ 最後の手
家の人たちが外出中に、泥棒が家に忍び込もうとしました。
家の幽霊が、気が付きました。
幽霊は警察に電話をかけようとしました。
手が受話器をすり抜けて、かけられませんでした。
仕方がないので、幽霊は最後の手を使いました。
「うらめしや」
④ 幽霊だけのオリンピック
世界中の幽霊たちが集まりました。
「オリンピックを開こう」
準備会議が開催されました。
競技を何にするのか、もめてしまいました。なかなか決まりませんでした。とりあえず、みんなで、現世のオリンピックを見に行きました。
オリンピックの開会式を、観客の背中から、そっとのぞきました。
「なるほど」
これで、一つだけ決まりました。
「聖火は、人魂だ」
⑤ やっと幽霊オリンピックの開催
幽霊オリンピックが、ようやく開催です。
『体重選手権』です。
競技はこれ一つだけ。全員が賛成したからです。
軽い者が勝ちです。みんな、優勝は自分だと思っていました。
いよいよ競技開始。
選手全員が一位になりました。
記録はゼロキログラム。
金メダルは全員ということで、メダルが足りませんでした。
みんな、楽しくなりました。
みんなで、種目をもう一つ、考えました。
次は『お化け大会』です。恐いものが勝ち。幽霊を怖がらせたら勝ちです。これなら、みんなでできる。
でも、結局、誰も恐がりませんでした。
勝ちも負けも、なしです。
審査委員長は、困りました。
「じゃ、競技をもう一つ、やろうか」
最後の競技は、『トライアスロン』です。
ゴールは地球の裏側。
ヨーイ・ドン
全員地球の真ん中をすり抜けて、最短距離でゴールしました。
審判の宣言。
「地面と海を行かきなきゃだめ。地面を潜り抜けたらトライアスロンにならないよ。全員失格」
オリンピックは、当分の間、お休みになりました。
⑥ 幽霊の歓送迎会
「それでは、これより『新人歓迎会』を開催いたします。では、新人君、ご挨拶を」
「先ほど心臓発作で死んだばかりの○○です。あの世に来て慣れないことばかりですが、末永く、よろしくお願いいたします」
「あっ、ただ今緊急連絡が入りました。AEDの電気ショックで、○○さんは心肺蘇生したそうです。それでは、これより新人の『送別会』を開催いたします。では、もう一度ご挨拶を」
「皆さま、大変お世話になりました。知った世界に戻りますが、皆様のことは、けっして忘れません」
「いつでも戻っておいで。待ってるよ」
幽霊の『歓送迎会』は終わりました。
⑦ 大統領は誰?
幽霊の大統領選挙が始まりました。
世界中の幽霊が集まりました。幽霊に国境はありません。時間もありません。
投票者が多すぎて、集計結果が出ませんでした。あの世に、電卓はないのです。
話し合いで決めることにしました。
やっぱり大統領は決まりませんでした。
「歳の順にしようか」
こうして、一番年上の幽霊が、大統領になりました。いつの時代の人なのか、誰もわかりませんでした。
大統領になった幽霊は、隅っこに寝ていました。
みんなに起こされました。
お猿さんに少し似ていました。毛深い大統領の誕生です。言葉はしゃべれませんでした。
笑顔の歯が、とてもきれいでした。
「ウ、キ、キ」
⑧ 幽霊はみんな自由だ
「幽霊専用の動物園を作ろうか」
「賛成。どうせ幽霊は、毎日暇なんだし」
そこで、元動物園長の幽霊に「動物園を作って」と、お願いしました。
「よし、現役復帰だ」
元園長は働き盛りの頃を思い出しました。一生懸命、あの世に、動物園を作りました。
完成です。
開園式。
みんなで、動物園の見学をしました。
すると、檻の中の動物幽霊たちが、檻をすり抜けて、みんな出て行ってしまいました。
檻の中には、何もいなくなりました。
元園長が、一人しょんぼりとしています。
「現役引退だ。閉園だね」
大空から、動物たちの元気な泣き声が聞こえてきました。
⑨ 1+1=1
「現世では、僕の理想の人に会えなかった。でもあの世に来て、幽霊世界で君に出会った。なんて僕は幸運なんだろう」
「うれしいわ。わたしもなの。ね、一緒になりましょう」
「よし、いっせえのせ」
二人の幽霊は、走り寄って、抱き合いました。
一気に体がすり抜けて、反対方向に行き過ぎました。
お互いに、振り返りました。
今度はそっと近寄り、重なりました。
「僕たち、一緒になれたけど、これじゃ何の幽霊だか、わからないな」
「いいじゃない。わかっているのは、私たちだけ」
⑩ あの世からあの世へ、人事異動
「まいったな。幽霊になったら、昔の上司の幽霊に出会っちゃった」
元上司の貫禄のある声。
「おう、久しぶり。最後の肩書は何かな。出世したか。なんだあ、そのままか。じゃ、しばらく俺の所にいなさい。昔の仲間と働くのも悪くないぞ」「幽霊世界にも、会社があるんですか」
「俺が作った。やっと社長だ。副社長であの世行きじゃ、つまらんからな。お前幽霊になって、お墓の間でふらふらしているんだろう。現役時代の凄腕は、評価していたよ。人事課長のポストを、またどうだい」
「ありがとうございます。ではお任せください」
社員は、みんな昔の社員でした。
しばらくして、幽霊の会社に、社長以外は誰もいなくなりました。
人事課長の置き手紙がありました。
「社長へ。全員、天国世界に人事異動になりました。さようなら」
どこへ行くのか駅伝スタート編
① 幼稚園の駅伝
町内会の駅伝大会。
選手は幼稚園の皆さんです。
「よーい、どん」
クラス対抗戦です。
ひまわり組の先生の声援。
「ゴールしたら、アイスクリームあげるわよ」
ひまわり組は一生懸命走りました。
「アイスクリームが、溶けちゃう」
ひまわり組は優勝しました。
町内会長が選手にインタビューしました。
「将来は駅伝選手になりたいのかな」
ひまわり組は、みんな顔を横に振りました。
「アイスクリーム屋さんになるの。最初のお客は会長さんね」
② 保育園の駅伝
早朝。
ご近所や、社宅でチームを作って、競争です。
社宅は共働きのお父さんやお母さんでチームを作り、保育園児の手を取って表の通りを走ります。
他の保育園と、よーい、どん。
先生が叫びました。
「反則ですよ。抱っこしちゃ、だめ」
社宅のお父さんが、園児を抱いて独走。
次々と同じ社宅で、リレーしていきます。
「会社、遅刻しちゃうよお」
みんなゴールで止まらず、そのまま保育園に園児を預けて、出勤していきました。
お父さんが園児に一言。
「忙しくて、休暇がとれなかったんだ。ごめんね」
③ 予備校生の駅伝
大学の予備校同志の駅伝。
勉強ばかりしていたら運動不足になると、予備校の先生同士で企画したのです。
よーい、どん。
第一中継地点。
どこの第一走者も、来ませんでした。
中継地点に無線が入りました。
「予備校生、みんな、息が切れました」
大会は中止。
受験が終わってから、再開することになりました。
④ お相撲さんの駅伝は世間と逆
相撲部屋対抗の駅伝大会が、開催されました。
部屋ごとに、選手のお相撲さんが並びました。
新しい相撲部屋は、入門したばかりの痩せた青年たちばかりが出場です。
よーい、どん。
横綱のいる部屋がビリ。
大関のいる部屋がビリから二番目。
優勝は、できたばかりの相撲部屋でした。
優勝パーティーで、青年たちは、ちゃんこ料理を無理やり食べさせられました。
太りました。
次から、駅伝は勝てなくなりました。
相撲は強くなりました。
⑤ パリコレモデルの駅伝
よーい、どん。
観客がざわめきました。
「みんな、モデル歩きじゃん。競歩の駅伝だ」
⑥ 老人ホームの駅伝
老人ホームごとに選抜された選手たちでした。
コーチと監督は、看護師とお医者さんでした。介護士とケアマネージャーが大会の運営役員です。
大会の前と後に、選手は医師の診察が必要でした。中継地点でも、血圧と心拍数の測定をします。医師の管理は完璧でした。
選手たちは秘密練習と栄養サプリメントで、調子は絶好調です。
ヨーイドン。
無事、中継して、感動的なゴール。
医師の監督が、熱中症で救急搬送。
コーチの看護師が付き添いました。
老人ホームの選手たちは、監督のお見舞いに行きました。
栄養サプリメントを差し入れしました。
⑦ 泥棒の駅伝
泥棒たちが、盗んだ宝石をもって、次つぎと中継地点で宝石を手渡し、リレーしていきます。
後から、パトカーが追いかけてきました。
中継地点で、走り終えた一人一人が捕まりました。
ゴール。
「ご苦労さん」
金メダルの代わりに、手錠がかけられました。
宝石は無事でした。
⑧ ロボットの駅伝
ロボット駅伝のタスキには、電池がいっぱい付いています。選手は充電しながら走るのです。
監督「なんで。いつもりより、遅いんだよ。足、上がんないじゃん」
ロボット「電池が切れましたあ」
マネージャー「すみません。去年の電池、まだ使えると思ってました。予算がなくて」
⑨ ペースメーカーが心配
「それでは、箱根駅伝の優勝インタビューです」
テレビ局のアナウンサーが、心臓に持病のある駅伝の監督にマイクを向けました。
「二年連続優勝の『東京大逆転大学』です。監督、おめでとうございます」
盛り上がって騒いでいる学生たちの真ん中から、小柄な監督が前に出てきました。
「昨年は逆転に次ぐ逆転で、監督さんは途中で、心臓の具合が悪くなりました。今年は大丈夫ですか。なにしろ、区間一位と区間最下位の繰り返しでしたからね」
アナウンサーは監督に、そっとマイクを近づけました。
監督はすごく嬉しそうな顔をしました。
「ご心配なく。今年は心臓にペースメーカーを入れましたから万全です」
後ろの選手が万歳をして、歓声を上げました。
監督が振り向いて、拳を突き上げました。
「二年連続優勝だあ」
監督は興奮して胸をポンと叩きました。
ペキ。
ペースメーカーの割れる音。
胴上げは、中止になりました。
⑩ ジェスチャーは国際語
駅伝で、外国人選手がごぼう抜きをしました。
区間新記録を達成。
アフリカの大草原から、やって来た選手でした。
レースの後で、アナウンサーが監督にお願いをしました。
「監督。選手にインタビューを、してもいいでしょうか」
「彼は日本語も英語もできないよ。私はいつもジェスチャーだ」
アナウンサーは、それではと、選手にジェスチャーを始めました。
観客には、大いに受けました。
外国人選手は首をかしげました。肩をすくめて、手をパタパタさせて、何かしゃべり、監督を指さしました。
アナウンサーは、監督に翻訳をお願いしました。
監督が翻訳しました。
『あなたのジェスチャー、へたね。監督に習ったらいいよ』
⑪ 山の神様は歩行者だ
箱根駅伝で、往路のアンカーが出発しました。
横の歩道を、痩せた高校生の観客が、学生服のまま走っていきます。
先に出発した選手を、次々と追い抜いていきました。
上りも下りも、速いのなんの。
高校生の観客は、ついにトップを独走です。
なんと、ゴールまで走りきり、テープの横を駆け抜けました。
各大学の監督もコーチも部員たちも、この高校生に集まりました。
アンカーを迎えるより、もう必死の勧誘です。
「うちの大学なら推薦入学は、ばっちりだ。レギュラーも約束するよ。来年のアンカーは君だ」
後ろで、アンカーの選手たちが、次つぎとゴールしました。
寂しそうな顔をしました。
翌年の四月に、某大学の駅伝チームに、あの高校生が入部しました。
すっかり太っていました。
監督が腰を抜かしました。
「ど、どうしたんだ。本当に、あの時の君か」
「好きなものを食いまくりました。もう悔いはありません。四年間、よろしくお願いします」
山の神が降臨したかどうかは、これからです。
⑫ 〇〇君、がんばれ
応援団が、選手と並走しています。周りの畑は、道路より一段低くなっていました。
「〇〇君、がんばれ」
応援団は選手の横を並走しながら、メガホンで声をかけています。
選手が手を挙げて、前の選手を抜きました。
突然応援団の姿が消えました。
畑の中から、落っこちた応援団の声が、選手を追いかけました。畑から、メガホンがのぞいて、首を振っていました。
「いつも、俺たちがついている」
⑬ 実業団駅伝に復帰しても
昨年の実業団駅伝の放送は、新人アナウンサーの絶叫中継で、うるさかったのなんの。
苦情が放送局に殺到しました。
実は担当した新人アナウンサーは、もと実業団の駅伝選手で、つい興奮しすぎたようです。
今年の新人アナウンサーは、つまらなそうな声で中継しています。
「現在、走っておりますのは、昨年、この席から中継していた先輩です。転職して、現場復帰したそうです」
新人君の声は冷ややかでした。
「どうやら、ゴールまで、もちそうにありませんね。中継をやっていた頃のほうが、お元気だったのではないですか」
⑭ 駅伝はサバイバルだ
異常寒波がやってきました。駅伝は、強風と積雪と極寒で、過酷なレースになりました。次々と選手がリタイアしていきます。
一人の選手だけが、やっとゴールできました。
優勝です。
二位以下は、いません。
タスキをもらった時は、ビリの選手でした。
リタイヤした選手たちを乗せた救急車が、ゴールの横に止まりました。救急車の窓が開きました。蒼白の震えた顔が並びました。
「お、おめでとう」
弱々しい声が重なりました。
窓が締まりました。
救急車は雪にスリップしながら、病院のゴールを目指して出発しました。
サイレンが、競争しながら、離れていきました。
⑮ 一緒に飲もうぜ
正月のお屠蘇で、すっかり酔っ払った駅伝の先輩が、選手たちに声をかけました。
「みんな、ゴールしたら、乾杯しようぜ。俺がおごってやるよ。飲み放題だ」
先輩は、ぐいっと、缶ビールを空けました。
アンカーの選手たちは急ブレーキ。全員Uターン。戻ってきます。酔っぱらいの先輩に、走り寄りました。
「ごっつぁんです。ゴール先の焼き鳥屋でお願いします」
選手たちは、次々と走り去りました。
先輩は酔いが醒めてしまいました。
「やべえ」
酔っぱらいの先輩は、走って逃げてしまいました。とても足の速い先輩でした。
選手はだれも、追いつきませんでした。
後に缶ビールが転がっていました。
⑯ 酸素マスクの中でため息
実業団駅伝の選手たちが、急な山道を上っていきます。
女性の声。
「頑張って。勝ったら結婚してあげる」
声をかけられた選手が、ギアを上げてトップを独走。すぐにスタミナが切れて、みんなに抜かれました。
女性の声が追いかけました。
「また、来年ね」
女性は帰ってしまいました。
ゴールした後で、選手はため息をつきました。
「彼女の方が急坂だ。俺、リタイヤしそう」
酸素マスクでは、足りませんでした。
⑰ 必殺のキーワード
大学駅伝の応援車から、監督の檄が飛びました。
「負けたら、落第だぞ。いいな」
選手の足が、速いのなんの。
「ら・く・だ・い・す・る・な」
タスキを継いだ次の選手も、次の選手も、監督から同じ檄が飛びました。
チームは優勝しました。
監督はボヤキました。
「どうしよう。学校の成績は、勝算なしだ」
⑱ 頭と足の軽い選手
大学駅伝で、選手に監督の声がかかりました。
「おい、憧れの彼女が見ているぞ」
「え、どこ、どこ」
選手が立ち止まり、さがしています。
抜かれました。
「先の中継地点だ」
再スタート。
全員を抜いて中継地点へ。
監督は、次の選手、次の選手、みんな同じ内容で声を掛けました。
駅伝は優勝しました。
みんな暗い顔をしていました。
「監督にだまされた」
彼女は誰も来ていませんでした。
監督は優勝トロフィーにキスをしました。
「お前たちが遅いから、帰ったのさ」
「監督、もう、騙されませんよ」
監督は来年の作戦を考え始めました。
思いつきませんでした。
⑲ 江戸時代の箱根駅伝
身分を超えて、みんなで箱根駅伝。
往路の選手は箱根の関所で、ストップ。
「はい、手形を出して」
懐から、駅伝用の手形を出しました。本人証明として、裏側に足形が、押してありました。
みんな、復路の選手に、タスキを渡しました。
「江戸城まで、ガンバレよ。ゴールで待ってるぞ」
往路の選手たちは駕籠に乗り、江戸城へ。
駕籠かきが、選手を抜いていきました。
「さすが、プロだ」
⑳ 箱根は豪雪
箱根駅伝は豪雪で道は埋まってしまいました。
「うちが優勝だな」
初出場の『雪だらけ大学』の監督が、ほくそ笑みました。直前に、スキーに履き替えさせていたのです。
選手がぼやきました。
「これじゃ、のぼりが大変だ」
のぼりでは、足が空回り。
のぼりはビリでも、下りはトップでした。
監督の勝ち。
㉑ 中継所のラーメン屋
中継所の裏通りにあるラーメン屋は、誰もいなくなりました。
店長もお客様も、駅伝が大好きなのです。沿道で、お客様も店長も、駅伝を応援しました。
しばらくして、消防車が駅伝コースを走ってきました。消防車はコースを外れて、ラーメン屋に向かっていきます。
お客様が店長に振り返りました。
「店長、消防車が優勝だね」
店長はいませんでした。
店長は、お店に全力疾走。速いのなんの。
消防署員が、店から出てきました。
「はい、ゴール。ガス、止めといたよ」
㉒ 箱根駅伝の初詣
往路のゴール。アナウンサーの絶叫です。
「優勝候補の『気まぐれ大学』の選手が、一位でゴールしました」
選手はゴールで止まりません。
カメラが選手を追いかけました。
選手は神社に駆け込みました。
神社の賽銭箱の前で、参拝をしています。
追いついたアナウンサーが、インタビューしました。
「いったい、どうしたんですか」
両手を合わせている選手は真剣でした。
「復路の必勝祈願です。お賽銭、貸して」
㉓ 優勝はお守りのおかげ
タスキを受け取ったアンカーの選手。
なんと、『必勝お守り』のぶら下がったタスキを受け取りました。
アンカーは、足取り軽く全員を抜いて、優勝してしまいした。
優勝インタビュー。
「優勝は、お守りのおかげです」
アナウンサーがアンカーの選手にお願いしました。
「どんなお守りか、みせてください」
お守りは、見つかりませんでした。
途中で、落としたようです。
アナウンサーが助け舟。
「お守りは、気持ちですよね」
アンカーの選手はべそをかいて、お守りをさがしに道を戻っていきました。
㉔ お守りのご利益
大学駅伝で、ビリの選手がタスキをもらいました。ユニフォームには、お守りが、たくさんぶら下がっていました。
大会のスタッフが、首をかしげて見送りました。
「どこの大学だろう」
「『神頼み大学』じゃないですか」
「この順位じゃ、神がかりにでもならないと無理だな」
「結果は、神のみぞ知るです」
「倒れないよう、神のご加護を」
「シードを取れるかどうか、紙(神)一重ですよ」
「神よ、求めよ、さらば与えられん」
スタッフの二人は、合掌しました。
選手は優勝しました。
お守りは、アマゾンのお守りランキングで一位になりました。
ベストセラーになりました。
各大学も、同じお守りを付けるようになったので、ご利益はなくなりました。
元気すぎる高齢者編
① 老人ホームのライバルは保育園
老人ホームで運動会がありました。
保育園の園児たちも、参加しました。
園児たちは負けました。
老人ホーム代表のご挨拶。
「また挑戦しなさい。いつでも相手になってあげるよ」
園児たちは、円陣を組みました。
「勝つぞ、勝つぞ、エイ・エイ・オー」
園児たちは、気合を入れて帰りました。その日から、保育園で猛練習が始まりました。
次の運動会は、保育園の勝ちでした。
園児たちの体が、大きくなっていました。
② 老人ホームをなめたらだめよ
老人ホームに、ボランティアが慰問に来ました。ピアノの演奏をしてくれました。へたくそでした。
お婆さんが、コーチをしてあげました。
「年寄りを、なめちゃだめよ」
ピアニストはご指導で、なんとかうまくなったので、ほかの老人ホームに慰問に行きました。
指導したおばあさんが、見送りました。
心配顔です。
「練習が足らないのよね。自分に甘いのよ」
③ 老人ホームからラブレター
浦島太郎が竜宮城から帰ってきて、玉手箱を開けました。
白い煙が出ました。
老人になりました。
浦島太郎は老人ホームに入所しました。竜宮城よりも、快適でした。
さっそく乙姫様あてに、ラブレターを入れた玉手箱を送りました。
作戦その一 開ければ煙が出て、乙姫様は自分と同じ年の老人になる。
作戦その二 ラブレターに、老人ホームの入所案内を同封する。
作戦その三 婚姻届けも、ついでに入れておく。
これで、浦島太郎は、乙姫様と老人ホームで末永く一緒に暮らせるのです。作戦は完璧でした。
ある日、玉手箱が、そのまま返ってきました。
受け取り拒否でした。
④ 浦島太郎が金メダル
浦島太郎が入っている老人ホームが、シニアオリンピックに参加するそうです。
毎日、朝から晩まで、土日返上で猛練習です。
みんな金メダルを狙っています。
「歴史に名を刻むのさ」
結果は、浦島太郎だけ金メダル。
みんな過労で不調だったのです。
浦島太郎は、みんなに突つかれました。
「お前、本当の歳は、いくつなんだ。玉手箱で老け顔つくっても、だまされないぞ」
⑤ 老人ホームのスターは永遠だ
きれいなお婆さんが入ってきました。老人ホームのスターになりました。
かっこいいお爺さんが入ってきました。老人ホームのスターになりました。
二人は愛し合い、結婚しようとしました。
ホームの全員が、反対しました。二人以外は、老人ホームは一つになりました。
反対運動のスローガン。
『あこがれの人は、永遠だ』
⑥ 年寄泥棒の仕事納め
年寄りのドロボーが、刑務所から出所しました。すぐに、近くの老人ホームに、忍び込みました。
「よお、ひさしぶり」
後ろから声をかけられました。
昔お世話になった元刑事さんでした。
老人が、みんな、いっせいに振り返りました。
顔なじみの懐かしい顔ばかりでした。
なんだなんだと、元刑事さんや警官が、どっと集まってきました。
「お前、元気だなあ。まだ、この仕事をしているのかい」
泥棒は首をすくめました。
「はい、本日は仕事納めでして。もう悔いはありません。引退です」
ここは、警察官専用の老人ホームでした。
⑦ 『講道館』はどこでも無敵
若い元気な泥棒が、老人ホームに忍び込みました。
気が付いた老人に、背負い投げで、床に叩きつけられました。泥棒は、必殺の寝技で簡単に抑え込まれてしまいました。
「一本、お見事」
審判の老人の声。
部屋に、看板がかかっていました。
『有料老人ホーム 講道館』
泥棒がぼやきました。
「これでも、柔道初段なんですけど」
⑧ 詐欺電話は間違い電話
高齢者を狙った詐欺電話が、かかってきました。
詐欺犯「親父、金を貸してくれ」
警察官「ああ、いいよ」
詐欺犯「すぐに入金してくれ」
警察官「ああ、いいよ」
詐欺犯「おれ、だれだかわかるかい?」
警察官「ああ、いいよ」
詐欺犯「だめだ。こりゃ」
電話が切れました。
警察の電話詐欺撲滅課に、電話がかかっていたのです。
受けたのは、担当の超ベテラン警察官でした。
この警察官に、上司から指示が飛びました。
上司 「逆探知せよ」
警察官「ああ、いいよ」
上司 「話癖を直せ」
警察官「ああ、いいよ」
上司 「パトカー出動」
警察官「ああ、いいよ」
上司 「だめだ。こりゃ」
犯人は捕まりました。
署長 「表彰だ」
警察官「ああ、いいよ」
⑨ スポーツ万能って本当なの
お孫さん 「駆けっこで勝負しよう」
おじいさん「膝の具合が悪くてね」
お孫さん 「水泳で勝負しよう」
おじいさん「肩の具合が悪くてね」
お孫さん 「卓球で勝負しよう」
おじいさん「老眼でね」
お孫さん 「パチンコで勝負しよう」
おじいさん「金貸してくれ」
⑩ IQ自慢のおじいさん
おじいさん 「年取ってから、IQが上がる一方じゃ」
医学部の孫 「今、どれくらい」
おじいさん 「ここのところ二百に上がったね。医者から、『毎朝測って 記録を取りなさい』って、言われているよ」
医学部の孫「お爺ちゃん、それ、血圧だよ」
⑪ 新郎新婦は百歳
司会 「ケアマネージャーの橋本です。それでは仲人である老人ホームの田中園長より、一言ご挨拶をお願いいたします」
園長 「私は年下なので恐縮ですが、一言ということですので一言だけ、『おめでとうございます』挨拶は以上です」
司会 「ありがとうございます。では来賓を代表しまして、市長より一言お願いいたします」
市長「百歳になられましたので、特別敬老記念品を贈呈させていただきます」市長より記念品を贈呈。
司会「それでは、お二人のなれそめをお話しください」
新郎「お見合いをしまして、断らなかったのが彼女です」
新婦「それは前の奥様でしょ。婚活パーティーで私に声をかけたのが、あなた」
新郎「それは前の御主人だろ」
司会「宴たけなわではございますが……」
商店街はにぎやかだ編
① ニュータイプの魚屋さん
魚 屋「日本一新鮮なお魚を売る魚屋で~す」
お客様「お魚が、一匹も、置いてないじゃん」
魚 屋「注文を受けてから釣りに行くんです」
② 変な眼鏡
お客様「この魚、変な眼鏡をかけてるね」
魚 屋「水中眼鏡です」
③ 白菜で百歳
八百屋「大売り出しで~す」
奥 様「この白菜、一つ、ちょうだい」
八百屋「これは、百歳まで生きれる白菜で~す」
奥 様「あら、うちのおじいちゃん、百三歳なの」
④ 回転のはやい大安売り
店 員「『閉店大安売り』で~す。お急ぎくださ~い」
お客様「初売りなのに、もう閉店かい」
店 員「次の開店は明日です。明日は『開店大安売り』をやりますよお」
お客様「どっちが安いの?」
店 員「明日、わかります。お楽しみを」
⑤ 正月、待たせる花屋さん
お客様「春夏秋冬の花が、全部そろっているね。みんな造花だ」
花 屋「ちゃんと、本物のお花をお届けしますよ」
お客様「夏の花は、どうなるの」
花 屋「半年ほど、お待ちください」
⑥ ブランド品の相場
お客様「使える時計はないの」
時計屋「ここにあるのは、値上がり期待のブランド品ばかりでございます」 お客様「投資は関心ないね」
時計屋「時は金なりです」
⑦ 切り過ぎた美容師さん
新人の美容師 「すみません。切りすぎました」
お客様 「どうしてくれるのよ。『肩ぐらい』って言ったでしょ」
新人の美容師 「お詫びの印に、育毛剤を進呈します」
お客様 「いらないわよ。髪、返してちょうだい」
美容師 「ちょっと、お待ちを。今、集めます」 新人の美容師さんは、塵取りとほうきを持って、髪をかき集めました。
⑧ シニア割引の資格
理髪店で、お年寄りの散髪が終わりました。
理髪師「シニア割引の会員証をお持ちですか」
お客様「ない」
理髪師「運転免許証をお持ちですか」
お客様「ない」
理髪師「ほかに年齢を証明するものはありますか」
お客様「顔だ」
⑨ 古本にも旬がある
俺は古本屋に入った。
さがしていた本があった。
ページは黄ばんで、アンダーラインが引かれていた。
――三千円か。高いな。やめた。
俺は家に帰ってから後悔をした。
次の日、また古本屋に寄った。
あの本が売れちまった。
古本屋の親父と、目が合った。
四週間後、古本屋に行くと、同じ本が入っていた。
三万円だ。
古本屋の親父が、壁に紙を貼りだした。
『古本は 買いたい時が 旬の時』
⑩ 死んだふりのマグロ
新年の初セリです。
「活きのいいマグロだなあ」
値段が跳ね上がりました。
史上最高値。
マグロが、突然箱から跳ねて、床に飛び出しました。
「誰か捕まえてくれ」
みんなでマグロを追いかけました。
マグロはジャンプして、海に飛びこみました。
セリ人たちは、いつまでも、海を見下ろしていました。
「活きの良さじゃ、今までで、一番なのに」
暇になったセリ人が、『〇円』とつけました。
~作品一覧表~
次のWBCで、とんでもないことが 編
①始球式は、会長の仕事 ②大谷選手の大ファウル ③大谷選手の打撃練習
④大谷選手に魔球⑤大谷選手のスライダーは熱い⑥ヌートバー選手のスライディング⑧雨の中、ヌートバー選手は大忙し ⑨ヌートバー選手の二日酔い⑨村上選手の豪打 ⑩大ベテランのダルビッシュ選手が進化した
⑪WBCの選手の食欲は ⑫大エース佐々木投手の剛速球
⑬参加したアマチュア選手のおねだり ⑭栗山監督が再登板、暇になっちゃった ⑮女子野球のWBC
ロボットだって人生がある 編
①巨大な怪力ロボットの愛 ②怪力への道は険しい ③ロボットの遺言 ④ロボットはうるさい ⑤ロボットの結婚 ⑥ロボットが生徒の教室
⑦ロボットの恋
最強のAIは万能かもね 編
①ゲーム機のAIには弱点が ②AIの物忘れ ③AI内蔵のロボットとジャンケン ④AIロボットの消防士 ⑤AI大統領の責任は
⑥AI監督は重すぎる
ホームズとルパンはライバルだ 編
①ルパンからの挑戦 ②ホームズからルパンへ、誕生日プレゼント
③ルパンの手紙に暗号が ④ルパン、ワトソン博士の家に忍び込む
⑤ホームズの定年
動物たちは頑張るぞ 編
①荷物は重くなる ②愛は距離だ ③熱心なビーバー
④どっちが速いの? ⑤死んだふり ⑥泣きたいよ
⑦鯉のぼりが働く日 ⑧尻が痛い ⑨蝶々になる方法
⑩給料の根拠 ⑪猿の見合い ⑫蛇の見合い
⑬バッタの見合い ⑭冬眠の目覚まし ⑮蛸の仲直り
⑯『ナビ』の時代 ⑰獣医の歯医者さん ⑱歯磨きは毎日
⑲牙、貸してあげる ⑳動物の老人(獣)ホーム
みんなで、オリンピックに出ようよ 編
①三冠王だ ②男女混合リレーで勝つ方法 ③僕たちの金メダル
④給水所の怪しいスペシャルドリンク ⑤物凄いシュートはだめよ
⑥飛び込み選手が体操選手に ⑦体操選手の飛び込み
⑧ローラースケートは難しい ⑨場違いなマラソンランナー
⑩マラソンに優勝する方法 ⑪脱線は任せて ⑫短距離の新しい練習法
⑬ミミズに優しい審判 ⑭芋虫の四年間は、無駄じゃない
⑮走り高跳びなんてチョロいもんさ ⑯飛び板飛び込みは難しい
⑰蟹(かに)さん、戻っておいで ⑱カブトムシには軽い軽い
⑲クジラが水泳大会に
定年したら何をやる 編
①定年した理系大学教授の朝は ②消防士が定年したら
③定年したゴルフショップの店員の趣味は④タクシー運転手のささやかな夢
⑤天才マジシャンの再就職⑥演歌歌手のやりたいこと⑦競輪選手の現役復帰 ⑧定年するビルの窓拭き職人 ⑨編集者が定年⑩クルーズ船の船長が船長に
⑪悪役プロレスラーの花道は ⑫主役の交代
お仕事は我慢だ 編
①大工さんの持ち家②証券マンはつらいよ ③ことわざの大好きな証券マン
④絶対当たる女性占い師 ⑤宝くじを当てる
自動車教習所の教官は命がけ 編
①生徒になった先生 ②教官の贈り物 ③教習所の中で事故対応
④危ない生徒 ⑤仮免許でレース ⑥教官の教官の特訓は
⑦ずっとゴールド免許 ⑧金メダルにこだわる銀メダリストが七十歳に
⑨ゴーカートとは違う ⑩スピードメーターはどれですか ⑪教官の妻
⑫バイクの運転を教えて
ノリノリのオートバイ乗り 編
①ハイスピードのバイク ②バイクマニアの実力は ③改造し過ぎのバイク
④四人乗りのショー ⑤ウィリーは、ほどほどに
これでも世界一だよ、カーレーサー 編
①うまい運転 ②公道は難しい ③新米カーレーサーの自分本位な運転手
④記念すべき一日⑤誰にでも特技があるさ ⑥カーレースのトライアスロン
⑦縦列駐車が苦手なカーレーサー ⑧カーレーサーの車庫入れは
彼女にはかなわない 編
①浜辺の風景 ②カツラはどこへ ③オープンカーの屋根が開かない
④全自動の古いオープンカー ⑤第一回ゴリラ腕相撲大会
⑥第二回ゴリラ腕相撲大会 ⑦ウィンクで勝負 ⑧独身同志
⑨女子プロ野球の開幕戦 ⑩どっちが強いのか、プロボクシング男女混合WBC戦 ⑪ボクシング試合の解説席
ロケットは大変だ 編
①引っ返す ②ロケットのドアに暗証番号 ③まっすぐ飛び過ぎると
④連続ロケット花火
懲りない者たち 編
①最後の勝者 ②試合で勝てない理由 ③競輪選手の太腿は凄い
④「の」の好きな人なの ⑤飛行船はもどれない
⑥あの蠅(はえ)は何者だ
万歩計の正しい使い方編
①水泳はダメ ②野球チームの歩数は ③万歩計の競馬
④ムカデの万歩計 ⑤自家発電の万歩計 ⑥万歩計普及作戦
⑦歩数勝負のゴルフ試合 ⑧歩きと走りの合計は
⑨スピードまで必要なのか ⑩多機能で万能すぎる腕時計
幽霊はいつも忙しい編
①勝手に盛り上がる運動会 ②判決は「生き返り」 ③最後の手
④幽霊オリンピックはできるのか ⑤オリンピックの種目が決定
⑥幽霊の歓送迎会 ⑦大統領は誰?
スタート、どこへ行くのか駅伝 編
①ペースメーカーが心配 ②ジェスチャーは国際語 ③ライバルは歩行者だ
④〇〇君、がんばれ ⑤実業団駅伝に復帰しても ⑥駅伝はサバイバルだ
⑦一緒に飲もうぜ ⑧酸素マスクの中でため息 ⑨必殺のキーワード
⑩足と頭の軽い選手 ⑪山の神様は歩行者だ ⑫箱根は豪雪
⑬中継所のラーメン屋 ⑭箱根駅伝の初詣 ⑮頑張りはお守り次第 ⑯お守りの御利益
元気すぎる高齢者 編
①老人ホームのライバルは保育園 ②老人ホームをなめたらだめよ
③老人ホームからラブレター ④浦島太郎が金メダル
⑤老人ホームのスターは永遠だ ⑥年寄泥棒の仕事納め
⑦『講道館』はどこでも無敵 ⑧詐欺電話は間違い電話
⑨スポーツ万能って本当なの ⑩IQ自慢のおじいさん ⑪新郎新婦は百歳
商店街はにぎやかだ 編
①ニュータイプの魚屋さん ②変な眼鏡 ③白菜で百歳
④回転のはやい大安売り ⑤待たせる花屋さん ⑥ブランド品の相場
⑦切り過ぎた美容師さん ⑧シニア割引の資格 ⑨古本も旬がある
⑩死んだふりのマグロ
サポートしていただき、ありがとうございます。笑って泣いて元気になれるような作品を投稿していきたいと思います。よろしくお願いいたします。