見出し画像

【くまもと復興映画祭2024】に行ってきた!

こんにちは。日和照です🌞

11/30〜12/01の2日間、くまもと復興映画祭に行ってきました!

 熊本県出身の行定勲監督がディレクターを務める映画祭です。

 もともとは「菊池映画祭」の名前で行われていたこの映画祭ですが、8年前の熊本地震以降、「くまもと復興映画祭」に名前を改めて開催されています。

 今年は、石川県の能登半島地震、台湾の花蓮地震と相次ぐ震災に対するチャリティーをテーマにしています。また、映画を通して台湾を知ることも目的のひとつです。

 熊本地震からの復興に際して、台湾には大きな支援をいただきました。一熊本県民としてお礼ができる良い機会になった映画祭でした。 🇹🇼🤝🇯🇵

くまもと復興映画祭2024 ポスター

【特別上映会】

2024年11月30日(土)
菊陽町図書館ホール 

1️⃣開場:12:30~ / 開演:13:00~

2️⃣挨拶 13:00~13:15 
 到着が遅れて13:14分頃に入場。挨拶は聞けませんでしたが、映画上映には間に合ったのでセーフとさせてください。席は最前列の端っこでした。

3️⃣プレオープニング上映  13:15~15:04 
『恋恋風塵』(109分)
 監督:ホウ・シャオシェン

【感想】台湾のホウ・シャオシェン監督の1987年の作品。異国の風景ですが、どこか懐かしさを感じます。望郷の念にかられるような柔らかな空気感に惚れました。また、その雰囲気にあった自然な演技も良かったです。貧困や盗難などのトラブルに苛まれたとしても、全編通して人の優しさがふわりと感じられました。だからこそ、緊張感が高まる気絶のシーンが映えますね。凄い演技でした。そして、何よりラストシーン。祖父はどこまで考えてその話題をしたのでしょうか。素晴らしい余韻がありました。
 『シェルブールの雨傘』みたいな映画だなと考えながら観てました。シェルブールを観ていたことでアフンの選択にも、どこか納得感を覚えました。全編ミュージカルですが、未鑑賞の方はぜひこちらも。フランスの巨匠ジャック・ドゥミ監督の作品です。

4️⃣トークセッション 15:04~15:44
登壇:行定勲監督、高良健吾
 熊本県出身のお二方のトークセッション。
 行定勲監督がホウ監督とした話をしてくださいました。撮影地は九份。後に千と千尋の神隠しのモチーフともされる場所で現在は立派な観光地になっています。そのため、家に入る階段が見えるカットの奥にある1本の木は伐採されてしまったそうです。映画で育った観光地から映画の景色を無くしてしまうのは惜しいですね。でも、フィルムになるということは、いつでも原風景を観ることできるようになるということでもあります。映画の功罪が感じられるエピソードですね。
 カメラマンのリー・ピンビンの良さが光る映画でした。先の階段のカットもそうですが、服屋の窓越しに見せるカットなど、良い構図がたくさんありました。現在は絵巻物を見せるように動くカメラワークをされますが、この作品では静のカメラワークで見せてくれます。
 高良健吾さんは、この映画を自分の中で育つ映画だと評されました。明日か1週間後か1ヶ月後か1年後かもしれないけど、ふと思い出すシーンがある。素敵な情景に溢れた、そんな映画でしたね。
 ラストシーンの祖父との対話、サツマイモと薬用人参の話は名シーン。

5️⃣クロージング挨拶 15:44~15:54
ゲスト:一青窈
 一青窈さんは、お父様が台湾出身、お母様が石川出身です。今回の映画祭の目的には欠かせない存在ですね。
 『珈琲時光』のヴェネチアでの試写で浅野忠信さんと2人で寝ちゃったそうです。電車のガタンゴトンという音やリズムが気持ちよくてよく眠れるそう。


【オープニング】

2024年11月30日(土)
熊本城ホール シビックホール 

上映作品のポスターたち

1️⃣開場:17:30~ / 開演:18:00~

2️⃣映画祭上映作品紹介、ゲスト登壇 18:00~18:25
ゲスト:永瀬正敏、石井岳龍監督、藤井道人監督

3️⃣舞台挨拶 18:25~18:50
ゲスト:一青窈、浅野忠信
 『珈琲時光』のヴェネチアでの試写でお二方とも寝ちゃった話。浅野忠信さん曰く、時差ボケのせいだとか。
 それに対して行定勲監督は、寝てしまうような映画でも傑作はたくさんある。起きてた時に観てた部分だけで良かったと思えた作品は、たいてい全部観ても傑作のことが多いと仰っていました。
 『珈琲時光』は盗撮をするように撮影されたそうです。演者がカメラを意識しないことで、自然体な演技が生まれたみたいです。
 ホウ監督が行定勲監督に、小津安二郎を撮ると前々から言っており、小津の映画は家族を描いているようで最愛の隣人を描いていると話していたそうです。それが形になったのが本作です。
 この日はデジタルではなく35mmフィルムで上映されました。

4️⃣開会宣言 18:50~19:00
大西一史名誉会長

🌟一青窈さんの生歌披露
 プログラムになかった一青窈さんの生歌!『もらい泣き』と『ハナミズキ』の2曲を披露していただけました。圧巻でした。『もらい泣き』では歌詞を間違えちゃってAメロからやり直すお茶目な場面も。『ハナミズキ』では舞台から降りて客席の間を回ってくれるサービス精神を見せてくれました。そしてサビはみんなで大合唱。名曲ですね!
 「地震は起きる。自然災害は人間にはどうすることもできないけれど、戦争は人災。人災は止めることができる。自分の大切な人のために頑張ることは多くの人ができる。でも、大切な人のそのさらに大切な人にまで思いを馳せて行動することができるようになれば戦争はなくせるのではないか。」という旨のお話をされていました。この想いが「君と好きな人が百年続きますように」という歌詞込められているんですね。

5️⃣オープニング上映 19:00~20:23
『珈琲時光』(103分)
 監督:ホウ・シャオシェン

【感想】一青窈さんの生歌の直後に観ることになりましたが、演技が巧すぎる。歌手としての一青窈さんとのギャップに驚かされました。現実をそのまま切り取ってきたかのような自然さです。
 小津安二郎生誕100周年?に作られた本作は小津安二郎リスペクトを感じます。部屋を抜けるように撮るカット。家族は何だか冷たいけれど最愛の隣人はきちんと見てくれているという関係性。ホウ監督の愛が伝わります。隣の家にお酒とグラスを借りに行くシーンは『東京物語』の分かりやすいオマージュでしたね。
 ちゃんと電車の音とリズムに眠くなりました。


【くまもと復興映画祭】

2024年12月1日(日)
熊本城ホール シビックホール 

1️⃣開場:9:30~ / 開演:10:00~

2️⃣上映 10:15~12:18
『青春18×2 君へと続く道』(123分)
 監督:藤井道人

【感想】素敵なお話でした。現在と過去の展開の繋ぎ方が丁寧でストレスフリーで見られるのが良いですね。
 特に惹かれたのがアミの演技です。アミの見せる表情がめちゃくちゃファム・ファタール。魅力は魔性であり、交わした約束は呪いとさえ思えます。会社との問題から傾国の美女とも言えますね。
 過去パートの初々しい恋の描写と、現在パートで出会う人たちの温かさから、映画を通して優しい気持ちになれました。そして圧巻の雪景色。でも冷たくは感じません。優しい気持ちのおかげでしょうか。
 ミスチルを聴く絵になるシーンがありましたが、私はミスチルが世代じゃなく全く分からないので、描写の意図を100で汲み取れないのが悲しいですね。

3️⃣ティーチイン 12:18~12:58
ゲスト: 藤井道人監督
 監督は台湾とのクォーターだそうです。
 ベッドのカットで人物が縦に撮られていますが、縦であることに意味はなく、顔の向きに意味があるそうです。上手と下手ってやつですね。ジミーは、過去では未来を、現在では過去を見る向きで撮られていましたが、最後には現在でも未来を見る向きで映されています。
 『Love Letter』は台湾では超有名な日本映画だそう。台湾は地理的に雪が見られない地域なので、台湾人にとって雪景色は、まさに幻想的な世界でしょう。
 タイトルに「×」が入っているとハッシュタグに対応しないから変えないかと言われたそうですが、原作エッセイのタイトルと同じで変える必要はないと判断されたそうです。
 2人でミスチルを聴くシーンは、観客には何を聴いているのか分かりません。観客それぞれ年代によってミスチルの青春の音楽が違うので、見る人によって流れる音楽が変わりそうです。藤井監督は『くるみ』や『HERO』が世代とのことで、聴いている曲のイメージはこれらだそう。撮影現場で流したのは『くるみ』だったらしいです。

4️⃣休憩(20分) 12:58~13:18
 高良健吾さんデザインのチャリティーTシャツを購入しました。白黒2色ありましたが、黒を選択。物販は全額チャリティーになるようです。

5️⃣上映 13:18~14:48
『ぼくのお日さま』(90分)
 監督:奥山大史

【感想】今回の映画祭で上映された作品の中で一番好きでした。タクヤの友達の男の子がとても良い。氷や雪の場面が多いけど温かい映画です。さくらとの例の会話以降、冬のように冷え込んでいく空気が漂いますが、ラストシーンの後のタクヤの一言で、春になり花が開くような展開が待っているような予感をさせます。スケートシーンの光、人を真ん中に正面から撮るカット、車を正面から撮るカットなど印象的な絵が多かったですね。

6️⃣ティーチイン 14:48~15:28
ゲスト:池松壮亮
 6枚のプロットの段階で出演を決めたそうです。奥山監督とは以前にもお仕事をされていたため、また一緒に作品を作りたいという思いが前からあったようですね。
 全くの初心者からスケートを始めることになったため、脚本が完成する前から練習を始めたそうです。未来のオリンピアンの子どもたちに混ざって、子どもたちに笑われながらも1人ヘルメットを被りながら練習に励んだそう。スケートを教わったこと以上に、子どもたちに教えている指導者の先生方のあり方を直ぐ側で見れたことの学びも大きかったようです。
 ほとんどのカットで20〜30テイク取っていたそうです。ダメだから何度も撮り直したのではなく、もっと良いものが見れるかもしれない、何か映画の奇跡が起こるかもしれないと、様々なパターンを模索していたそう。監督のこだわりが感じられます。
 行定勲監督の今年ベスト1映画だそうです。

7️⃣休憩(20分)15:28~15:48

8️⃣上映 15:48~17:48
『箱男』(120分)
 監督:石井岳龍

【感想】原作未読、本作初見の考察ですが、箱男はカメラの擬人化の話だと思いました。箱に光を取り込む穴を開けて、そこに差し込む光から情報を得て記録する。ピンホールカメラそのものです。カメラの中にフィルムという記憶媒体が必要なように、箱男にもメモ帳が必要だったのでしょう。
 箱男の企画は27年前に一度頓挫したそうですが、逆に時代が追いついたというか、スマホとSNSが当たり前の社会になったことでカメラの持つ狂気性が感じやすくなったというか。
 あと、おじさんが中腰で箱の中に入って走り回りながらアクションするシーンって何だか笑えます。真剣に撮っているから尚更。

9️⃣ティーチイン 17:48~18:28
ゲスト:石井岳龍監督、永瀬正敏、浅野忠信  
 頓挫した27年前のドイツとの共同の企画では、行定勲監督が助監督だったそうです。日本側の資金調達に不備があったみたいです。
 今作は原作者のご遺族のご意向もあり、原作に忠実な映画になっているようです。

🌟ご厚意で写真タイム
本来は撮影録音NGでしたが、永瀬正敏さんのお声がけで写真タイムを設けていただきました!

 (左から高良健吾さん、池松壮亮さん、行定勲監督、石井岳龍監督、永瀬正敏さん、浅野忠信さん)

🔟クロージング挨拶 18:28~18:58


初めての映画祭体験でした。
とても有意義な体験になりました。
来年も開催してね!!


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集