勉強は仮説、検証、理解で進む。 勉強の成果を倍増する方法、数を解くだけではNG
前回では効率よく勉強できる人が取り組んでいることというテーマで勉強法を紹介しました。
しかし、勉強すべき事柄はしぼれたけれど、何度勉強しても全然身につかないんだよ!理解ができないんだよっ!
という人もいると思います。
今回は勉強した成果を私がさまざまな生徒を見ていくなかで、理解力が高い子がどんな風に勉強を進めているのかを私なりに分析してわかったことを紹介していきます。
理解の早い子は数をこなすだけの勉強をしていない
同じだけの問題数をこなしても、生徒ごとに理解力の差が表れます。理解力に差が生まれるのはなぜだろう?と思って生徒ごとにどのような考え方をしているか観察してみました。
その結果、理解の早い子は教わったことをただトレースするのではなく、仮説と検証をしながら問題を解き進めているのです。
教わったことをうのみにするだけでは定着しない
皆さんは一次関数を知っているでしょうか?
一次関数とはy=ax+bで表現される二元一次方程式です。
数学嫌いな方にはここで目をそむけたくなる呪文のようなものですが、ここでつまづいてしまう子は「一次関数はy=ax+bであらわす」と言葉のうわずみだけを覚えてそれ以上深く追求しようとしません。
理解の早い子は「関数なのに方程式のかたちになっている?」と以前学習した知識と結びつけようとします。
(関数は方程式の後に学習することが一般的な学習手順です。)
そして変化の割合aについても「ヘンカノワリアイ」と言葉をそのまま覚えるのではなく、「xが1増えるとyがa増える変化の度合い」と自分なりに解釈を見出そうとします。
ここまでが仮説を立てる段階です。
そして理解の早い子は、自分の組み立てた仮説「変化の割合a」は「xが1増えるとyがa増える」かどうかを確かめます。
例えばy=2x+3という関数の式では、仮説の上では「xが1増えるとyが2増える」となります。
実際に計算をすると、
x=1のとき、y=5
x=2のとき、y=7
x=3のとき、y=9 ……
たしかに「xが1増えるとyが2増えていることがわかります。
他の式でも仮説を試して、実際にそうなることがわかり、仮説は確信へと変わります。
こうして、仮説を検証することによって仮説が確信にかわり、理解したことになります。
仮説を立てて検証するまでが1セット
理解の早い子はこのようにして仮説を立てて検証をするまでを、実際に実験して確かめています。
教科書の内容をうのみにせず、疑問を持って接しています。自分の頭で考えているのです。
一方で、理解時間がかかる子は、この仮説から検証までを面倒くさがる傾向が大きいです。
頭を使っていないので定着せず、数日後には忘れてしまいます。
馬鹿らしくても実際やってみることで言葉以上の発見が得られるよ、とすすめても「わかっているから大丈夫」とわかったつもりになって試験で足元をすくわれます。
仮説検証システムを使うと、問題数をこなす必要が無くなる。
この一連の流れを「仮説検証」と仮名しておきましょう。
このやり方は、なぜ記憶に定着しやすいでしょうか?
まず、第一に自分の頭で考えることで主体的に取り組むことができるからです。
受け身になって聞くだけなのと、考えながら取り組むのとでは後者の方が大変です。たくさん脳が働きます。
だから、それだけ定着しやすくなるのです。ただ問題をこなすだけの時よりも仮説検証をしながら解くほうが1問1問にかかる脳の負担が増します。
そのため理解までに必要な問題の数が減るわけです。
次に、仮説検証をすることで本質を理解できます。
うわずみの理解だけだと、なぜそうなるのかという本質を理解できません。
そのため問題の質が変わった時に太刀打ちできなくなります。
基本問題ならまだしも応用問題では仕入れた知識をどこで使うかわからないのです。
そうなると理解をあきらめて、型にはめたような解き方しかできなくなりその型を体が覚えるまで反復練習が大量に必要になってしまうのです。
仮説検証はどの分野でも使える。
今回は数学での例を挙げましたが、この考え方は数学以外、勉強以外でも使えます。
学習の本質と言っても過言では無いです。
効率よく学びを得るために、仮説を立てて、実際に検証して、理解に変えていきましょう。