- 運営しているクリエイター
2022年1月の記事一覧
書評_より良い未来の為に__ゲノム解析は_私_の世界をどう変えるのか_生命科学のテクノロジーによって生まれうる未来_
ゲノム解析のテクノロジーが発展すれば、今後みんなが自分の体の情報をリアルタイムで知る事ができ、健康増進に繋がる。そして、不幸な死を迎える人が少なくなり、いい未来に繋がると思う。さらに面白いと思ったのは、体質や疾患発症のリスクが知れるのは当然だが、モテ期を解明することも出来るかも知れないとのこと。(これでモテ期無かったらショックですけど。) しかし、これだけ素晴らしいテクノロジーがあるのにもかかわらず、まだ私達の生活に多くの事が関与してないのは社会の合意がなかなか得られないからだ。しかもゲノム解析は生命科学という分野で倫理的な問題もあるので、さらに時間がかかる。スマホを見ればわかるが、テクノロジーは加速度的に発展しているが、社会の合意は遅く、さらなるギャップが生まれてしまう。そして、このギャップを埋める事が今後のいい未来を築く鍵になると著者である高橋氏は訴えている。 最終章ではこのギャップを埋める考え方についてまとめてある。紹介されている考え方の一つでテクノロジーの流れは誰でも理解できるというのがある。日々情報を集めて流れる方向を見て、その先を見据えて考える事が大事である。となると、義務教育の現場でどんどん最新テクノロジーに触れる機会を作らないと将来的にギャップはなかなか埋まらないかなと思う。 この本が発行されたのは2017年で私は2021年に読んでいる。まさにギャップということで言えば今回の新型コロナウイルスワクチンだと思った。世界的にワクチンの有効性を発信してギャップを埋めた事で押さえ込みに繋がったと個人的には思う。なので、人々がより幸せに暮らすために、少しでも最新のテクノロジーを迎合する社会になればいいと思う。なぜならテクノロジーは本来、人を幸せにするものだから。 ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか? 生命科学のテクノロジーによって生まれうる未来 作者:高橋 祥子 ディスカヴァー・トゥエンティワン
書評_自分とは_個性とは___自分_の壁
自分というものを掘り下げてみると実はあまり深くなく、どちらかと言えば周りの事がよく見えてくる、読んだ後、私はそう感じた。一見矛盾しているように感じるが、この本を読むと「なるほどなぁ」と腑に落ちてくる。自分が生かされているんだなぁと、しみじみ思う。 本の構成としては始めは自分の事についてフォーカスしているが、エネルギー問題や政治の話、情報社会など周りのことに広がってくる。そして、最後はまた自分の事について戻ってくる。最後の章では原点に戻ったけど、新しい視点を持って話を進めているように感じた。 特に印象に残っているのが伝統芸能の師弟の話だ。入門した弟子は、まず徹底的に師匠の真似をさせられる。それを10年、20年と続けていくと師匠と全く同じように出来ないことに気がついてくる。どこかがどうしても違ってくる。その違いこそが師匠の個性であり、また弟子の個性でもある。徹底的に真似をする事で個性は生まれてくる。しかし前提条件として師匠がきちんと基礎を学んでいる事である。でたらめな人であったら、どうしようもない。 この師弟の話を読んだ時に志村けんさんの言葉を思い出した。「非常識なことをするためには、まず常識を知らなきゃいけないんだよ。」 「自分」の壁(新潮新書) 「壁」シリーズ 作者:養老孟司 新潮社