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【学振】DC1落ちた申請書とDC2通った申請書をシェアしながら、申請書Tipsをまとめます

みなさまこんにちは!

このページに遊びに来てくださりありがとうございます。先にお断りしておきますが、一応申請書を見るためには課金が必要ということにしています。できるだけ多くの人に情報を届けたい、しかも、経済的に困っている人に届けたいと思っているのですが、個人情報ぽいものも入っているので、誰でもいつでもダウンロードできないようにきたいと思った次第です。ご了承ください!

というわけで、今日は学振採用のポイントを自分なりにまとめていきたいと思います。

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2024年3月8日追記

PDと海外学振にも無事採択頂きましたので、その申請書と追加Tipsを紹介する記事を書いています。ぜひ併せて参考にして頂けると嬉しいです。

学振とは?

学振の正式名称は「日本学術振興会特別研究員制度」です。その中にも色々と区分はあるのですが、院生が特に関わるのは「DC1」と「DC2」という枠組みです。

「学振については以前まとめたので、より詳しくはそちらを見てください」と書こうとしたところで、学振について今まで記事を書いていないことに気づきました… 大学院生の経済面において、とても大事な要素なのにありえないですね笑
今回はその概要をまとめるというのが趣旨ではないので、ざっくり書きますが、ホームページからそのまま引用すると、

特別研究員制度は、我が国の優れた若手研究者に対して、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与え、研究者の養成・確保を図る制度です。

ということです。主に、DC1は修士2年の春に、DC2は博士1年 or 2年の春に申請するもので、そこで採用されれば翌年から特別研究員としてお給料をもらいながら院生生活が送れます。

ぼくは昨年6月にDC2に申請して、9月に採用通知を頂き、まさにこの4月から特別研究員としての生活が始まるわけです!しかしながら、ぼくも修士の時に申請したDC1には落ちていまして、学振の酸いも甘いも経験してきたつもりです。今回はその経験をもって、学振申請書の書き方のポイント、さらには学振申請までの過ごし方についてシェアしたいと思います。ぼくは採点しているわけではないので、あくまで、参考程度にして頂ければと思います!

学振申請書のポイントをお伝えする前に

既に前置きが長くなっていますが、ぼくの考えるポイントをシェアする前に、先人たちが残してくれたTipsを確認してみましょう!

少しググるだけで分かると思うのですが、情報は本当にたくさん出されています。ありがたい限りですよね。

まずは、学振について体系的にまとめた本を読みましょう。ブログやYouTubeもいいですが、やはり本として綴られたものは全体像を知る意味でもちょうどよいです。とりあえず、『学振申請書の書き方とコツ』を読めば良いと思います。

また、ぼくはDC1に出した時、業績としての「研究論文」を1本も持っていなかったため、下のブログ記事を心の支え的に読んでいました(結局DC1はダメだったのですが…)!

あとは、ほかのブログ、YouTubeなど残っているものがたくさんありますので、ぜひチェックしてみてください!それでは、ぼくの思う学振申請書のポイントを挙げていきます。ちなみに、ぼくはDC1もDC2も社会科学の「認知科学領域」という区分で申請を出しています。その他にも周りには「社会心理学領域」「実験心理学領域」などで申請されている方が多いので、その辺りを考えておられる方は特に参考になるかと思います!

ポイント①とにかく論文を書こう

最初に書いておけばよかったのですが、この記事はできれば申請直前ではなくて、1年前とかに読んでもらえるとよいです。というのも、やはりなんと言っても「論文」を書いているか否かというのが、重要だと思うからです(とはいえ、断っておきたいのは、業績が全てというわけではなく、業績が結果に与える影響は小さくなっていっているし(と言われているし)、論文がなくても学振通った人はたくさんいます!)。

多くの先輩方から「業績としての論文」が重要だと教えてもらったし、中には、(DC2の時に論文を2つ出していたので)「じんぺーくんは論文2つあるし、安心だね」と言われたこともあります。そのくらい、力を持っていて、多くの人に目指して欲しいところです。

しかしながら、ぼくは何も「業績になる」という理由だけで「論文を書く」のが重要と言いたいわけではありません。他の観点を2つお伝えします。

①研究の分野や概念に対する信頼

これは、特にフロンティアで、先行研究があまりない領域において重要な観点だと思います。というのも、先行研究があまりない中で、自分の研究はここがこう面白いとか、実現可能です、というのは、もちろん言えないわけではないのですが、1つ査読された論文があるだけで印象が違うと思います(そして、そう聞きました)。

評価するのも人なので、別な人が審査をしたものを根拠にしているなら、より信頼感を持つのではないでしょうか。

②申請書の書き方がなんとなく分かる

これもとても重要な要素で、分かりやすい伝わる申請書を書くためにはやはり書くのが1番だと思います。ぼくはDC2を申請する時に、査読付き論文を2本持っていたのですが、それを書いたり、査読対応したりする過程で、ちょっとずつ論文ってこう書くんだなということが分かっていったような気がします(まだまだですが)。

実は、DC1の時は採択はされていなかったのですが、論文は書いていました。その時点で2回程不採択の経験はしていましたが、編集者や査読者との往復はあまりなく、書き方については、査読のやり取りの中での方が成長が多かったと実感しています(今も絶賛査読対応中なので、現在進行形ですが)。

といった理由です。分野によって、査読の期間や難易度などは全然違うと思いますが、早いに越したことはないと思うので、これをみたらなるべく早く論文投稿を考えてみてください!

ポイント②研究計画勝負

申請書の中でやはり1番重要なのは、「研究計画」だと思います。数年前から、1番最初のセクション、つまり、これまでの研究も「研究計画」の1部となり、あくまでこれからの研究計画のきっかけやモチベーションを語るという意味で今までの計画があります。

ぼくは、先生や先輩、同期、後輩、本当に色々な人に申請書を見て頂いた(ありがたい限りです)のですが、多くの人がこの研究計画のみをチェックしますし、ぼくのボスが「研究遂行能力」や「目指す研究者像」をチェックすることはあまりありませんでした。それほど、この「研究計画」が勝負を分けるのだと思います。

研究計画を書くコツを語れるほどの実力はなく、ぼくも修行中の身なのですが、申請書を書いている時に繰り返し言われたのは、研究同士を「有機的に組み立てる」ということです。学振の申請書に限らず、博士論文などの執筆の際も先輩がよく言っていました。これを分かりやすく言い換えるなら、「研究同士が相互作用して、パワーアップしていく」ということだと思います(分かりにくいですかね…)。

ぼくの研究計画の場合でいえば、俳句鑑賞中に感じる曖昧性について「心理的」「神経科学的(脳科学的)」「生理的(遺伝子学的)」の3つの側面から検討を行おうとしていますが、これらが、それぞれ独立して問題を明らかにするというわけではなくて、もちろん、遺伝子多型(その人が持っている遺伝子の型)が脳機能に影響を与えるわけだし、その相乗効果みたいなものが、芸術鑑賞に影響を与えている可能性だってあるわけです。これまでの研究も一直線で研究が積みあがっていくというよりは、らせん階段のように渦を巻きながら、研究が進んでいくイメージがなんとなくあります。

少し意識してみて頂けるといいのではないかと思います。

ポイント③審査者の方は時間がありません

これも別に学振に限ったことではなく、大学入試やその他選考という名の付くものすべてに該当しそうなことですが、「審査者の先生は時間のない中でこういった書類を審査している」ということを忘れないようにしましょう。しかも、学振の場合は基本的に、自分と全く同じ専門ということはあまりないと聞きます。つまり、自分の研究領域についてはあまり知らない先生に、研究の内容と魅力を伝えなければなりません。小さなポイントを2つあげます。

①図表に命を懸ける意味はある

まずは、図表に命をかけましょうか。学振の申請書には、図表が盛り込まれることが多いです。というか、図表がない申請書は見たことがありません。ぼくも6~8個の図表を入れていました。少し多いほうかもしれませんが、このくらい入れている申請書も普通にたくさんあります。

重要なのは、人は時間がない時、図表を追っていくという読み方をするかもしれない、ということです。もちろん、図表だけで採否を判断しているわけではないと思うのですが、一読した時に、研究の価値やおもしろさを分かってもらうというのは大事なのではないかと思います。

研究計画の図の書き方についても、情報がネットに転がっていますので、参考にしてみてください。多くの方で共通しているのは、デザイン性よりはむしろ、図も理路整然としているかということが大事だということだと思います。

https://ashbi.kyoto-u.ac.jp/ja/wp-content/uploads/sites/4/2019/11/ASHBi_KAKENHI2019_02-Ono.pdf

また、図表についてもしっかりフィードバックをもらうようにしましょう。経験上、テキスト以上に、沼に入ることがあり、すごくいいものができた!と思っても、他者から見れば全くということもあります。

②キーワードやキーセンテンスでも申請書を追えるようにする

図表と似ていますが、ざっと申請書に目を通すとき、やはり強調されているキーワードやキーセンテンスを追っていくということがあるのではないかと思います。申請書の中には、太字にしたり、下線をしたり、フォントを変えたりして、強調されるキーワードたちがあります。

それを目で追っていくだけで、「この研究はこういうことがしたいんだな」と伝わることが重要と教わりました。図表と合わせて意識してもらったらよいと思います。

いかがでしょうか?この辺りのコツも一朝一夕で身につかないと思いますが(ぼくも身についていません)、意識してみることから始めてみましょう。けっこう変わってくると思います!

ポイント④フィードバックをひたすら受ける

これは、あまりにも当然のことに思われたので、書くか迷ったのですが、やはり大事なので、自分の言葉でまとめていきます。まだ論文や計画書を書き慣れていないであろう修士~博士1年の間、自分の力だけでいい申請書が作れるとは思いません。先生や周りの力を借りながら、いいものを作っていきましょう。

ぼくはDC1の時は18稿まで書き直し(人にして10人くらい)、DC2の時も8稿まで書き直しました(ありがたすぎます)。もし、宛があるならもっと見てもらってもいいくらいかもしれません。フィードバックをもらう度に、伝えたいこと、強みを磨いていきます。

しかし、ここで、自分なりのTipsを書いておくのですが、フィードバックの貰い方は注意してもいいかもしれません。

というのも、ぼくはDC1の時に、本当に色々な方に「コメント頂けませんか」とお願いしていましたが、あまりに同時進行でお願いすると、そのフィードバックによっては、混乱することもありうるからです。この人のフィードバックによって、こう直したけど、また別な人は、逆とも思えることを言っていて、どうしたらいいんだー!となっていました。DC1の時、ぼくはあまりにもいいとこどりをしようとし過ぎていて、結局何が言いたいか分からなくなってしまった気がします

この反省を活かしつつ、DC2の時は、基本的に先生とのやりとりを大事にしながら、一区切りしたところで、先輩に見てもらう、ということを繰り返していました。これによって、1つずつ申請書を進化させていくことができたと思います。

学振も情報戦

というわけで、学振に挑戦するにあたってのポイントを自分なりにまとめてきました。そして、最後に、このnoteで共通するメッセージをここにも置いておきます。

それは、「学振も情報戦」ということです。多くの情報にアクセスして、戦い方を知っているかがとても重要だと思います。この点、ぼくはとても恵まれたところにいました。というのも、研究室の先輩や隣の研究室の先輩など、学振に既に通っている方がたくさんいたからです(ちなみに同期もけっこうな割合で学振に通りました、DC1も含めて!)。

しかし、多くの人が同じような環境にいるとは限らないので、こういったネットに転がっている情報であっても、上手くとって、自分の戦いに活かしてもらえたらと思います。時には、その執筆者にコンタクトを取ってみて、質問してみてもいいと思います。ぼくもできるだけ答えるようにしていますので、ぼくでよければ、お気軽に連絡してください!

みなさんが悔いないように、学振の申請書が出せるように応援しています。そして、ぼくも来年には次の申請書を書くことになるので、一緒に頑張りましょう!

DC1落ちた申請書とDC2通った申請書をシェアします

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