枯れてなお命を宿す
凛とした空気と静けさに支配された冬の里山
枯葉を敷き詰めた斜面には幾本もの立ち枯れの樹
張り巡らせた根はがっしりと岩土を抱き抱えているが
かつて聳えた逞しい幹はもうすでになく
風雨に朽ちた白い抜け殻だけが横たわる
天寿を全うしたか、はたまた命半ばで倒れたか
そのいきさつは知らないけれど、
やがて土に帰るその時までも
湿り気を保って苔草をはぐくみ
その身を砕いて冬越しの虫をかくまい
余すところなくおのれをつらぬく。
希くば、
かくのごとく我も命を燃やし、
尽きてなおそこに
新たな萌芽を宿さんことを。
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