最近の短歌(ジェンダーと00年代インターネットにまつわる連作)
『女の子にはなれなかったよ』
スカートは履かされたけどそれだけじゃ女の子にはなれなかったよ
制服のわたしを知らない土地にゆきスキニーばっかり履いて羽ばたく
学食でさらりと直す陰口の陰も消し去るグロスのひかり
カワイイと新作ワンピを褒めながら頭をよぎるタバコ屋の猫
「プレゼントですか小柄な彼氏さんだったらこちらがオススメですよ」
右前のシャツのボタンを留めるとき呪ってしまう暗い膨らみ
クマノミがいいな来世は母島をどちらでもない身体で泳ぐ
『インターネットに接続されていません』
荒れ果てた掲示板まだ息がある昔むかしの話をしよう
たましいの双子だったらよかったね赤の他人でしかないぼくら
かろうじてインターネットで手をつなぐインターネットでしかつなげない
寂しさの匂いが似てただけだったのに片割れと呼びかけあって
ともに発つカムパネルラになれなくて橋で見下ろす死にゆくザネリ
指先にばかり頼って嘘ばかりついて「星空きれい」さえ虚偽
親指でした約束は果たされず人差し指でもう誓わない
さよならもうまくできずに国じゅうの回線を切る、小指も落とす
うたの日 のほうはスベりがちだけど、好きに詠むほうはまあまあの調子です。
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