コロナ対応システム開発で発覚した電通グループの不正請求問題!【再委託の闇に迫る】
1. はじめに
新型コロナウイルス対応の公共事業において、またもや不正問題が浮上しました。
会計検査院の調査により、電通グループ企業が厚生労働省から受注したシステム開発業務で、約1.1億円の過大請求が行われていたことが明らかになりました。
この問題は、単なるミスではなく、再委託を巡る不透明な契約構造や管理体制の不備が根底にあります。私たちの税金が無駄に使われた背景には何があるのか、そして何を学ぶべきかを掘り下げます。
2. 問題の概要
過大請求の実態
厚労省は2020年、新型コロナウイルス感染医療機関等情報支援システムの構築・運用を目的に、電通テック(現・電通プロモーションプラス)と随意契約を結びました。この事業は医療スタッフや布マスクの確保状況を自治体に通知する重要な役割を担っており、コールセンター業務を含めた契約額は約8.6億円にのぼります。
しかし、2024年に会計検査院が調査したところ、コールセンター業務の人件費について勤務実態のない記録が計上されているなど、不正な請求が発覚しました。その総額は約1.1億円に達します。
再委託の不透明性
さらに問題を複雑化させたのが、再委託の構造です。電通テックは業務の一部をグループ会社の電通カスタマーアクセスセンター(現・電通プロモーションエグゼ)に再委託。
その後、アクセス社がさらに子会社のマイデータ・インテリジェンス(2021年に解散)へ業務を委託する「再々委託」の構造が明らかになりました。しかし、厚労省にはこの再々委託が届け出られていなかったことが、国の契約ルール違反として指摘されています。
3. 電通グループと厚労省の責任
電通グループの問題点
電通テックを中心とする一連の再委託は、業務の透明性を欠いていました。特に、勤務実態のない人件費を計上したことで、同社の内部管理体制が問われています。
また、再々委託に関する届け出がなされなかった背景には、意図的な隠蔽があったのではないかとの疑念も広がっています。
厚労省の対応の課題
厚労省側にも反省すべき点があります。
随意契約という手法自体が透明性を確保しにくい性質を持つ上に、再委託に関する監視体制が甘かったことが今回の問題を引き起こした要因です。監査体制の強化が求められています。
4. 公共事業における課題と構造的問題
随意契約のリスク
随意契約は、入札を行わずに特定の企業と直接契約を結ぶ手法です。
迅速な対応が求められるケースでは有効ですが、公正性や透明性が不足するリスクがあります。今回のケースでは、そのリスクが露呈しました。
複雑な委託構造の弊害
再委託や再々委託が繰り返されることで、業務の管理が難しくなり、責任の所在が曖昧になる問題があります。
また、再々委託先の業務内容や実態を発注元が十分に把握できないことが、結果的に不正行為を許す温床となります。
5. 社会的影響と信頼の回復策
公金利用に対する信頼の損失
国民の税金が適切に使われていないと感じた時、政府や関係機関への信頼は大きく損なわれます。
特に、新型コロナウイルス対応という緊急性の高い事業において、このような問題が発生したことは、国民感情に悪影響を与えました。
再発防止策の提言
透明性確保のための強化: 再委託・再々委託の詳細を明確にし、届け出を義務化するルールの徹底。
発注者側の監査体制見直し: 公共事業の進捗や費用の監視を強化するため、独立した第三者機関の導入。
随意契約の適正化: 緊急時であっても、競争入札を可能にする方法を検討。
6. 結論
今回の問題は、公共事業における透明性と効率性を問う重大なケースです。特に、コロナ禍という社会全体が危機的状況にあった時期において、このような不正が発生したことは深刻です。
我々は、税金の使途に対する監視を強化し、同じ過ちを繰り返さないための仕組みを構築する必要があります。
今回の教訓を活かし、より公正で信頼できる公共事業のあり方を模索していくことが求められています。