宇宙のタネ⑥

「君には、今から私の中へと移動してもらう。」

リーダーは自分の体を指し示した。

「はい…」

自信なさげに答えた。

『えっと、また石とか車みたいにするの?』
『君は、まだ魂の操作が未熟だから…リーダーが君を引き抜く。僕はこのまま、このボディにのこる。』

『私だけいくの?』
『そうだ。難しいことはない。大丈夫さ。ゴーストと常に繋がっている。お任せすればいい。』

『お任せって…うーん。未知の体験ばかりで…まあ、成るように成るか…ってとこかな』

『よくわかってるじゃないか。皆、その成るように成る流れに乗れる。そうできている。

僕らに不足して居るものはない。』


車は程なくして停車した。

屋外にいるというのに、荒野には音一つなかった。

静かすぎる。

静寂がこだましている。

やがて

頭上で石と石が擦り合わさるような、石臼を引くような低い音が聞こえてきた。


「音に意識をあわせて」

リーダーは指示した。

ゴリゴリ…ジリジリ…ゴリゴリ…

頭上には目に見えぬ大きなゲートが輪っかになって回転でもしているんじゃないか?

そんな想像をした。

ふと、
『天使の輪っかってゲートだったのかな??』

天使のあの輪っかは音出来ているかもしれないと考えてみた。次元を超えた通信をしていたのか・・・

思考が止まった。

急にボディとの五感が切れた。
心もふっと、無になった。



意識が切り替わった。

ビリビリと電気を帯びた気体にでもなったようだった。

自由自在に何にでも一体になれそうなくらい軽くなった。


自分の身に起こったことを、台本のト書きを読むように認識する私。


感覚が切り替わった。重量をかんじた。何かを超えて到達した感覚だった。

ここはリーダの中なのだろうか?

「ようこそ。上手く入れたようだね。君の他に現在18名がここに…私の中にいる。みな、君と同じ仲間だ。」

リーダーの声は、魂だけの私に振動として響いてきた。

言語がとても遠回しなツールに思えた。


リーダーの中にはざわめきが在るでもなく、

濃縮した個人、という空気感があった。

濃縮され、研ぎ澄まされ、コアになった個人が集合している・・・と言ったらいいのか。

そこにあった、集っていた個と自分の個には明らかな差があった。

そして、みな静けさに漂っていた。それは、統一されていた。

リーダーのゴーストは宇宙のようだ。

皆は、宇宙に集う星々のような、そんな空間だった。

宇宙自体をこの目でみたことはなかったが、あきらかにそれであると。悟った。

皆はリーダーの引力に引き寄せられたというよりは、リーダーのゴーストに共振を合わせているようでもあった。

こうも考えれらた。

リーダーの皆を共振させる振り幅が大きい。ということ。私のような者も拾い集め、レベルのちがった者たちを安定させる空間をつくりあげる力がある。

そう考察もできた。

「上出来です、あなたはここに皆と居る意識がなんであるかを獲得しました。

言葉は確認でかしありません。

あなたは、あなた自身にあたな課題を発見した。」


「はい・・・」


思考はまた静かになった。消えはしないが、一直線のシンプルな線になって空間を浮いて居るようだった。


・・・空間。

「そうです。空間です。それがあれば、個は個を統合し、統一しつつ個はそのままありつづけます。

そもそも、個は全体があるからこそ、それとして成り立つ。

空間に意味を持たせず。ただ認知する。」

「はい」

「この空間の圧縮をします。より他の者を近く感じるでしょう」

空間がせまくなっていないのに、ストレスを感じた。

これは・・・

対人関係でうけるストレスによく似ていた。

”こうおもわれるかもしれない”

”嫌われたらどうしよう”

”拒否されたら・・・”

これまでの人生での経験が、トラウマが蘇りそうになる。


(『それは、私が生み出したマヤカシだ』)

ビジョンが鮮明にうきでた

”9”

「それは、マヤカシだ」

わたしは鮮明にみえたビジョンと声に応じ

た。リーダーの声でもない。

リーダーが間をとって

「声は聞こえましたか。それがあなたの種です。ゴーストの一部といっておきましょう。」

「9とは、還元される代名詞とも言えます。9に何をたしても、出た答えはまた足し合わせると9にもどります。

駆け足した答えにも。


つまり、自分のあり方が自他の境界線を決めるのです。


ですから、地球での人間生活の経験がここでは、


集合体のスキルとして扱えるようになるのです。

扱う時に必ず数字を意識するのです。


あなたは9から学びを発見した。そして、いまこの空間で”9”という意識でストレスを超えた。

ストレスという負荷は自他の境界線のレベルでもありますが・・・今は気にせず先に進みますよ。


皆もその数字に意識をリンクさせます。

同じように、一つのボディに他の個人を集わせる時にもこの意識の使い方は重要です。」


宇宙のたね⑦へつづく





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