第九十六回箱根駅伝[短歌連作]
1月3日、10区13.5キロ地点 新八ツ山橋の歩道にて
人垣が四重になり背中側が熱い車道はまだ風ばかり
駒澤はどこにいます?とスマホ見るひとに「鮫洲」の読み方をきく
孫は青学、娘と母は東洋で、学連を推す婿のやさしさ
車線規制済みの道路にまぎれ込むUberEatsに笛の吹かるる
上空にヘリの回りて先頭はまもなくここへざわめきは波
できるだけ選手は名前で呼びたくて集団で来てガンバレと呼ぶ
二区東洋大相澤選手と東国大伊藤選手の並走
走るのは楽しいことと知る者とおなじ速さで街は流れる
六区東海大舘澤主将の力走
重戦車の覚悟の落下 仲間には言葉なしでも伝わってゆく
給水係をする五輪競歩代表内定の川野選手
なめらかに膝を滑らせ歩くよう競歩選手の慣れぬ駆け足
大手町で一年生アンカーを待つ六区区間新の今西選手
人間のままで去年を超えた日の雑踏に立つ目のおだやかさ
四年間見てきた子らは子のようで子なら笑って終えてほしくて
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短歌連作サークル誌『あみもの 第二十五号』に投稿したものです。
新八ツ山橋でお会いした『駒澤どこにいますか?』の方と、『応援するチームがそれぞれ違う一家』とは、「来年またここでお会いしましょう!」と言って別れました。2021年の1月3日に、ほんとにお会いできたらいいなあ。ちなみに学連推しのお婿さんは、今年学連の監督をされた麗澤大学山川監督のお友達だそうです。来年はご自分の大学のチームで出場できるといいですね。
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