2021年の自選短歌30首
香水の棄てかた知らず歴代のわたしが並ぶ 古びて並ぶ
フランク・ロイド・ライトの椅子に浅く掛け天に脳を吊られるごとく**
敗戦は戦わぬものに訪れずスノードームの内の静けさ**
ひと冬で死なせた鳥の小さくて鋭い爪で怪我したかった**
似た意見だらけの世界を約分し1だけになる とてもさみしい
プディングのゆれる周期で覚悟などふらつくものと知っていたなら
治外法権のこころをスプリングコートの内にはためかせ笑む
エアコンの効かぬ倉庫にマネキンをなるべく詰めて日給を得る
解体中のビルに