坂をくだれば［短歌連作］

五限後に坂をくだれば空港におりる機体の影の濃いこと

徒歩の子の速さに合わすチャリの子のかばんに揺れるたらこキューピー

銭湯にすべり台あり男湯はあれで遊んでのぼせてるとか

初恋の味といわれて口にした焼いたバナナはねっとりにおう

始発まであと40分からっぽのタクシー乗り場で見てた朝焼け

食べ放題出禁になった伝説の七回生は部室には来る

モノレールにゆられ横切るニュータウン再再履修の代数のため

落ちるのはほんとはこわい千里から柴原までの下りが長い

坂下のすぐに閉まった雑貨屋のデュラレックスがいまも割れない

……そういえば長い間note放置してるな、というのを思い出して、先月の「あみもの」第三十号に投稿した連作を再録します。
私の短歌連作では珍しく、95％実体験です。

デュラレックスのグラスはいまも毎日使っていますが、飲み口のあたりがとうとう欠けてしまいました。