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短歌自選集

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その1年詠んだ歌から、30首自選したものを毎年ひとつずつ加えていきたいと思います。
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2020年1月の記事一覧

2019年の自選短歌30首

2019年の自選短歌30首

教室が遠い 若葉をくちびるにつけても鳴らず藤棚にゐる
その歌詞がぼくらのようで歌えずにメロディのみを乗せる口笛
僕らおなじ喉に隆起の記憶持ち海に帰らずのたうつばかり
手のなかの薬莢撫でて真昼間の少女が想う母の恋人
違和感は好きの糸口 休符から始まる拍で話すあなたに
たまごまで戻れるのなら鳩になり手紙をつけて直ぐ帰りたい

急坂のバスは傾き一斉に傘の先から雨が流れる
容疑者は同世代だと報じられ「やは

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