「チベットに自由を!」と叫んだ球児
こんなことを書いても信じてもらえないかもしれないが、
高校で野球をやっていたころ、練習後にみんなで食事をしている時や、バス移動の途中に
「チベットに自由を!」
と突然叫びだした同期の部員がいた。
しーん……となった。
僕もチベットの独立を支持している。
最近の中国は香港への弾圧も加速していて、その同化政策には断固反対だ。
しかし、高校の部活動の最中に
仲間うちに向けて”チベットの自由”を求める絶叫をして、どうにかなるわけではない。
しかも彼は普段おちゃらけているというわけでもなく、頭がおかしいかもしれないというイメージはあったが、
そんなことを突然言われても困惑するだけである。
すこし譲って
「みんなもチベットに共感を!」
ならまだわからなくもない。もっと国外への意識を高めよう、という呼びかけとして。話を聞くかは別問題だが。
それが「チベットに自由を!」となると、もはや中国政府に対する提言である。
卒業以来、彼には会えていない。
高邁な精神を持っているのはわかるが、やはりTPOはわきまえたほうがいいと思う。
結局いまだに、なぜ彼が突然チベットの自由について叫びだしたのかは、謎のままだ。
僕らももういい大人だから、本当にチベットの自由を求めている場合は、違う方法を取ったほうがいいとわかる。
それを彼にはいつか伝えたいと思っている。