毒親から「解毒」できない理由とは?
毒親から解毒できない、すなわち毒親から物理的・心理的にしかるべき距離をとることができない理由は1つ、あなたが毒親のことを憎んでいるからです。
憎むとなぜ解毒できないのでしょうか?
これも理由は1つです。
あらゆる他人の背後に毒親を見てしまうからです。
例えば、あなたに何の危害も加えないどころか、よくしてくれる人に対して、あなたは「この人も毒親のようにいずれ私のことを騙すのだろうか?利用するのだろうか?」と考えてしまう。
これは明らかに、目の前のAさんを見ているようで、実はAさんをとおして毒親を見てしまっているということです。
すべてにおいて毒親を見てしまうということは、すなわち過去を見てしまう、すなわち、あなたの心は四六時中過去に縛られていることを意味します。
それに対し、解毒とは「今ここ」です。
過去に縛られている心を解き放し、今この瞬間をいきいきと生きることができるようになる状態。これを解毒と言いますよね。
さて、ではどうすれば、憎しみの気持ちは消えてくれるのでしょうか?
これには3つあると僕は考えます。
1つは、死生観が大きく変わる出来事に遭遇した時に憎しみの感情がなぜか消えるというものです。
例えば、近しい人の死を経験することによって、毒親に対する憎しみがなぜか和らぐということがあります。
2つ目は、憎んで憎んで憎み倒して憎み疲れたときに、ふっと力が抜けて、なんとなく解毒が始まるというものです。
3つ目。
これは「もしできれば」という但し書きをつけて述べますが、もしできれば親の事情を考えてみるということです。
毒親はある日突然毒親になったのではありません。
例えば、子供の頃、兄姉にいじめられて育ってきたので兄姉を見返したいという思いが強く、その結果、毒親になったのかもしれません。
あるいは子供のころ貧しくて、その貧しさが何らかの出来事を誘発し、その結果、メンタルを病んだのかもしれません。
あるいは、あなたのお母さんは中学生の頃、学校でいじめられていたのかもしれません。
つまり、毒親には毒親なりの事情というものがじつはあり、それを知る、あるいは想像することによって解毒が始まるということです。
いずれにせよ、毒親を憎む気持ちが自己肯定感の高まりを阻害しているのですから、どうにかしてその気持ちを解放してあげる必要があります。
それさえできれば、あとのことは自動的にどうにかなりますので、放っておいても大丈夫です。