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オーストラリアの証券市場と不動産価格の高騰

*本記事は、オーストラリアの証券市場の動向や主要企業、不動産価格の状況についてまとめたものであり、決して投資を促す事を意図したものではありません。

前回は、オーストラリアの経済と労働市場に注目しました。今回は、あまり知られていないオーストラリアの証券市場について少しまとめたいと思います。

1.The Australian securities exchange

オーストラリアの証券市場は、The Australian securities exchangeと呼ばれています。ここでは、東京証券取引所のように、株式や、国債、投資信託などが取引されています。

オーストラリアにも、日経225のように、国の株式市場を代表する銘柄を集めた名称があり、それをASX200と呼んでいます。オーストラリアの市場全体の動向を把握するにはまずこのASX 200を見れば良いでしょう。

以下の図はここ10年のASX200の値動きです。時々、多少のups and down はありますが、緩やかに上がっていると言えるでしょう。コロナウィルスによるパンデミックにより2020年は著しく落ち込んでいる時もありますが、2021年には回復し、2021年6月末(年度末)には、過去12か月で24%上昇し、史上最高値となっています。オーストラリアが他国と比べて比較的コロナウィルスを抑え込んできたこと、そのため2021年6月にシドニーが再びロックダウンに入るまでは、ほぼ普通の生活が出来ていたことで景気が回復基調にあるとみられたと考えられます。

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そして、その相場を支えたのがやはりIT部門、次に金融、マテリアル部門、コミュニケーションです (CommSec調べ)。

2.やはりマテリアル部門は強い

オーストラリアは、資源が豊かな国です(そして、それゆえに、皮肉なことに、それに経済が依存気味という現実があります。個人的にはもっと科学技術や人材の育成にに投資してもらいたいのですが)。

オーストラリアの代表的なマテリアル企業といえば、Rio Tinto とFortescue Metals です。両社の概要は、

Rio Tinto::鉱業・資源分野の多国籍企業グループ。主な製品は鉄、アルミ等。35か国でスタッフ47500人

新型コロナウイル感染症の対策として為された景気刺激策がRio Tinto 社の製品に対する需要を押し上げ、2021年度上期の決算は、純利益122億米ドルという記録的な内容となっています。「特別項目を調整した純利益の75%にあたる1株あたり561米セントの中間配当をおこなう予定」と発表しました。

Rio Tinto 社の株価の過去10年の推移は以下の通りで、2015-2016年に落ち込みましたが、その後順調な成長がみられます。

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Fortescue Metals:西オーストラリア州に本社がある鉄鋼業の企業。創業者のAndrew Forrestはオーストラリア1,2位の富豪として知られる。創業以来順調な成長を続けている。2021年度上期の決算もRio Tinto同様記録的な数値です。

Fortescue Metals 株価の過去10年の推移は以下の通りです。2019年からの著しく伸びています。

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この二つの銘柄はオーストラリアの市場を牽引していると言って良いでしょう。

3.気になる不動産価格の高騰、要因は2つ

ここ数年、国内の不動産価格が、さらに高騰しています。その要因として2つ考えられます。1つは金利がオーストラリア史上最低水準であることです。現在の公定歩合は0.1%です。さらに、住宅ローンに関して言うと、新規の場合は2.75%という低水準です。銀行にお金を預けても、金利がつかない、では上がる見込みのある不動産に資金が流れるというわけです。さらに、上がり続ける不動産価格が、さらに購買意欲を駆り立てているという構図です。

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そして、もう一つの要因は新型コロナウィルス。自宅で過ごす時間が増えたり、より確かな資産を持ちたいという意思が住宅取得に働いていると言われています。

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(Source: https://www.housingdata.gov.au/visualisation/housing-affordability/residential-property-price-index-capital-cities)

4.まとめ

オーストラリアの景気は前回紹介したGDPや株価、また住宅価格からみても上向きと言えるでしょう。ただ、新型コロナウィルスのデルタ株の蔓延でシドニーで6月からロックダウンが続いており、経済の失速は避けられない状況となっています。ロックダウンを緩める鍵はワクチン接種ですが、2021年7月末現在で18.7%(2回接種、16歳以上)と国の目標である80%まではまだまだ長い道のりと言えます。経済動向はコロナ禍や他の経済要因(貿易など)とともに注意深く見る必要があるでしょう。
 


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