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"LTV"の意味をきちんと理解する〜「LTVの罠」読書感想文(前編)
こんにちは。マーケターの方は1度はご覧になったであろう「LTVの罠」という本を読みました。昨今、経営陣(もしくは経営企画部門)やマーケティング部門で言われることが多い「LTV(ライフタイムバリュー)」という言葉。私はこの本を読んでLTVの意味を改めて考えることができました。
本の要約
LTV向上施策はら長期的に顧客とのコミュニケーションを改善するものが多く、即座に売上や利益に反映されない。また、LTVを分解すると「客単価×購入頻度×継続購入期間」だが検証に時間がかかる。
あえて期間を1~2年に区切り、売上や利益貢献をはかる。著者がおすすめするのが、「LTVボトルネック」を特定し、それが解消されたかどうかをKPIとして設定する方法。
例: プロ野球のLP→初心者が球場に行く方法が分からない、というボトルネックが解消されたかどうかは、球場来場者のアンケートで、初心者比率や不安解決率を計測する。/初心者ガイドページがどの程度見られているかをKPIにする。
→ただしこれには「初心者は球場に行く方法が分からない」というボトルネックがカスタマージャーニーの中でも特に大きな障害になっていることを証明する必要がある。LTVのボトルネック解消をKPIにするには、カスタマージャーニーの解像度を高め、対応するボトルネックの優先順位を決める。
LTVの失敗事例
(注:本書で書かれていた失敗事例は、これらの施策を実施することが失敗なのではなく、実施する目的からかけ離れていたために失敗した事例です。)
会員プログラム:航空会社のマイレージ、カード会社のポイント…のような相当経済圏をつくっている会員プログラムでない限り、失敗する。例えば、とある不動産グループで会員プログラム(商業施設やホテルで使えるポイント)の事例では、ユーザーは商業施設のみもしくはホテルのみでポイントを活用されていて、クロスで使っていない。
会員アプリ:アプリが使われるのは、端的に頻度が高いタスクを最短で達成したいときだけ最適な手段となる。(保険会社のアプリなどは、よほどのことがない限りログインしないため適さない。)一般的な企業のアプリで顧客が高頻度で使うのはEC、店舗、メディアのいずれか。利用頻度が低い業界の場合、アプリが使われないことも。
サブスク
メディア:自社のオウンドメディアを立ち上げる事例。集客できないことが最大の失敗の原因。
→集客に困ると、広告、SEO対策、メルマガ集客に力を入れていく。メルマガは、顧客リストが多ければ有効な手段になるが、顧客と定期的に接点を持ちたいだけなら、メディアを作らずメルマガだけ送っていればよい。SNSは企業視点だと拡散されづらい。1to1コミュニケーション:わざわざユーザーの条件を分けるケースは、インセンティブを絞る、遠すぎるターゲットを分ける、タイムリーに接触する。
大事なこと
目的を持ってデータ分析(顧客分析)を行う。
データ分析の目的が発見なのであれば、まずはデータの相関分析から始めるべき。
LTVのボトルネック
現状のカスタマージャーニーやSTP等のフレームワークは、顧客の知ってから1回行動するまでをプロセス化しているにすぎず、企業と顧客が生涯の関係を築いているようなカスタマージャーニーを表現できていない。
LTVのボトルネックは大きく4つに分類される。
認識してもらうまでの障壁が高すぎる
顧客に魅力が伝わっていない
接点がなくて顧客の状況がよく分からない
遠慮のし過ぎでチャンスを逃している
これらのボトルネックを解消するためにMASTの提案
Meet: 初めて認識されるまでのボトルネック。
ボトルネックになりやすい商材
・単価の高い商材。ニーズが発生した一瞬の競争になりがち。
・単価はそれほど高くないが、企業が知らぬところで検討が終わってしまう商材。
例:旅行のOTAから離脱するポイントは2つ。1つは、宿の詳細を知りたいと思って宿名を検索する場合。OTAより詳しい情報がないとOTAに戻っていく。2つめは、もっとお得なプランを探すためにプラン名を検索するケース。検索エンジンにプラン名をいれ、同じプランだけど金額が違う場合、OTAに戻っていく。
↓
「公式サイトが一番お得」と謳うと、抜け穴がある。1つは、ポイントを差し引くとベストレートではない。もう1つは、ユーザーが公式のベストレート訴求に気づかないという点。
・所有されても認識されない商材。所有しているあとに認識される必要がある。記憶に残るストーリーを伝える、ことばにする必要がある、頻繁に見聞きする接点をつくる。
Attract: すでに備わっている魅力が顧客に伝わらないボトルネック。
→過剰な機能をつけていないか?正しく伝えているか?
Sense: 顧客の状況を日常的に把握し、ニーズの発生を検知するまでのボトルネック。
↓
ボトルネックになりやすいケースとしては、顧客情報の未取得、顧客シグナルの見逃し、顧客データの不足の3パターンである。顧客情報とは、個人を特定でき連絡可能な顧客データのこと。顧客が今どのような情報が欲しいか把握するデータは、意識的に取得していなければ不足する。顧客接点が少ないビジネスでら、顧客との距離が遠いメールなどをつかい、できるだけ時間とコストをかけずに、既存のコンテンツを使い回す方法が有効。
Trade: 企業が遠慮しすぎて、営業機会を逃しているというボトルネック。
→既存顧客へのアップセル営業が弱いことによる機会損失、新規顧客への押しが弱い、人間の対面営業が不足している。
↓
顧客により高い付加価値を与えるには、どのような対策が考えられるか。この問いは誤り。リピートを獲得する方法は、営業をすればよい。
後半はこちら。
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