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ヒットの手がかり:周りから伝える

今日もご覧いただきありがとうございます。商品がヒットした要因を独自に分析、その中から一つを、”ヒットのヒント”として解説します。今日は「Shark Ninja Blast」を見ていきたいと思います。(画像引用元:https://www.sharkninja.jp/ninja/blenders/blast/

ヒット商品がヒットした要因は様々あると思います。自分はこう考える、これは違うのでは?など意見がありましたら、ぜひコメントに残していただければと思います。皆様のコメントによって、より多角的な分析に繋がればと思います。

Shark Ninja Blastについて

Sharkは主にモーターを使った家電に強みを持っているアメリカの家電メーカーです。アメリカ市場で2014年に掃除機メーカーのダイソンからシェアNo.1の座を奪い取り、2018年に掃除機で日本市場に参入した際には「ダイソンキラー」の言葉と共にパイプの折れ曲がる掃除機が話題となりました。

パイプが折れ曲がり、ソファーやベッドの下が掃除できるEVOFLEX。
(画像引用元:https://www.biccamera.com/bc/item/5351253/)

その後も日本ではハンデイクリーナーやスティッククリーナーを展開していましたが、元々海外では調理家電も展開しており、2023年にミキサーを日本市場に投入しました。そのミキサーが今回の「Ninja Blast」です。
最大の特長は充電式で、小さめの容量で持ち歩けるくらいコンパクトでありながら、氷も砕けるパワフルさを兼ね備えている点です。
仕事で販売データを見たことがあるのですが、発売後から急激に売上を伸ばし、停滞が続いていたミキサー市場の勢力図を変えています。そんな「Ninja Blast」を今日は見ていきます。

周りから伝える

ミキサーは新商品が出るサイクルが5年~10年くらいで、他の家電に比べると市場の変化が少ないカテゴリーです。各社商品がモデルチェンジする際は、デザインは変わっても、機能面の技術革新はなく、既存商品の延長で改廃されています。
今回のNinja Blastについても、コードレスという特徴は大手メーカーの商品とは異なるものの、Amazonで検索すると似た商品は多数ヒットし、珍しいものとは言い難いです。また価格も安くはありません。
しかし、Ninja Blustにはほかのミキサーと大きく違う点が1つ存在します。それは販促です。
ミキサーでは珍しくテレビCMを放映し、インフルエンサーを活用したYouTubeで商品をアピールしています。店頭では、4色の本体が横並びになり、売場のスペースを広くとって存在間を出しています。また展示台も光ったり、販促動画が流れたりと、目立つ工夫がされています。

変化の少ないミキサーに対して、消費者は「ミキサーなんてだいたい同じ」「どれを買ってもそんなに違いはない」というイメージを持っていることでしょう。店頭において、単価が安いミキサーは、売上予算のある店員は積極的に接客しません。そのため、ミキサー売場は消費者にとって商品を選びにくい状態にあります。
その中で、テレビや店頭の販促に力の入ったNinja Blastは、消費者の目に明らかに違うものと映り、結果「どれも同じ」中から「これが良さそう」を引き出し、購入に繋がっていると考えられます。
よく家電量販店には、メーカーの説明員が立っていて、自社商品をオススメしています。家電量販店の店頭で、購入する家電を決める決め手が「店員のおすすめ」であるケースが多いからです。

しかし、Ninja Blastは店員には頼らず、テレビやインフルエンサーで、周りから直接消費者に接触し、目立つ店頭展示で確実に刈り取っており、いわば消費者が店頭に来た時には勝負がついている状態を作っています。

枯れた市場を狙う

メディアで認知を上げ、店頭で刈り取る、という流れは、本来当たり前のことです。Ninja Blastが特別なのではなく、変化の少ない市場で「お馴染みのミキサーです」という売り方をしていたメーカーが弱かったのでしょう。
いわゆる枯れた市場になると競争が緩くなり、特にシェアが高いメーカーの販促予算は少なくなります。そんな市場であれば、当たり前の販促でひっくり返せることを示した一例がNinja Blastだと思います。

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ヒット商品研究所
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