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しくじり商品研究室:スカイライン・クロスオーバー
今日もご覧いただきありがとうございます。
商品を企画する際に、ヒットに導くのは難しいのですが、反対に失敗要素を極力減らしていくことなら比較的実行しやすいです。
ここでは、失敗した商品の原因を知ることで、失敗要素を減らす参考になればと思います。
(トップ画像引用元:https://history.nissan.co.jp/SKYLINECROSSOVER/J50/0907/)
スカイライン・クロスオーバーの例
![](https://assets.st-note.com/img/1729003862-9xJVSnj6EdOpfPiCXDeuH4Kz.jpg?width=1200)
(画像引用元:https://history.nissan.co.jp/SKYLINECROSSOVER/J50/0907/)
スカイライン・クロスオーバーは、日産自動車が2009年に発売した、SUV(スポーツ用多目的車)です。日産を代表するスポーツセダン「スカイライン」の名前の通り、スポーティでありながら、実用性にも優れたSUVであるのが特徴のクルマです。海外では、日産の高級車ブランドである「インフィニティ」から販売されており、高級感もあります。しかし、2016年まで販売されたものの、国内においては、その後のモデルチェンジはされず、一代限りで販売終了となりました。
今日は、このスカイライン・クロスオーバーを見ていきます。
しくじり理由
スカイライン・クロスオーバーのしくじり理由の1つ目は、価格設定にあります。
スカイライン・クロスオーバーの当時の新車価格は420万円から500万円でした。当時は、今に繋がるSUVブームが起こりつつあり、例えば、トヨタからは3代目ハリアー、マツダからは初代CX-5が発売されたタイミングであり、これらのSUVはおおよそ200万円後半から450万円くらいの価格帯です。
![](https://assets.st-note.com/img/1729003692-eahdVzuOLX9ItEQDHiwb3nB5.jpg?width=1200)
(画像引用元:https://www.goo-net.com/magazine/contents/check-point/47503/)
比較的価格の高い三菱パジェロでも350万円からラインアップされ、国内のSUVのボリュームとなる価格帯が200万円後半~450万円となる中で、最安でも420万円の価格は明らかにボリュームゾーンを外しています。
その一方で、外車に目を向けると、BMW X5やポルシェ・カイエンといったSUVが安くても800万円前後という価格で販売されています。国産車と外車の違いはあるものの、高級車としての価値が認められれば、選ばれる価格でもあります。
そこで、足かせになるのが、「スカイライン」の名前で、これがしくじり理由の2つ目になります。
スカイラインは1990年代には自動車の販売ランキングの上位にも入り、知名度が高い車ですが、現在はかつてのようには売れていません。この理由のひとつは、かつてのスポーツカーとしてのイメージが強く、高級車としてのイメージ転換が出来ていないことにあります。一方でトヨタの「クラウン」はセダン不人気の中で苦戦はしているものの「高級車」としてのイメージが確立され、SUVやエステート(ワゴン)などのラインナップを拡大しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1729004262-sl7S16iyKNXTxbB54eMw2AUF.jpg?width=1200)
(画像引用元:https://toyota.jp/info/crown_brand/compare/)
つまり、「スカイライン」のブランド名は、知名度はあるものの、高級車としてのイメージが弱く、価格の納得感を出す後押しになっていないのです。スカイラインのブランドイメージが持つ価値を冷静に分析していれば、結果は違ったかもしれません。
ブランドエクイティ
ブランドイメージについてもう少し踏み込んでみます。
ブランドが持つ資産価値のことを「ブランドエクイティ」と呼び、「ブランドロイヤルティ」「ブランド認知」「知覚品質」「ブランド連想」「他の所有権のあるブランド資産」から構成されます。
商品のブランド名を考えるときには、この五つの要素が製品と合致し、高い状態にあるか、または、その状態を作り出すことができるか、を考える必要があります。また、自社内での評価や位置づけではなく、顧客の頭の中でのイメージが重要です。
今回のスカイライン・クロスオーバーの例では、「ブランド認知」は高いものの、「知覚品質」や「ブランド連想」が高級と結びつかず、価格の納得感が生まれない、というものでした。これは、顧客の頭の中の評価と、日産内での「スカイライン」というブランドの位置づけのズレによって、生まれてしまったと考えられます。
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