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しくじり商品研究室:ヨナナスメーカー

今日もご覧いただきありがとうございます。
商品を企画する際に、ヒットに導くのは難しいのですが、反対に失敗要素を極力減らしていくことなら比較的実行しやすいです。
ここでは、失敗した商品の原因を知ることで、失敗要素を減らす参考になればと思います。
(トップ画像引用元:https://online.nojima.co.jp/commodity/1/4935850180038/)

ヨナナスメーカーの例

ヨナナスメーカーは、果物の製造・販売で有名なドールが発売した調理家電です(厳密には、アメリカの企業が開発・製造したものをドールが販売)。冷凍したフルーツを本体に入れると、モーターで回るカッターで押しつぶしながら切削、ドロッとした状態にすることで、スムージーやジェラートを作れる商品です。一言でいうと「砂糖を使わずにヘルシーなアイスクリームが作れる」といった商品です。

冷凍したフルーツを本体上部から押し入れると、アイスクリーム状になって出てくる。
(画像引用元:https://www.cotta.jp/special/tool/yonanas.php)

2013年の発売直後から、多数のメディアで取り上げられることで話題になり販売も好調だったようです。短期的にはヒットと呼べるので、扱うか悩んだのですが、現在あまり話題にならず店頭でも見ないことから、長期的なヒットにならなかった背景を今回見ていきます。

しくじり理由

ヨナナスメーカーが長期的に売れなかった理由は、既存の家電で代用されうることです。
ヨナナスメーカーの代替になりうる家電は、ミキサーやフードプロセッサーです。

原則水分を加えて切削するミキサー(左)と、水分なしでも切削できるフードプロセッサー(右)。

ヨナナスメーカーは、冷凍したフルーツをそのまま水なしで切削出来ます。一方でミキサーは、冷凍フルーツに非対応の商品が多く、また切削には水が必要です。フードプロセッサーは、水がなくても切削出来ますが、やはり冷凍したフルーツは非対応の商品が多いです。しかも、ミキサー、フードプロセッサーいずれも冷凍フルーツ対応ものでも、冷凍フルーツは予め小さく切っておく必要があります。
つまり、メーカーが定めた本来の使い方に従うと、冷凍したフルーツをそのまま水なしで切削できるのはヨナナスメーカーだけとなります。そう、本来ミキサーやフードプロセッサーは競合ではないのです。
しかし、この「メーカーが定めた本来の使い方に従うと」に落とし穴があります。ユーザーは必ずしも正しい使い方をしていないのです。例えば、冷凍フルーツ同様に氷もミキサーによって対応しているものと非対応のものがあります。ところが、クックパッドで氷を使ったミキサーレシピを調べると300以上出てきます。おそらくご自宅のミキサーが氷に対応しているかなんて気にした事はない方が大半だと思います。
その結果、消費者の中ではヨナナスは多少手間が減るかもしれないが、ミキサーやフードプロセッサーで代用できるものになってしまっています。ヨナナスメーカー自体が単機能で作れるメニューにも限界があることも、同様の価格で買えるミキサーやフードプロセッサーが選ばる後押しとなってしまいます。

世の中の流れも向かい風に

さて、製品面でヨナナスメーカーが長期的に売れなかった理由をここまで見てきましたが、世の中の流れにも要因があります。
それは果物の価格高騰です。調べてみると、果物の価格は2014年頃から上昇しており、ヨナナスメーカーの販売後、向かい風が吹きはじめた形です。
(価格推移はデータで見る大阪農業さんの記事が参考になりました。青果物卸売市場調査がもとになっています。)

これは商品企画段階では予測出来ないのでいたし方ないと思いますし、その中でも発売後に好調な売れ行きだったのはプロモーションの努力の賜物だと思います。

さて、調理家電は一時的に話題になり消えていく商品が多々あります。ヨナナスメーカーの例を考えると、商品企画時に、ユーザーが実際はどんな風に商品を使っているのか、理解を深めることが、長期的な販売に繋げる一つの方法かもしれません。


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ヒット商品研究所
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