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ラブコメとして読む(?!)『アンナ・カレーニナ』
古典文学『夫人シリーズ』を読む企画 第六弾。
一般には不倫悲劇として知られる『アンナ・カレーニナ』だが、私はもう一人の裏主人公リョービンのラブコメとして読むことをお勧めする。
読んでいる感覚を例えるならば、シリアスな昼メロと、狩野英孝のお惚けゲーム実況を交互に見せられている感じ。
物語の構成としては、アンナという上流階級の女性を主人公とした不倫ロマンスと、リョービンという田舎貴族の青年が終始、お惚けキャラをやらかす物語が交互に展開していく。
恋愛話に始まり、身近な生と死、政治的な役割とその仕事ぶり、社交界での振る舞い、リョービンは終始一貫して天然を発揮するのだが、ついつい応援したくなるキャラなのだ。
表題のアンナの昼メロはどうでも良いと思っていたが、ボヴァリー夫人を読み、そのザッピング演出によって滑稽さが際立つ効果があるということがよくわかった。
不倫ロマンスのプロット的にも似ている『ボヴァリー夫人』。
第二部8章の『共進会』の場面に言及すると、この場面では、エンマの不倫シーンとリューヴァン参事官の演説が短時間で交互に進むのだが、これが真昼間のテレビのザッピング感覚。
まるで昼メロと居眠り国会中継を交互に見せられている感じ。
リューヴァン参事官とリョービンはなんとなく名前も似ているし、滑稽さを狙った演出も、トルストイが参考にして書いたと推測できる。
光文社古典新訳文庫で全4巻という長編だが、リョービンの天然ぶりを堪能しながら読むことで、従来の『不倫悲劇』の枠を超えた新しい楽しみ方ができる。
これから読む人には、ぜひリョービンのラブコメ視点で笑いながら楽しんでほしい。
この記事を書くにあたって、ChatGPTに絵を描いてもらった。
ボツになったものがこちら。
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