五つに分けた世界史、そして個人史
「世界史」と聞くと、あまりに範囲が広くて、
「どこから取り掛かればいいかわからない!」
と思われる、かもしれません。
「日本史」であれば「日本」の歴史です。
少なくとも「場所」は限定的。しかし
世界史は「世界」の全部が対象! うわあ。
「東洋、西洋、それ以外」という
古式ゆかしき分類だけでなく、
あらゆる地域区分が無限に考えられる。
かつ、時代区分も「それぞれの地域別」に
ユニークな歴史があるわけです。
そんなわかりやすい定規が見つからない…。
『インダス文明』が出てきたと思えば
『フランス革命』も出てきますよね。
インド? フランス? でも、今の国とは
広さも場所も、ちょっと違う…?
本記事ではそんな世界史の
「のびのびさ」を鑑み、
私の「主観」と「取捨選択」によって
あえてすぱすぱと切り分けて
単純化した「世界史」を提示してみます。
…分かることは分けること。
五つに分けてみましょう。
キーワードは四つ。
『文字』『近代国家』
『産業革命』『世界大戦』。
それぞれでボーダーを引くと、こう。
では、この五つの見出しに沿って
書けるだけ書いていきましょうか。
◆①考古学の世界
世界史の史は、歴史の史。
「史」という漢字は
記録をしるした竹のふだをいれる筒と、
右手を組み合わせてできた漢字です。
『古代中国の殷王朝』では、
祖先の霊を祀るための祭祀を「史」、
その担当者を「使」と呼んだそうですね。
祭りの担当者、つまり、記録を残す人。
「歴史」は、文字通り文字に左右されます。
なぜなら文字が残っていれば、
そこから考えることができるから。しかし
残っていなければ、言葉以外のもの、
例えば出土品や遺跡から類推するしかない…。
「考古学」とは、主に文字以外のものから
文字使用以前の古い時代のことを
「考える(推理する)」学問です。
◆②文明と国の興亡
さて、文字が誕生し、普及していきますと、
口頭、音声で表現されていた「言葉」が
物理的に「残る」ようになります。
書き残すことにより、当時の人はもちろん、
後世の人たちも、その文字を手掛かりに
考えることができる!
「集団の管理」にも、
この文字は欠かせませんでした。
なぜなら、偉い人がなぜ偉いのか、
この「国」はどうやって生まれたのか、
守るべき「決まり」は何なのか、
どれだけの物が生み出されていったのか、
そういうことを書き残しておけば、
いちいち口頭で説明しなくてもいいから…。
有名なのは『ハンムラビ法典』です。
『メソポタミア文明』『楔型文字』のあれ。
ハンムラビという王様がルールを記させた。
中国では『甲骨文字』が生まれました。
殷王朝では占いの際に、
亀の甲羅に穴を開け、ひびわれた模様で
占って、その結果を書いて残しておいた。
ここから『漢字』が生まれたそうですね。
ひいては東の島国、日本にわたって、
『かな文字』などが醸成、派生していく…。
国だけでなく、偉い人の教え、
宗教にも「文字」は使われます。
(現代でもカリスマ有名人の
「○○の言葉」などをよく見かけます)
仏教の開祖の「ブッダの教え」は
いわゆる「お経」として残されました。
唐の仏僧、三蔵法師こと玄奘は、
はるばる中国からインドまで旅をして
膨大な数の「お経」を持って帰った。
イスラームやキリスト教でも、
「聖典」が文字化され、伝えられている。
たくさんの文明、宗教、国が
生まれては滅び、また興りましたが、
その様は「文字」ひいては「文章」により
うかがい知ることができるのです。
◆③国境と国民
ただし、「近代国家」ができる以前は、
「国」といっても緩やかなもの。
私たちは「世界地図」と言えば
「国境線」が引かれたあれを連想しますが、
昔は、なあなあ、だったんです。
線引きができない。わかりにくい…。
例えば『神聖ローマ帝国』という国が
今のドイツのあたりにありました。しかし
一番偉い人は皇帝なのか教皇なのか、
それとも各地域の有力者たちなのか
よくわからなかった。
フランスの哲学者ヴォルテールは
「神聖でなくローマでなく帝国でもない」と
酷評しているほどです。
ただの概念? ゆるふわなつながり?
その国同士の縄張りがはっきり決められたのは
17世紀の「ヴェストファーレン条約」から。
(ラテン語読み『ウェストファリア条約』)
どこにどんな国があり、そこでは
誰が一番偉いのかをはっきりさせていった。
…いわゆる「近代国家」の萌芽です。
さらに18世紀、1789年から始まる
『フランス革命』の後、明確化していく。
「国民」「国境」「国歌」などができる。
この「国民国家」の概念が世界に広まって、
「国境のある世界地図」もできていく…。
◆④あふれる物産と貿易
同時進行で「産業革命」が起きます。
一言で言えば「作り方がガラリと変わった」。
手作りハンドメイドから、工場の大量生産へ!
物産の量が「ケタ違い」になります。
当然、産業革命をしていない国と
している国とで、格差が広がる。
初めて産業革命を行ったイギリスでは、
工場が立ち並ぶ『世界の工場』が爆誕。
植民地から原料を輸入、加工して、売る!
いわゆる『大英帝国』。がっぽがっぽです。
他の国も、例えば近代の日本などでも、
「文明開化」だ「殖産興業」だ、と
どんどん工場をつくっていく…。
同時に、その縄張りを確保するために、
国家同士の争いも激化していきます。
◆⑤あふれる人口と情報
それがどかんと破局まで突き進んだのが、
二回の世界大戦、と言えるでしょう。
戦後、多くの植民地が『独立』します。
各地にどんどん国家ができていく…。
今の世界地図を見れば、
色々な国が国境線とともに描かれている。
人口は増え続けており、情報も国境を越えて
あふれかえっている…。それが今の世界。
最後に、まとめます。
本記事では、四つのボーダーを引き、
「世界史」という壮大なものの概略を
五つにあえて分けて、書いてみました。
…ただし、どんなに広い世界でも、
起点は「個人」ですよね。
読者の皆様の「歴史」はどうですか?
どんな出来事で分けられますか?
SNSへの投稿などで、文字を残していますか?
皆様の組織の「歴史」は?
誰が見てもわかるビジョンや沿革が、
「文字」によって記されていますか?
それとも、なあなあ、ゆるふわ?
人類の広い世界史、各人の狭い個人史。
その中間にある無数の○○史。
これらは一見、別々に見えて
実はつながっている…。
私は、そのように思うのです。
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