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取手豊岡線バイパス完成 ~道ができる、地域が変わる~

バイパスとはその名の通り、バイのパス。
バイは「横」で、パスは「抜け道」。
つまり、横を通っていく抜け道です。

主に自動車で移動する際に、
「バイパス」があるのと無いのとでは
大きく所要時間が異なりますよね!

ごちゃごちゃっとした駅前や都市部を
自動車で通ることを想像してみてください。
うねり曲がった細い道…。
渋滞・歩行者・たくさんの信号…。
なかなか前に進めないイメージです。

でも「バイパス」があれば、時間短縮。
広い道路、まっすぐな道、直結。
非常に便利になりますよね!

本記事では2024年10月25日に開通した
「取手豊岡線バイパス」に焦点を当てて
歴史と地理の視点から
バイパスについて考えてみたい
、と思います。

取手豊岡線バイパス…。
さて、どこでしょう?

「取手…と言えば
茨城県の南にある取手市ですよね。
豊岡…まさか兵庫県の
豊岡市ではないですよね?」

ええ、違います。

取手市は、千葉県の県境に近い
茨城県の南端にある市です。
利根川によって隔てられている。
「国道6号」という、東京都と仙台市を結ぶ
大幹線道路が通っている街!
関東地方から東北地方につながる道の
途中にある、と言ってもいい。

一方、取手豊岡線バイパスの「豊岡」は、
常総市の豊岡町を指します。
兵庫県の豊岡市ではなく、
「常総市」のひとつの地名なのです。

常総市は、これも茨城県の市ですが、
取手市から見れば北西にあります。
つくば市の西隣、と言ったほうが
通りが良いかもしれません。
利根川へと注ぐ「鬼怒川」が流れる街。
昔は「水海道」(みつかいどう)という
名前で知られていた。
水の豊かな街です。

「ということは、取手豊岡線、とは、
茨城県の南端の取手市から、
北西の常総市を結ぶ道、なんですね?」

そういうことです。
ここにバイパスができた。
厳密に言えば、少しずつ
パイパスができていたんですが、
2024年10月に未開通部分の一部が開通した。

「…バイパスとは、横の抜け道、ですよね。
このバイパスはどこの抜け道なんですか?」

これは、茨城県南西部の
市町村の位置関係がわからないと
わかりにくいところです。

順を追って書いてみましょう。

まず、国道6号のある取手市。
国道6号は東京と仙台を結んでいる。
その間には柏市、取手市、土浦市、
水戸市、日立市、いわき市、
南相馬市などがある。

その取手市の西には守谷市があります。
もりやし。
「住みよい街」のランキングにも
選ばれた人口急上昇中の街です。
つくばエクスプレスも通っている。
取手市と同じく、利根川河畔の街。

いわば茨城県の南西、東京方面に向かう
茨城県からの出口には、
この「取手市」と「守谷市」がある。
「もりとり」などと並び称される。

取手市の国道6号は「水戸街道」でもあり、
昔からある道です。
これに対して、守谷は新興勢力。
新しい道、と言ってもいい。
常磐自動車道、つまり高速道路も
こちらの守谷市を通っている。

◆取手市:国道6号、旧街道
◆守谷市:高速道路、つくばエクスプレス


その守谷市を、南北に流れる鬼怒川に沿って
北上すれば「常総市」に着くんです。

「常総って、野球で有名な
『常総学院』のところですか?」

よく間違えられますが、違います。
常総学院は、土浦市にある学校。
だいぶ東、つくば市よりも東です。

一方、常総市はつくば市の西にあります。
2006年に水海道市と石毛町が
合併してできた新しい市なんです。

平成の大合併、市町村合併。
…全国でたくさんドラマがあったように
ここでも少し、紆余曲折がありました。

当初、水海道市は「筑波郡伊奈町」
および「谷和原村」との合併を目指していた。
その新市名を一般公募に基づき
「常総市」に決めていました。
しかし水海道の市議会において、
「市役所位置」について意見が分かれる。
どこに市役所を置くのかは
その後の展開で非常に重要ですからね…。

「伊奈、谷和原に振り回されて
水海道が軽んじられているんじゃないか。
議会も執行部もしっかりしろ!」
「合併しても伊奈、谷和原の
議員のほうが多いぞ。
水海道の立場が悪くなるんじゃないか?」

そんな意見が出てきて、
合併協議は一方的に破談にされていきます。

その後、同じく下妻市等との
合併協議が破談となった
北隣の石下町との間に、合併協議会を設置。
石下町を水海道市に編入する形式にしつつも、
市名を「常総市」に改称していく…。

「…ちょ、ちょっと混乱しますね。
整理していいですか。
要は、常総市は、
水海道というところが中心で、本当は
『東』の伊奈・谷和原と合併するつもりが、
『北』の石毛町というところと合併した
、と」

そうなんです。
当初は、取手市と守谷市の北、
水海道から見れば東に位置する
「伊奈町」と「谷和原町」と
合併する予定だった。だからこそ
「常総」という市名になるはずだった。

そもそも「常総」とは、
常陸国(ひたちこく)と
下総国(しもうさこく)の併称
です。
「常」と「総」で常総。
常陸国は茨城県、下総国は千葉県。
ゆえに「千葉県に近い茨城県のあたり」
を指す言葉です。

伊奈町と谷和原町と合併していれば
「常総市」という名前もしっくりきました。
有名な『常総学院』にも近くなった。
ところが交渉がご破算になりましたので、
水海道は「北」にある石毛町と合併。
しかし名前は「常総市」にしている。
(まあ、元々、千葉県の近くではあるので
間違いとは言えないのですが…)

ちなみに伊奈町と谷和原町は
合併して「つくばみらい市」になりました。

さて、くだんの取手豊岡線バイパスの
話に戻しましょう。

このバイパスは、
取手市~守谷市~常総市豊岡町を
結ぶバイパスです。

取手市は「旧街道」。
守谷市は「新しい道沿い」。
常総市は「鬼怒川沿いの水海道のあたり」。
つくばみらい市やつくば市は通っていない。

つまり、この道は、
古い道から新しい道へとつながり
しかも渋滞の多い都市部や、
因縁のあるつくばみらい市の横をすり抜ける
バイパスだ
、とも言えるのです。

最後にまとめます。

本記事では茨城県の南西部を通る
「取手豊岡線バイパス」に焦点を当てて
バイパスについて考えてみました。

…おそらく、読者の皆様が住む街の
道路やバイパスにも、
様々な歴史や地理、紆余曲折が
潜んでいることと思います。

人生の「道」と同じです。

一見、他人には
すらっと真っすぐに見える道も、
その下には様々な試行錯誤、
紆余曲折、取捨選択と決断が潜んでいる…。

それらをひっくるめて、
ぜひ、皆様なりの目的へと向かう渋滞解消、
「バイパス」を考えてみてはいかがでしょう?

LinkedInでは、そのきっかけとなる
思考の選択、発見がたくさんできると思いますよ!

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