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五月五日は「端午(たんご)の節句」
「鯉のぼり」「柏餅」でしょ!
というのが定番ではありますが、
それぞれに由来がありますよね。

端午の節句:もともと端午(たんご)とは
端っこ(はじめ)の午(うま)の日を指す。
旧暦で「午」の月にあたる五月の
さらに初めの「午」の日のことだったのだが、
「ウー」と呼ぶ「五(ウー)」の日を
ウーのウー、ということで語呂が良いので、
五月五日=端午の節句にしちゃえ!となった。
(他にも三月三日や七月七日なども節句)

鯉のぼり:鯉は、滝を登って竜になる。
いわゆる「登竜門」の故事に出てくる
「出世」を象徴するような魚であった。
のぼりとは、旗。
(「のぼり旗」を開店時に使いますよね)
江戸時代に武家(武士)の家で、
端午の節句にのぼり旗を掲げたり
鎧の虫干しをしたりしていたのを見て、
庶民(町民)たちが俺たちも何か掲げよう、
どうせなら出世できそうな魚にしよう!と
「鯉ののぼり」を作って掲げたのが始まりとか。

柏餅:江戸時代に「柏の葉」を使って、
もちを包んで食べ出したのが始まり
(九代将軍家重、十代将軍家治の頃とのこと)。
柏の葉は、冬でも葉が落ちずに、
新芽が春に出てくるのを温かく守ることから
「子孫繁栄」「親子の絆」という意味を持つ。
江戸時代には「代々、家を継いでいくこと」が
とても重視されていたので、
「家系が絶えない縁起物」とされていた。

…このあたりの由来の説明は、ググったり
Wikipediaで探したりすれば、出てきます。
なお、諸説がありますので、
上記した説明も、あくまで一つの
解釈・説明に過ぎないこと、ご容赦ください。

さて、これだけで終わっては
「へえ…」でおしまいになってしまうので、
「柏餅」から派生させた話題を、ひとつ。

江戸時代の江戸で流行り出した「柏餅」。
江戸時代と言えば「参勤交代」があり、
江戸の街の流行が、他の地方にも
徐々に広まっていくわけですけれども。

「五月五日の端午の節句に、
江戸では柏餅を食べるらしいぜ!」
「縁起物で、好評らしいな…」
「よし、ではこのあたりでも五月には
その柏餅を作って、売り出すか!」

そのように各地の和菓子屋さんが
考えていったのは、想像に難くないですね。
ところが、ここで一つ問題があって…。

「ところで、柏の葉って、ある?」
「そもそも柏の木、無くない?」

そうなんですよ。
柏の木は東日本にはたくさんありますが、
西日本には、それほど無い木、なんです。

今ならば柏の葉だけたくさん採っておいて
輸送することもできるでしょうけど、
江戸時代は、原則、各藩の地方自治。
交易も徐々に盛んにはなってきてはいましたが、
基本は、地産地消、自給自足の世界です。
柏餅のためだけに、柏の葉を仕入れるのも
コストがかかってしょうがない。

さて、どうしよう?
柏の葉が無いと「柏餅」ではないよね…。

「それじゃ、この葉が似ているから
代用してみてはどうだろう?」

というわけで主に使われたのが、
サルトリイバラという植物の葉だそうです。
(「サルトリイバラ」「サンキライ」
「さんきら」「がめの葉」「いばら」
「がらたての葉」など、
色んな呼び名があるようですが…)
他にも、朴(ホオ)の葉や
名荷の葉なども使われたとか。

柏の葉なら、一枚で折って包むのが
スタンダードなんですが、
サルトリイバラの葉は小さいので、
二枚で餅をサンドするのが基本。

こうして「葉っぱアンド餅」のお菓子が、
実は「柏餅」だけではなく、各地でそれぞれ、
たくさん生まれていったのでした
(サルトリイバラの葉を使いつつも、
「柏餅」と呼ぶこともあったそうですが)。
特に、柏の葉が少ない、西日本において…。
その一例をご紹介します。

鹿児島の「かからんだんご」。
福岡の「がめの葉もち」。
中国四国あたりでは「しばもち」。
徳島では「ばらもち」。
京都の宇治あたりは「さんきらだんご」。
滋賀の「がらたてもち」「ぼんがらもち」。
三重の「がんたちもち」「いばらまんじゅう」
「いばらもち」などなど…。

もちろん中には、柏餅の代わりなどではないぞ、
もともと葉っぱでもちをくるんだ
お菓子があったんだ、こちらが元祖だ!
江戸の柏餅を真似したわけじゃないんだからね!
というお菓子も、あるかもしれません。

ただいずれにせよ『端午の節句には柏餅』、
この江戸時代の一大ムーブメントが影響して、
各地で「葉っぱアンド餅」が工夫されていき、

ご当地に応じたいろんな
お菓子が生まれた
のは、確かなようです。

…私はこんなところにも、
「歴史と地理」を感じてしまいます。

さて、読者の皆様は、
「柏餅」を食べていますか?
読者の皆様が住む地域では、
(日本だけではなく世界も含めて)
どんな郷土菓子、餅菓子がありますか?

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