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徳川家康は、一級の政治家である。
政治とは清廉潔白なものではない。
ましてや、一つだまされれば
一族ごと滅亡させられるような
戦国時代を生き残った家康だ。
必要とあれば、汚い手、
権謀術数を使うのもいとわない。

彼の晩年、
豊臣家を滅亡させるために
取った行動は文字通りの
「権謀術数」であった。
権・謀・術・数すべて、
はかりごとをあらわす漢字。

豊臣秀吉の遺児、秀頼は
方広寺というお寺を再建した。
その時に鐘に彫られたのが
「国家安康」「君臣豊楽」という
字であった。

家康は、これに難癖をつける。
「家と康の字を、分断した!
豊と臣の字も、使われている。
徳川家を呪い、豊臣家の繁栄を
願ったものではないか!」

はっきり言って、言いがかり。
現代で言えば、ツイートに
ク〇リプをつけるようなもの。

しかし、ただの庶民がつけるものと、
武家の第一人者がつけるものとでは
影響力が違う。

世に言う「方広寺鐘銘事件」

この事件は、拡散し、炎上した。
徳川家と豊臣家の中は険悪になり、
ひいては「大坂の陣」となって
文字通り、豊臣家は炎上の中で
滅亡してしまった。

家康は、むろん、確信犯だったろう。
炎上させんがために
ク〇リプまがいの言いがかりを
つけたのではないか?
権謀術数を使う謀略家としては
一級品だが、
いまひとつ信長や秀吉に比べて
家康の人気が出ないのは
この晩年の強引さにあると思う
(信長や秀吉もこれ以上の
権謀術数を使ってるんですけどね…)。

さて、読者の皆さんは、
ク〇リプや、ク〇コメントを
つけられたことはあるだろうか?

ある発言や表現の
一部分だけを切り取り拡大解釈し、
騒ぎ立て、責める。

これは、今も昔も変わらない。
いや、SNSが発達して
情報が容易に出せるようになった
今のほうがより悪質かもしれない。

問題は、その「言いがかり」に等しい
ク〇リプをつけた人の
目的は何なのか、だ。

もしかしたら、あなたを「炎上」させ
「滅亡」させるために
つけている、のかもしれない。

SNSは相手が見えにくい。
世間も見えにくい。
ふとしたことで恨みを買い、
ふとしたことで嫉妬されて、
「国家安康」的な解釈され
槍玉に上げられるかわからない。

豊臣家も、対応を誤った。

そもそも鐘にこんな文字を
彫らなければ問題は起こらなかった。
合戦を避けるなら避けるで、
鐘の字を彫った者を処罰して
新しい鐘にしれっと
「家康万歳」的な字を彫れば良かった。
合戦をするならするで
最初から毅然とした態度を取ればいい。

豊臣家は、どれも取らなかった。

恭順・抗議、どっちつかずの対応が
次第に状況と感情を悪化させていった。

ついには城ごと炎上、豊臣家滅亡
(アカウント停止?)まで
追い込まれてしまったのである。

方広寺鐘銘事件と
SNSク〇リプ問題。

こんなところにも、
現代を生きる教訓と事例が
あるようにも思われる。

なお、大坂の陣について興味のある方は
司馬遼太郎さんの小説『城塞』をどうぞ↓

面白いですよ!

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