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ヘリテージ・ツーリズム ~廃されたものを活かす~

鉱山が閉鎖すれば「廃鉱」(廃坑)
鉄道路線が廃されれば「廃線」
学校が閉校になれば「廃校」
村が無くなれば「廃村」と言われます。

それぞれ、
「鉱物」が要らなくなったり無くなったり、
「鉄道」の需要が減ってしまったり、
「学校」に通う児童生徒が少なくなったり、
「人口」が減ったりして、起こる。

いまこの瞬間にも、
日本のどこかで何かが廃されている…。

本記事では『廃〇〇』から
『地域おこし』について考えます。


なぜ「廃〇〇」が行われるのか?
「必要とされなくなるから」
「維持が難しくなるから」
ですよね。

例えば、鉱山です。

石炭は「黒いダイヤ」とも言われて、
近代国家建設には欠かせない
エネルギー源でした。
「炭鉱」が、全国各地でフル稼働していた。
「〇〇炭田」と言われる場所には、
人が集まり、働き、炭鉱都市ができ、
とても繁栄していました。

…しかし戦後に「エネルギー革命」と
呼ばれる出来事が起こります。
石炭から、石油にエネルギー源が変わる。

汽車、蒸気機関車は姿を消していく。
ガソリンを燃料とする内燃機関、
例えば自動車などが発達していく。
また、貿易によって
他国から大量に安い石炭が輸入される…。

その中で「閉山」つまり廃鉱になり、
多くの炭鉱都市が衰退していったのです。

鉄道路線も、そうですよね。

近代国家=鉄道、という時代があった。
列島全土に網の目のように鉄道がつくられ、
貨物や旅客をどんどん運んだ。

…それが「マイカー」などの普及で
需要が減っていきました。
鉄道路線からバス路線に切り替える
鉄道会社も多く出てくる。
運行停止、廃線…。
多くの駅近くの街や商店街が
それに合わせて衰退していきました。

学校はどうでしょう?

子育て世代、若い世代が多い場所では
「廃校」にはなりません。
しかし、そのような世代が減ってしまえば
そこに通う児童生徒も少なくなる。

「少ない児童生徒のためだけに
学校を存続すべきか?」


学校の統廃合を進める市町村も多い。
「廃校」が増えていく…。
残った学校施設をどう使うかは、
多くの市町村の課題になっています。

究極的には「廃村」です。

限界集落と呼ばれる過疎地域では、
例えば病院、役所、商店などの
生活に必要なインフラが徐々に減っていき、
家の近くでまかなえなくなります。

時間をかけて遠くの病院に行く…。

それなら都市部に住んだほうがいい。
そう考える人が出てくる。
人口が転出する、空き家が増える。
行きつく先は「廃村」です。

…ここまで『廃〇〇』の過程について
書いてきましたけれども、
そのまま「廃されたまま」であれば、
まさしく「遺跡」「残骸」になります。

しかし廃棄されたものがリデュース、
リユース、リサイクルによって
「資源」として再活用されるように、
『廃〇〇』も「3R」を行うことができれば
立派な「資源」へと生まれ変わる。


資源が循環するんです。

『ヘリテージ・ツーリズム』という
言葉があります。
ヘリテージ(heritage)とは、
「遺産、継承物、伝統、伝承」の意味。

例を挙げましょう。

例えば「石見銀山」
銀山としては使われなくなったものの、
世界遺産に登録し、観光地になりました。

炭鉱都市だった福島県の「いわき市」は、
映画『フラガール』などの影響もあって
「ハワイアンズ」が観光客を集めている。

茨城県の筑波山地の西を走っていた廃線、
「筑波鉄道」は
「つくば霞ヶ浦りんりんロード」という
自転車道の一部に生まれ変わりました。
自転車愛好家たちが、集まってきている。

廃校がレストランやホテル、
地域コミュニティの拠点などに
生まれ変わった例は枚挙にいとまがない。

全国の空き家も古民家として
活用されるケースが増えてきている…。

このように役割を「変える」ことで
もう一度活用できるケースも、ある。


盛者必衰、と言います、
永遠に繁栄している場所などありません。
大都会の東京ですら、
江戸時代以前には原野が多かった。
となると、今、繁栄しているところも
衰退することがあり得る。
逆に、今はそんなに栄えていないところが
栄えていくことだってあり得る…。

ただし、日本全体の話で言うと、
人口が全体的に減っているわけですから、
「栄えていくところ」と
「衰退するところ、滅びるところ」が
徐々に分化していく、と思います。

一律には変わらない。差が出てくる。
取捨選択の「決断」が、今日も行われています。

決めて、断つ。
「ここにはもうお金を回さない」
という場所が、行政面で決められていく。
民間経済は、もっとシビアですよね。
何らかの理由でお金が回るところは栄え、
回らないところは衰退する。
店が新たにできたり、閉店したりする…。

「ここにお金を回そう!」
「ここは人が呼べる!」

そう思ってもらえる資源があるところには
好循環が生まれていき、
そうでない悪循環のところは
『廃〇〇』のまま消えていってしまう…。

いったん衰退へと向かった歯車を
どうチェンジし、好循環にしていくのか?

その変化の一つの手がかり、方策が、
『ヘリテージ・ツーリズム』
ではないでしょうか?

…ただ、このような試みも、
うまくいっているところもあれば、
うまくいっていないところもあります。

うまくいくためには「公の補助金」や
「外からのテコ入れ」だけでは不十分。
『その土地にいる地元の要人』の協力が、
必要不可欠であるように思うのです。

「ヨソ者、キレ者、バカ者」が
地域おこしに必要だ、と言われます。
しかし『地元の要になる人』がいてこそ、
そういう人たちの活躍も活きてくる…。

逆に言えばそんな地元の要人の方を見つけ、
協力し合い、
地元の実情、心理や物語に応じた方法で
共感し合って、立ち上がれるかどうか?

これが3Rできるかどうかの鍵だ、
と思うのです。

そんな要人がいない「閉鎖的」な場所、
風通しが良くない場所は、
緩やかに朽ちていくでしょう。
「好循環」も、実際にその場所に立ち、
循環させ続けてくれる「要」があってこそ…。


最後に、まとめます。

本記事では『廃〇〇』から
「ヘリテージ・ツーリズム」を絡めて
『地域おこし』について考えました。

新技術の発展、全体的な人口減少により
世の中が変わっていくのは、
これはもう、あらがえません。
ならば、その変わりように「応じて」
地域の活用自体も変わる必要がある。
変化を持続して循環させられるような
「地元に密着している要人」をコアとして…。

これは何も地域だけの話では、ない。

『会社』『組織』と
言い換えても当てはまる話
ですよね。

「人の集団」であることは、
地域も会社も同じですから。
「密着している要人」「ファン」が
多い会社や組織は好循環
していきます。

読者の皆様は、どう思われますか?

※農業遺産も「ヘリテージ」されています↓

※本記事は以前に書いた記事のリライトです。
『ヘリテージ・ツーリズム ~廃〇〇からの3R~』↓

※「ヘリタビ」のサイトでは
全国の産業遺産マップを見ることができます↓

※「ヘリテージ・ツーリズム」の定義は
こちらも参考になります↓

※自治体が「喰い物」にされないための
参考記事はこちら↓
『自治体が喰われないために』

合わせてぜひどうぞ!

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