えそのしゅく
今日は学校のバスツアーに参加している。
修学旅行がなくなり、不遇の一年を送っている3年生に、せめてもの思い出作りをしてもらいたいという思いから企画させたものだ。
同じ福岡県内ではあるが、評判は上々。楽しそうな生徒たちの表情に思いを巡らす。
私にとっても、今年初めての小旅行。
心はうきうき、小躍りしたいくらいの時間を送っている。
バスツアーなどで見慣れない土地に赴いた時、必ず確認することがある。
それは、信号や案内標識についたその土地特有の「地名」だ。
例えば、「当所」。
とうしょ、と読むらしい。
福岡県朝倉郡筑前町にある地名だ。
読み方は容易いが、疑問符がつく。
なぜ、このような地名をつけたのか。
「当たる」と「所」の二つを冠している。
関連はなさそう……何かが当たったのか、それともまた別の意味が……
調べてみると由来は江戸時代まで遡るらしい。
徳川吉宗の時代に粟田村から分村し、日光東照宮の御成館の東照(とうしょう)という呼び方をもらって「当所」と名づけられたとのこと。
はえ〜。
お次は「弥永」。
これまた筑前町の地名だ。
いやなが、と読む。なんで?やながじゃないの?
これは調べても出てこない。ああ、気になる……
ラストは「大己貴神社」。
なんじゃこりゃ。
おおおのれきじんじゃ?
よ、読めない……諦めてググります。
お、おおなむちじんじゃ………
こ、こんなん読めるか!!!無理じゃ無理じゃ。
こちらも筑前町に存在する神社名。
当て字なのか何なのか分からないけれど、初めて見たことだけは確か。
こちらは神様の名前を冠しているそうな(大己貴神)。
大いなる国主という意味があるそうで。
なんだよ偉大だな大己貴神社。
……まあこんなふうに、旅行先で運転している時に信号待ちをしている間など、地名に思いを巡らすことの多い私なのであった。
上記の三例はたまたまバスの車窓から見えた地名などを適当にピックアップしただけだが、場合によっては歴史的事案と深く関わっている地名がある場合もあるのでやめられない。
地名とは、古来その土地を支えた人々の温もりを感じる一つの手立てである。
形に現れない温もりを胸に、その土地に暮らす人々に思いを巡らす。
転じて、自分たちが住んでいる土地の地名にも思いを馳せると、積もり積もって愛郷心も育まれるかもしれない。
地名は侮れない。そして面白い。
あ、また地名が一つ。「恵蘇宿」。
いやあ、やっぱり読めない。