「名言との対話」1月22日。常磐新平「臆病になるな、他人の目や陰口にとらわれず、自分のやりたいことに忠実になろう」
常盤 新平(ときわ しんぺい、1931年〈昭和6年〉3月1日 - 2013年〈平成25年〉1月22日)は、日本の作家、翻訳家であり、アメリカ文化研究者である。
岩手県出身。仙台の第二高等学校、早稲田大学文学部英文科、大学院卒業後、早川書房に入社。海外の文学作品、スパイ小説、冒険小説などを紹介する「ハヤカワ・ノベルズ」を創刊し、人気シリーズとなる。早川書房のSF以外のすべての編集長の立場となる。
1969年に退社。翻訳家としてアメリカの雑誌や人物を紹介した。エッセイスト、作家としても知られるようになる。ウォーターゲート事件を追及した新聞記者を描いた「大統領の陰謀」、虐げられた移民の観点からマフィアを描いた作品や小説の翻訳を手がけた。
1986年には『遠いアメリカ』で直木賞を受賞する。アメリカのペーパーバックを読み漁り、翻訳の勉強に没頭する自身の大学生活を描いた自伝的作品だ。
NHK「あの人に会いたい」をみた。朴訥な印象の人である。好奇心が旺盛な人。本を読むことも冒険。人と会うことが苦手で1冊3カ月かかる翻訳は向いていた。そう語っている。
常盤新平の師匠は5歳年上の直木賞作家・山口瞳であった。サラリーマンの生態や心理をよく知った山口瞳の31年1614回続いた「週刊新潮」の連載『男性自身』を、たまたま読んだのがきっかけで出入りするようになった。山口瞳の13回忌を迎える頃書いた『国立の先生山口瞳を読もう』には、国立に住む師匠の山口瞳への思いがつまっている。
師弟の系譜を考えた。夏目漱石、内田百閒、高橋義孝、山口瞳、常盤新平と文筆の流れがある。これをたどるのも面白いだろう。「仰ぎ見る師匠の存在」の項でいつかまとめてみたい。
常盤新平の言葉では、「臆病になるな、他人の目や陰口にとらわれず、自分のやりたいことに忠実になろう」をとりたい。「他人の目、他人の口、つまり世間を気にしずぎることをやめて、自分自身の為すべきことを為そう。こういうことを言うようになった自伝的小説『遠いアメリカ』を読みたい。