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ごっこ遊びで育つ言葉の力

ごっこ遊びで育つ言葉の力

 おままごとやお店ごっこ・学校ごっこ・恐竜ごっこを遊ぶ子は、目的や場面や役割に応じて、言葉を使い分けている。そういう遊びをするなかで、目的や場に応じる言葉の力が育つ。そこで伸びる力は言葉の力だけではない。想像・表現・理解・認識・思考・協力・コミュニケーションなど、さまざまな力が伸びる。
 学校でする朗読劇も朗読劇ごっこ遊びと考えるとよい。そうすれば、プロの出来栄えを目指さないで済む。楽しく熱中して遊びながら、理解を深めたり、表現を工夫したりすることができる。同様の発想で、例えば中学や高校で相手や目的や場面が異なるさまざまな寸劇の台本を作って演じる活動をすれば、それが、書く力や演じる力を伸ばし、目的や相手や場面に応じる言葉遣いを考える機会になる。
 見方をさらに広げて、詩を作るときには詩人ごっこ、小説や童話を作るときには作家ごっこ、新聞を作るときには新聞社ごっこ、実験や調査をしてそのレポートを書くときには研究者ごっこというように、ごっこ遊びをしているのだと見れば、それぞれの遊びの場が、その遊びに役立つ言葉の力を伸ばす学びの機会になると見ることができる。
 私は『国語を楽しく』(東洋館出版社、2023年)の第6章「幼児期の言葉と文字」で言葉と文字が育つ多様な遊びを示し、第3章「言葉が育つプロジェクト単元」で、絵本作り・未来や過去の新聞作り・案内冊子作り・アンソロジー作り・各種辞典作り・創作・翻作・読書案内・復元音読遊び・声のキャッチボール遊び、スピーチ交流会など、百を超えるプロジェクトを示した。それらすべを「ごっこ遊び」と見て、結果の出来栄えや優劣・順位よりも、活動する過程で一人一人の内部に生まれる学びを大切にしたい。

首藤久義著『国語を楽しく』参照。
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