背負い投げの思い出:省察的評価と試行錯誤による学び
私は中学・高校と部活で柔道をした。
練習熱心で、背負い投げが得意だった。
背負い投げの打ち込み練習を人の何倍もした。
①「打ち込み」練習では、自分の体を瞬時に回転させて相手の懐に飛び込む。飛び込むまでを繰り返すのが打ち込み練習である。抱えて投げるところまではいかない。抱えるところまでも行かない。それが、私が熱心に繰り返した打ち込み練習であった。
②そして、「乱取り」練習。乱取りは、実践練習である。私の背負い投げは、相手の懐に飛び込む所で終わって、相手を投げるまでには至らない。
③「申し合い」練習。練習を続けているうちに、その欠陥に気付いた。そして、練習仲間の一人と話し合って、お互いの得意技で相手を投げるまでのプロセスを繰り返す練習を始めた。そして、二人で約束して、投げる役と投げられる役を交互に交替しながら、投げ終わるまでの練習を続けた。これが、いわゆる「申し合い」練習と言いうものであったと思う。
④試合で勝った。国体選手に一度だけ一本勝ちをした。その後、体育の授業で試合があり、そこで、のちに国体に出場した猛者と試合した。そして、見事、背負い投げで一本勝ちした。自分でも信じられない気分だった。
その学生は国体強化選手であり、私は、国体どころか、レギュラー選手になることも目指さず、ただ柔道が好きで柔道練習を楽しんでいる学生だった。
これを、プロジェクト学習における省察評価に位置付けて整理すると、向上(上達)を目指す個人プロジェクトの中で、自らの練習を、目的に照らして省察し、練習の改善点を見付けて、改善してはまた練習するという、試行錯誤を繰り返した結果、実際に、背負い投げがうまくなった、つまり、上達するという目的が達成された事例と見ることができる。一言で言うと、省察的自己評価と学びとがうまくかみ合った事例と見ることができる。
学習にとって最も大切な評価としての省察的自己評価の具体例の一つである。
きょう(2023年6月10日)の午後に開催されるオンライン研究会でのレクチャー(評価論)の中で、この具体例を話そうと思う。