わが思春期の性読書
高校生の時、高校一年生だったか?そのころの私は「性」に関する興味が強烈で、「性」という文字を探して、読書しまくった。高校の学校図書館を手始めに、探し回って読み漁った。室生犀星の「性に目覚める頃」を読んで、あまりの清純さにがっかりし、翻訳物の同名の小説を読んで、刺激の強さに満足した。森鴎外の「ヰタ・セクスアリス」を読んで拍子抜けし、芥川龍之介の「ヴィタ・セクスアリス」に出会ってどきどきした。性をめぐる読み漁りのゴールは、D.H.ロレンス作・伊藤整訳の『チャタレイ夫人の恋人』だった。当時はまだ伏字(××)を含む翻訳だったが、熱中して読み込んだ。そして、性についての自分なりの結論に達した気がして満足した。そこで性探しの大波が収束し、「性」を探究する読書の旅が、一応、終わった。その後、30歳ころに英語版を入手し、かつて日本語訳で伏字(××)になっていた箇所を探すと、率直な英単語が綴られていた。