サンクスギビングはたこ焼きで
アメリカの代表的な祝日の一つが毎年11月の第4木曜日に行われる、感謝祭(サンクスギビング。)元はイギリスから移住した清教徒たちが秋の収穫の感謝を祝う日として設けられた。今では家族や友人が集まってご馳走を食べ、天からの恵みや家族の絆などに感謝する日として祝われている。
12月25日のクリスマスも大きな祝日の一つだが、多民族国家であるアメリカではキリスト教以外の宗教を持つ人も多いので、祝わない人もいる。その点、感謝祭は誰にでも開かれており、アメリカで最も人気のある祝日と言っても過言ではない。
遠方の家族を訪れて旅をするアメリカ人が多い中、近くに家族や親戚もいない私たち外国人はいつも行き場に悩む。「今年の感謝祭どうしよう」と言いながら、直前まで何も企画せずにいた。数日前になって、同じくその日予定のなかったニュージャージ州在住の友人の所へ押し掛けることに決定。
通常感謝祭の食事としては、パンや野菜を詰め込んだ七面鳥の丸焼き、マッシュポテト、デザートにアップルパイやパンプキンパイ、が挙げられる。それゆえ感謝祭=七面鳥の日とも言われているが、七面鳥を焼くには手間がかかる上に、大して美味しくもない、と感じる人も多い。よって私たち日本人は感謝祭に集まる時は大抵鍋をつついたりして過ごしている。
今年は友人がたこ焼き器を持っている、ということでたこ焼きに決定。日本食スーパーでタコを調達してもらい、私たちはブルックリンからキャベツの千切りを持って行った。
友人の愛猫と遊ぶ子供たちの側、大人たちは久しぶりのたこ焼きに格闘。タネが多過ぎても少な過ぎてもたこ焼きは回しづらい。3回目くらいでようやくコツも覚え、するりと回転できるようになる。
久しぶりのたこ焼きは外はカリカリ、中はとろりとしていた。「たこ焼きってこんなに美味しかったんだ」としみじみと思い出す。お好み焼きは日常的に作るが、中のトロトロ感はたこ焼きならではである。
食後のデザートはたこ焼き器でホットケーキを、と考えていたが、たこ焼きで満腹になり断念。夜が耽る前に友人宅を後にした。
ニューヨークに帰るバスの中、ハドソン川の向こうに摩天楼のイルミネーションが見えた。今日は流石にオフィスにいる人は少なく、イルミネーションもまばらだ。今年も感謝祭の日が静かに過ぎていく。日本のソウルフード、たこ焼きの美味しさと急遽私たちを招いてくれた友人に感謝した。