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気候変動や人手不足を逆手に取る、地元を豊かにする蒜山野菜の活用方法を見出したい

「蒜山は寒冷な土地を活かし、戦後から”ひるぜん大根”というブランド大根の産地として蒜山の農業を支えてきました。」そう語るのは20代から蒜山エリアの農業に携わる蒜山アグリセンター センター長の本守(もともり)さん。
気候変動や農業の担い手不足など様々な時代の変化を受け、農家収入に繋がる野菜の取引方法や新しい作物への活路を見出す必要に迫られています。そんな現状の突破口となる地元を豊かにする蒜山野菜の活用アイデアを募集します。


これまでの活動

20代後半に農協に勤めてから現在に至るまで、蒜山エリアで農業関係の仕事に携わる蒜山アグリセンター センター長の本守さんが蒜山の農作物の変遷を教えてくれました。

「かつて、蒜山は大根の一大産地だった。」
戦後に大根を作り始め、東は名古屋〜西は九州までかなりのシェアを持っており、夏大根という7〜8月に出荷するものが多く作られていたが、連作障害という芯が変色してしまう病気が発生したことや、気候変動で夏も年々暑くなり、大根を作るのに適した気候ではなくなってしまい、今までの量を作れなくなってしまった。

野菜の単価が上がらないことも向かい風となり、急激に生産量も減っていきました。
現在は、大根に代わる作物として、キャベツやトマト、白ネギ、花、そして新しいチャレンジとしてスイートコーン、ぶどうに取り組んでいるといいます。
スイートコーンはブランディングに力を入れており「イエローダイヤモンド」というネーミングで商標を取得し販売。昨年阪急阪神百貨店でも販売し、非常に美味しいと好評を博しています。

またぶどうは、かつて蒜山では育たないと言われていた果物。
本守さんも、10年前は広めるべき作物ではないと思っていたが、気候変動の影響を受けて蒜山でも育てられる可能性が出てきたことや、真庭市もぶどうの力を入れていこう動きがあり、この春に一反植え付けをしたそう。

大根をはじめとした野菜の産地として基盤を築いてきた蒜山の農業も、日常的に食卓にのぼる野菜は価格競争が厳しく、贈答用などで収益性の見込めるぶどうの植え付け、スイートコーンのブランディングに力を入れる等、あの手この手で農家さんの収益を守っていくための策を講じています。

現状の課題感

本守さんが抱える根本の課題感は、世の中の農業の流通の仕組みにありました。

「野菜の価格競争が激しいという流通の揺るがない現状がある中で、いかに作られたものが正規の価格で評価されて農家収入が確保できる状態をつくれるか、を常に考え続けています」

野菜は普段使いされる作物なので、値下げ競争となるのは当たり前。
かといって、今まで大根を作ってきた農家さんにぶどうを作って欲しいと言っても環境が違うから作れない。そんなジレンマの中で、蒜山の野菜の産地としてのルーツを守り、農家さんが儲かるように状況を変えていかないといけないと危機感を感じています。

農業に関わる方々は、同じ課題を抱える方は多いのではないでしょうか。
そんな葛藤や危機感を感じる中、本守さんは農協としては珍しい、外部の企業との連携や直取引先の開拓も模索しています。

現状の課題感

本守さんが抱える根本の課題感は、世の中の農業の流通の仕組みにありました。

「野菜の価格競争が激しいという流通の揺るがない現状がある中で、いかに作られたものが正規の価格で評価されて農家収入が確保できる状態をつくれるか、を常に考え続けています」

野菜は普段使いされる作物なので、値下げ競争となるのは当たり前。
かといって、今まで大根を作ってきた農家さんにぶどうを作って欲しいと言っても環境が違うから作れない。そんなジレンマの中で、蒜山の野菜の産地としてのルーツを守り、農家さんが儲かるように状況を変えていかないといけないと危機感を感じています。

農業に関わる方々は、同じ課題を抱える方は多いのではないでしょうか。
そんな葛藤や危機感を感じる中、本守さんは農協としては珍しい、外部の企業との連携や直取引先の開拓も模索しています。

活用したいスローマテリアル

今回募集するのは、蒜山野菜の活用アイデアです。
本守さんの既存のやり方に捉われずに策を講じようとする姿勢の背景には、「儲からないとやっていけない」という想いがあります。

現在、センター長である本守さんが構想しているアイデアの種を3つご紹介します。

ツアーでは、大根・トマト・花などの品目を扱う選果場を見学する予定です。
本守さんのアイデアも踏まえ、実際にご自身の目で見て、蒜山野菜を活用したアイデアを考えたいという方のご参加をお待ちしています。

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①蒜山野菜・ぶどうの活用方法
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市場出荷だけでは限界を感じている中で、蒜山野菜(大根・トマト・キャベツ等)の直接取引の道も見出していこうとしています。

また、スイートコーンとぶどうも、野菜に加えて蒜山全体の農業の未来を見据えた収益性の見込める作物として一考したいところ。
特に、蒜山のスイートコーンは糖度が高くてみずみずしいのが特徴で、関西近辺からもわざわざ購入しにくる個人のお客様も多いのだそう。

流通の課題などはありますが、農協の視点にはない市場の出荷に偏らない販路や活用アイデアを求めています。

※ツアーで訪れる9月は、スイートコーンの収穫時期を過ぎているため実際に見られるのは野菜が中心になります。

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②規格外野菜の活用
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その他、農家さんが困っているのが規格外の野菜だといいます。
廃品になったものがそのまま廃棄されるのは勿体無い。少しでも農家収入になる方法を考えていきたい。

本守さんとしては、規格外野菜を乾燥や冷凍など一次加工を施し、量が溜まってきたタイミングで業者に出荷することができないかを構想したことがあったそうです。

規格外の野菜は量を保証できないため、小ロットでの取引が可能である一方で、安定したロットの取引には向きづらい。そんな特徴も踏まえた活用アイデアが求められます。

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③農業の担い手を増やす
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既存の農家収入を守ること以外に、担い手不足が加速することで、農地が守れなくなることも気がかりです。
専業農家を増やした方がいいという意見もあるが、本守さんは専業だけじゃなくてもいいと思ってるといいます。

会社員や公務員、他に仕事を持っている方が兼業で農業をやることも勧めていきたい。
兼業という形で、働きながら農業に携わる人が増えることも、蒜山の農業を支えていくことに繋がると考えています。

逆に、そういった取り組みを全体としてやらないと、蒜山の農地を守れないというリアルな未来を想像されているようにも感じました。

運営よりイチ推しコメント

最後までお読みいただいた方には、センター長の本守さんがいかにこれまで、様々な角度で、蒜山の農業や作物の未来を考えてきた方であるかが伝わったのではないでしょうか?

実際にお会いをして、冷静に現状を分析しながら、この状況を打破できないか本気で考え尽力されている姿が印象的でした。一筋縄ではいかない課題ではありますが、事業シナジーを感じる方に参加頂きたいです!

執筆者(運営メンバー)プロフィール

企画運営メンバー 本間由佳(ほんま ゆか)
蒜山ツアーに昨年から関わり、すっかり蒜山の地域資源と人のトリコに。
その人の「これは面白い!」という視点や今までの人生ストーリーを聞くのが好きな、コミュニティやイベント企画担当。自然豊かな場所に憧れる東京生まれ東京育ち。