見出し画像

家具職人✖️自然再生専門家による、自然共生と地域材価値向上の両立への挑戦

真庭市蒜山エリアで、地域材を活用した工房を構える家具職人と、自然再生の専門家がタッグを組んだ「真庭の森案内人ネットワーク」という活動が立ち上がりました。

異なる分野の視点を掛け合わせて目指すのは、自然然共生と地域材の価値向上の両立。
また活動が広がった先には、地域材の利活用を通じた山主さんやエリアにも還元できる状態を見据えています。
そんな元井夫妻と共に、地域外の視点が存分に活し、スローアクションの土台づくりを加速させませんか?


これまでの活動

真庭市二川地域の工房で、家具職人をしている「木工房もものたね」元井さんご夫妻。

元井哲也さん(写真左)のお父様が家具職人で岡山県産広葉樹の個性のある材を使い,
生い立ちの見える家具作りを続けてきました。その想いを引き継ぎ、木工房もものたねでは、家具製作の技術を生かし、木のおもちゃ、インテリア用品など身近に木の暮らしを感じていただけるものづくりを、オーダーメイドで制作し届けています。

元井夫妻が家具職人をする中で興味を持ったのが、”森の案内人”という仕事をつくること。そのきっかけは、自然再生専門家である蒜山自然再生協議会の千布(ちぶ)さんとの出会い。

真庭市の移住相談の窓口のお仕事もされていた時期があり、そこで自然再生の仕事で真庭市に地域おこし協力隊として移住してきた千布(ちぶ)さんと出会います。異なる職業でありながらも、お互いに森に関わることを生業にしていることもあり意気投合。

自然再生の専門家と家具職人という異なる視点から森を案内する「真庭の森案内人ネットワーク」という活動を始めることになりました。

自然再生の専門家である千布さんは、蒜山で減ってきている湿原の再生・保全をすることで、その環境でしか生きられない植物や動物の種を守るという活動に従事。
元井夫妻は、その湿原の保全の際に、伐採される木材の利活用を考えていきたいという想いを持っています。

家具職人の視点で、この活動に関わる理由をこう語ります。

「現実問題、湿原を保全する必要があるんだろうかとか、いろんな意見があるのが現実なんですよね。保全しなければ、自然と森へ戻っていく。それもアリだと思うんですけど、蒜山の自然保全の側面では必要でっていう両側面に僕は興味がある。

自然保全の背景を聞いた上で、今後の森のことや自分の生業を考えた時に、蒜山の自然環境の保全と同時に、地域材の価値向上が両立できないか?そう考えるようになりました。」

古くから草地として利用されてきた土地のため、火入れや伐採後に人が手を加えた二次林が多いのも蒜山の森の特徴。その二次林を活用し、流通させることで、山主さんにも還元ができて山も潤っていく。真庭の森案内人ネットワークの活動を通じて、そんな循環を起こすことを狙います。

現状の課題感

「実は、森のガイドも7月がデビュー戦なんです。」
と元井夫妻がお茶目に笑いながら教えてくれました。

まだまだ駆け出しの活動でもある真庭の森案内人ネットワークの課題についても伺いました。

「家具職人としては、地域材の家具の価値を高めていくための方法として、真庭の森案内人ネットワークという活動を広めていきたいと思っています。今は、その活動の土台づくりが課題です。

僕も本業は家具職人なので、森の案内自体にどんな価値を付与し、どんな人に伝えていくかも磨いていきたいですし、そして蒜山の森について語れる人を増やしていきたい。

例えば、僕だったら、平日は家具職人で土日は森のガイドをするとか、
がま細工職人の方が、季節仕事なのでオフシーズンにガイドをすることも可能になる。
そういった副業的な活動の受け皿にもなるような仕組みを作っていきたいんです。」

課題に悩んでいるというより、真庭の森案内人ネットワークが広がることで見える可能性に想いを馳せる姿が印象的でした。

共創したいスローアクション

今回元井夫妻が出会いたいのは、「広義の意味での森の使い方」を外の目線を持ち面白がって、一緒に考えて広めてくれる人。

森の使い方を考えると同時に、森の価値はどう伝わるのか?も考えたいといいます。

「普段、森や山が身近でない人は、自分の家の家具がどう作られたかも想像しづらいと思います。ただ、その地域の歴史や文化背景を知ったり、自然の恩恵を受けていることを自分ごととして捉える機会があるだけで、その人にとっての価値が生まれると考えています。」

元井夫妻自身も、家具職人としての視点だけでなく、森の環境保全の視点を千布さんから聞いたことがきっかけで、この森の二次林がどう活用されていくべきか?を考えるようになったそうです。

同じように、初めて訪れたのが真庭の森だったら、その森の木材で作られた家具にも愛着が湧くかもしれない。そういった循環を生むきっかけとなるガイドを目指していきたい。

蒜山の広葉樹だと、細い木が多いので家具は作れませんが、家のフローリングだったり、ハンノキだとコースターを作れるそうです。
森のガイドで手作りのハンノキのコースターを作って持って帰る体験などもできたら、その思い出とともに、自分の生活の中に自然とのつながりを感じることができそうですよね。

そうした地域材のストーリーや体験に触れる人を増やすことが、地域材の価値向上へのキーとなるのではないか、その想いをどうにか形にしたいという気概を感じます。

そんなお二人の熱量を受けて、知恵やスキルを活かして共創したい方のご参加をお待ちしています!

運営よりイチ推しコメント

真庭の森案内人ネットワークの活動の面白さは、自然を守ることと活用することの両立を模索する過程を、「森のガイド」というツールを用いて地域内外の多くの人に開こうとしている点だと思います。

林業をはじめとした、関連する産業に携わる方はもちろん、都市で働いている方にこそ異なる視点・スキルを掛け合わせた共創アイデアを提案してもらうことで、どんなコラボレーションが生まれるかが楽しみです。

執筆者(運営メンバー)プロフィール

企画運営メンバー 本間由佳(ほんま ゆか)
蒜山ツアーに昨年から関わり、すっかり蒜山の地域資源と人のトリコに。
その人の「これは面白い!」という視点や今までの人生ストーリーを聞くのが好きな、コミュニティやイベント企画担当。自然豊かな場所に憧れる東京生まれ東京育ち。