蒜山の茅(かや)と広葉樹の端材の活用方法に迫る
これまでの活動
蒜山地域は、多様な動植物を育む草原などの自然環境が特徴です。これらは山焼きなど人々の暮らしの中で作り出され、地域の文化や生業と深く結びついてきました。しかし、産業や生活様式の変化により山焼き面積が減少し、蒜山地域の自然が危機的状況に陥っている現状があります。
自然環境再生活用家の千布さんは、蒜山地域の自然環境を再生し、先人の自然資源利用の知恵と技術を受け継ぎながら、現代に適した形で自然の恵みを感じられる場や自然資源を生かし守る仕組みづくりを担うことを目指しており、この取り組みを通じて、蒜山地域の自然環境を再生し、持続可能な地域づくりを推進しています。
現状の課題感
真庭市で自然環境再生活用家として、自然環境の保全と活用の両立を目指して活動している千布さんは、
「里山の半自然草原や湿原などは、かつては資源獲得の場であり、地域の文化や生業によって、定期的に人の手が入ることにより、環境が維持されていましたが、今では生活様式の変化などにより、利用価値を失い人の手が離れてしまったがために、遷移が進んで環境が大きく変わっている」と語っています。
また同時に「今の価値観に合わせて、草木や景観などの自然資源から物品やサービスを生み出すことにより、経済的価値を生み、その利益を自然保全活動に還元していくような仕組み作りを行う必要がある」と言います。
自然の維持・保全を行うため、必要な山焼きや草刈り、間伐など、その場に合った手入れを行う必要があり、それによって地域ならではの風景や環境を守りながら、経済的にも自立させる仕組みづくりを目指しているそうです。まさに言うは易く行うは難しな目標を実現させるために日々奮闘しています。
そんな自然の維持・保全活動をするなかで生まれた「茅」や、間伐した「広葉樹」があり、経済的にも自立する使い方を考えられないか模索しています。
活用したいスローマテリアル
今回活用したいスローマテリアルは、草原を維持する山焼きによって生まれた「茅」と自然保全のための間伐によって生まれた「広葉樹」です。
茅は生産体制がすでにできており、刈り手を増やすこと、保管場所の確保など出荷の安定化がどれだけできるかの段階で需要はあると千布さんは語ります。そんな需要がすでにある茅を出荷した際に生じる「丈が短いものや、束が細いものなどB級品の茅」が倉庫に眠っています。
広葉樹は、湿原の周りに生えた背が低く細い木々です。それらは湿原再生のための自然保護活動の際に背の低いものを伐採しており、主に薪にしたり、コースターにしたり、キノコを植菌したりと現状も使用用途はありますが、現状の使い方に縛られないアイデアをお待ちしております。
今回、茅と広葉樹の活用アイデアを募集しますが、蒜山に眠るかつては使っていたが、今は使ってない使用用途のある素材たちが他にもたくさん眠っているそうです。当日は千布さんの蒜山の自然についてのお話を聞き、まだ日の目を浴びていない蒜山のマテリアルを発見すると同時に、新しい命を吹き込んでみませんか?
運営よりイチ推しコメント
ただ自然を保全すればいい。と言う単純な意見をよく聞きます。私も緑はあったに越したことはないと考える1人でした。
しかし、ただ保全をするその最中には、自然と深く関わる方々の適切な管理と手入れ、そして、経済的にも自立できる仕組みがあってこそだとインタビューを通じて感じました。
自然を守るために一見すると不要にみえる端材や間伐材などのマテリアルを再利用することで、新しい価値を生み、自然の維持保全の一助になる可能性があることがわかりました。自然を無駄なく活用し、本当の意味での持続性をつくるために取り組んでいきたいという思いがある人はぜひご応募ください。