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【詩】ろうそくの火

ろうそくの火は 花びらで
吐息を受けて 舞い揺れる
浮かべる水も ないままで
芯を伝って 舞い落ちる
「退屈」「焦燥」 表、裏
不意をつき急に 入れ替わり
飴の入った 缶のふた
叩く中指 ふと止まり

どれだけ音楽 流してみても
どれだけ写真 貼り付けても
散文的な 日常はどれも
同じ顔をした おぼろ雲
スマホの画面 鏡のように
文明の忙しなさを映し
スワイプスワイプ 右から左
夕陽スワイプ また次の日

置き配された 白い箱
爪で引っ掻き 開けてみる
中には瀕死の 伝書鳩
こう言い残し 息絶える
「急いで生きろ 今すぐに
死は7速で 追いついて
君を轢いた後 目をえぐり
走馬灯すら 見せないぜ…」

歩道橋から 覗き眺める
埋め立てられた 天の川
「千々にバラバラ 破壊してやる!」
アーケード街で 騒ぐ馬鹿
ネズミは路地で 息を潜めて
揺れるろうそくの 火に見入り
花びらは舞う 芯を伝って 
もう二度と咲かぬ 散ったきり

もう二度と咲かぬ 散ったきり



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