【医師直伝】花粉症対策として鼻へのワセリン塗布は有効か。【論文検索してみた】
(この記事は2020年2月に最新版に改定・補足しています)
こんにちは森田です。
今年(2020年)も花粉症の季節がやってまいりました(;_;)
泣きたくなりますね(ToT)
花粉症の基本的対策としては
・マスクをする
・メガネをかける
・窓を閉める
・洗濯物は部屋干しにする
・外出時、花粉がつきにくい服(ナイロンジャケットなど)を着る
・帰宅時、服に付いた花粉などをしっかり落としてから家に入る
など基本的なところは常々言われてきておりますが、最近たまに耳にするのが、
鼻・目の周りにワセリンを塗る!
というもの。
こんな感じでたくさん記事になっています。
ということで、これが本当に効果があるのか、ないのか、論文をあたってみました。
医学論文の結果は?
すると…出てきました!
正確に言うと、「ワセリン」ではないのですが「花粉ブロッククリーム(pollen blocker cream)を鼻の中に塗ったら鼻炎に効くのか?」という研究です。
こちらは中国の研究
こちらはドイツとロシア。
簡単に言うと、どちらも
「かなり効いたよ!副作用もほとんどなかったよ!」
とのことでした。まあ、規模のちいさな研究なので、最終結論ではないと思いますが。
ん?
ここで言っている花粉ブロッククリーム(pollen blocker cream)ってワセリンのこと?
どうやら違うようで…「Alergol」という海外のもののことのようです。
で、こういうのが日本にあるのか、と調べてみたら、同じものかどうか全くわからないんですが、一応こういうのはありました。
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レビューでも、「劇的効果!」もあれば「効果なし」と、賛否あるのでなんとも言えませんが、まあ、そんなに高くないので試してみてもいいかもしれません。
じゃ、ワセリンは?
そう、問題のワセリン!
実は、上記の研究をよく見てみると、花粉ブロッククリーム(pollen blocker cream)も効いてるけど、プラセボ(被験者にはわからないように工夫されたな偽薬)を塗ってもそれなりに効いてるんですよね。
上記の論文にはこんな感じで書いてあります。「花粉ブロッククリームの有効性は、成人および小児の両方でプラセボよりも優れていた。しかし、鼻漏、鼻のかゆみ、くしゃみ、鼻づまりの個々の症状には、花粉遮断薬群とプラセボ群の間に有意差はなかった(p> 0.05)。軽度の鼻出血が1つだけ報告された。」
と言う意味では、普通に軟膏とかクリームを鼻の中に塗るだけでも、(花粉とかを吸着してくれたりして?)効果が期待できる可能性もありそうです。
まあ、ワセリンも決して高いものではないし、安全性も確保されているもの(ワセリンはそもそも薬効成分の入っていない軟膏=基材)ですので、試してみてもいいかもですね。
この方なんかはよく分かるツイートされてます。
僕も唇が荒れやすいので、小瓶に常備して一日に何回も唇に塗っています。(リップクリームより全然安いので ^_^;)
もちろん、鼻の中にも塗ります。
うちの子供たちも小さいころは皮膚がすぐカサカサになって痒くなるので、風呂上がりは体全体に塗っていましたね。
ちなみに我が家は、消費量が多く頻回なのでこちらの「蓋がワンタッチでガバッと開く」やつを買っています。
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結論
ということで、結論としては、
「医学論文的にはそれらしい論文はあって、効果もあるらしいけど、厳密に言うとワセリンの研究ではない。でもまあ、プラセボでもそれなりに効果あるみたいなので、なんか塗るだけでも効果あるかも。副作用もほとんどないし、やってみたらイイかもよ。」
と言う感じでした。
あ、あと、レビューでは「鼻汁がある時にその上から塗っても意味ない」というご意見が多かったのですが、試しに「鼻うがい」で鼻汁を流したあとにワセリンを塗ってみるといいかもしれないですね。下記参照↓
さらに、マスク・メガネなどを組み合わせるといいと思います。
この辺はもう、エビデンスも何もあったものではないので、副作用のない範囲でトライアンドエラーを重ねていくということになるでしょう。
ま、それでもダメなら薬で、、(^_^;)
こうして素朴な疑問のひとつひとつに対して論文にあたるという習慣をつけることはとても大事なことです。そういうことをくりかえしているうちに、今の医学でわかっていること、わかっていないこと、これからわかりそうなこと、の境界線がなんとなく見えてくるような気がします。
以上、『花粉症対策として鼻へのワセリン塗布は有効か。【論文検索してみた】』
でした。
著者:森田洋之(現役医師・医療経済ジャーナリスト)
https://note.mu/hiroyukimorita/n/n2a799122a9d3
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いつも一人で寂しく原稿を書いているので、
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ありがとうございますm(_ _)m
夕張に育ててもらった医師・医療経済ジャーナリスト。元夕張市立診療所院長として財政破綻・病院閉鎖の前後の夕張を研究。医局所属経験無し。医療は貧富の差なく誰にでも公平に提供されるべき「社会的共通資本」である!が信念なので基本的に情報は無償提供します。(サポートは大歓迎!^^)