見出し画像

丸投げを笑えない

おはようございます。
給付金の事務業務を、某広告会社に丸投げ・中抜きと話題になってますが、
ぼくの足元でも残念ながら同じようなことが起こっています。
3年後に、宗祖親鸞聖人の御生誕850年慶讃法要があるのですが、そのキャッチコピーを、大手代理店3社を指名事業者に、ほかの代理店はオープンで、というコンペに。1社辞退で、4社提案・3案を内製でということで進んでいるとのこと。
代理店コンペをする、ということは、提案依頼書を作っている、ということですし、提案依頼書も、どっかの代理店が作ったもの、もしくはどこかで実施されたものをコピペして・・・自治体や省庁でよくあることではありますが、お寺「業界」も、偉そうなことは言えませんね。
宗派の中には、コミュニケーションに関わる研究をしている大学もあります。全国の一般寺院(末寺)には、広告会社のOBOGもたくさんいます。内製3件できるんだったら、全部「内製」すれば、と思うのですが。。。
なぜそう思うのかといいますと、宗派のお金は、一般寺院から収められる「賦課金」です。宗派と一般寺院の関係は、フランチャイズみたいなもので、宗旨というある意味ブランドに対して、その利用料的なお金を、宗派とそのエリアの組織である教区に毎年支払っています。またいろいろな申請手続きに、「冥加金」という手数料がかかります。
これら一般寺院から支払われるお金の財源は、ご門徒からの「ご懇志」です。税金を財源としている国や自治体よりも更に大切にお金を使わないといけません。コロナ禍の昨今、本山界隈の方にお会いしたり、また本山からの通知文を読みますと、枕詞のように「財源がない。。。」ということが言われております。お金が無いなら無いで、やり方を変えればいいだけやんかいさ?と、里山に囲まれた小さなお寺の境内で、掃除をしながら思うわけでして。。。
本山であった大きな法要で、笑える笑えない話があります。本山の参与さん(ご門主に対していろいろアドバイスをされるかた)に、以前お聞きしたことがあるのですが・・・とある大手電機メーカーの創業者が、本山の参与・門徒総代で、本堂にテレビを置いて、法要が見やすいようにしましょうとお話されました。もちろんその方のご寄付で、だったのですが、某大手代理店は、境内に大きなビジョンを建てます、と提案、実際にそれで話が進みました。しかし、実際はどうなったか・・・その門徒総代の方は、本山が「西向き」に建っていることをよくご存知で、西日でビジョンが見えないことなんてとっくにわかっておられていて・・・後日、代理店から泣きが入って、その総代さんのメーカーから代理店がテレビをたくさんお買い上げに、という顛末があったそうです。
明治政府よりも先に、「宗会」という議員制度を作った教団です。(個人的には、それが機能していれば、と思いますが。。。)時代ともに、国の制度のようなしくみや組織ができてきました。昨今では、「SDGs」ということが、さかんに宗派内でいわれています。それはぼくはいいことだと思いますが、当時の社会情勢からできた、仏教婦人会や仏教壮年会も時代の変化とともに、そのあり方を見直すことも必要なのではないでしょうか。
一方、社会や時代に必要とされている活動に、予算がつかなくて困っています。「ビハーラ」(仏教のホスピス)専門病院が京都にありますが、毎年赤字で存続が危ぶまれています。経営そのものを見直して、もっと現場の方々の声を聞かないといけません。どれだけのご門徒が、日々「がん」で亡くなっているかを考えればいいと思います。また全国の一般寺院でやっている「こども食堂」も、お寺だからこそできること、取り組めることがあります。
「伝統」とかいっても、たかだか100年前後のことで判断しているということが、今回もよくわかりました。自治体や企業の案件がなくなった広告代理店、修学旅行がなくなった旅行代理店だけが嬉しい、でかいイベントなんて、もうご門徒も、一般寺院も求めてないわけでして・・・平日の晨朝勤行(おつとめ)に本山や築地本願寺に行けば、いまの状況がよくわかります。コロナの前から、ほとんどお参りなんてありません。少ないからダメ、なんじゃなくて、少なくて静かでいいじゃないですか?お寺は静かで、ときどきにぎやかなのがいいですね。「イベントで参拝者を増やして活性化」のような、どこかの村おこし的なやり方はやめませんか?「インスタのフォロワーが○○人」とか「住職がユーチューバー」とかも、どうもしっくりしません。「手段」と「目的」がどうも、本山から一般寺院まで、逆になっているように感じます。
全国に1万の一般寺院(末寺)があって、その中でも小さなお寺なのですが、境内もご門徒の戸数も小さいからこそできることを、あわてずゆっくりはじめます。少子高齢化の過疎のムラのお寺ができること、LGBTQの方々の支援(お寺は嘉麻市で、嘉麻観光大使は「おすぎ」さんです)、シングルマザーや独居の高齢者の方々の支援(DVでお困りの方のサポートをさせていただきました)など、だれもがほとけさまの智慧と慈悲という「スポットライト」を浴びて、自分らしく生きていける社会の実現のために必要とされているのが、今のお寺の役割であることをブレずに、日々過ごしていきます。
今日はその「賦課金」をご本山にお納めすべく、これから銀行に行くのですが、どうも気持ちがザワザワしました。45戸のみなさまの尊いご懇志をお納めするにあたりの「ひとこと」でした。



いいなと思ったら応援しよう!