十角館の殺人
今年映画化されて再ブームになっている「十角館の殺人」を読んだのは30年も前のこと。当時の私には衝撃だった。推理小説を読んで騙されるのは快感だけど、これは違った。アガサクリスティの「そして誰もいなくなった」のオマージュで本格推理だと思って読み進んでいのに…
図まであってトリックを楽しみにしていたのに…
期待していたトリックはなく 一発ギャグのノリ!
確かに破壊力抜群で強烈な「衝撃の一行」だった。宣伝文句に嘘はなかった。でも、そういう騙され方はしたくなかったんですよ。読後の怒り(落胆ではない)は1週間続いた。
接戦の野球中継を観戦し感動した直後、実は八百長でした、とバラされた感じ。
ただし誤解しないで欲しい。
使われている一発ギャグは緻密に計算された立派なトリック。その後、私は綾辻作品の中毒患者になった。まんまと先生の術中に嵌ってしまったわけである。30年経った今でも、あの時の感情は思い出せる。
後にも先にも小説を読んで、これほど怒り心頭になった作品はない。嫌いは好きの裏返し LOVE & HATE
史上最高のミステリーとして今でも常に上位にランクインしているのは納得できる。