宝鐘マリン船長との妄想恋愛小説
僕は海が嫌いだ。途方もない広さと底の見えない深さ。光の届かない深海には、どんな不気味な生物が棲んでいるのだろう。もしかしたら、血に飢えた三つ目の怪物が手ぐすねをひいて待ち構えているのかもしれない。ひょっとしたら、人をあっという間に死に至らしめる凶悪なウイルスが塊となって沈んでいるのかもしれない。そんなことを考えるだけで額が汗ばみ、足がすくむ。泳げない僕にとって海は魔境そのものであり、そんな場所を船などという、木材と少々の鉄で構成された不確かな乗り物で漂うなんて、およそ正気の沙