【酷い便秘に】桃核承気湯(とうかくじょうきとう)で不快を解消!

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)は、瘀血(血液の滞り)による便秘や体内にこもった熱が原因の症状を改善する漢方薬です。中医学において、瘀血とは血流が滞り、血がドロドロと粘性を帯び、体内で流れにくくなる状態を指します。この状態が続くと、便秘や不快感、腹部の痛み、体にこもる熱などの症状が現れます。桃核承気湯は、主にこうした瘀血や熱がある便秘に対応し、下剤としての作用に加え、血流を改善する効果も併せ持っています。

以下に、桃核承気湯の構成成分やその詳細な作用について解説し、どのようなケースに適しているかについて詳述します。

桃核承気湯の構成成分とそれぞれの役割

  1. 大黄(だいおう)

    • 科名:タデ科

    • 役割:大黄は強い瀉下作用(下剤作用)を持ち、腸内の不要物や滞った血を排出する働きがあります。大黄の主な成分であるアントラキノン誘導体が腸を刺激し、便通を促進することで腸内の老廃物や毒素を効果的に排出します。また、大黄には「清熱作用」があり、体内の余分な熱を冷ます効果もあります。

  2. 芒硝(ぼうしょう)

    • 科名:無機物

    • 役割:芒硝も強力な下剤として知られ、大黄と組み合わせることでより効果的な瀉下作用を発揮します。体内にこもった余分な水分や熱を排出し、便秘を解消するだけでなく、腸内の熱を冷ましてくれます。中医学では、芒硝は「腸に溜まった硬便を柔らかくする」作用もあるとされ、硬便が原因の便秘にも効果的です。
      ※芒硝=硫酸ナトリウムのことです。熱海温泉に含まれています。
      熱海温泉の効果を広めたとされる大国主神様と少彦名命様については別途記述します(五術のうちの仙術の範囲)

  3. 甘草(かんぞう)

    • 科名:マメ科

    • 役割:甘草は大黄や芒硝のように強い作用を持つ成分の影響を緩和するために用いられています。甘草には「調和作用」があり、薬効を穏やかにして腸の痛みや痙攣を和らげる働きがあるため、便秘時の腹痛や不快感の軽減に役立ちます。また、甘草は「補中益気」として消化器官をサポートし、胃腸の健康を保つ効果も期待されています。

  4. 桃仁(とうにん)

    • 科名:バラ科

    • 役割:桃仁は桃の種で、瘀血を改善するために用いられます。中医学において「活血化瘀(かっけつかお)」作用を持ち、血流をスムーズにすることで瘀血による症状を緩和します。便秘がある瘀血体質の方に特に効果的で、血行促進による便通改善効果もあります。また、桃仁は抗炎症作用もあり、腸内の炎症を抑える役割も果たしています。

  5. 桂皮(けいひ)

    • 科名:クスノキ科

    • 役割:桂皮はシナモンの樹皮であり、体を温め、血の巡りを良くする「温経通脈(うんけいつうみゃく)」作用があります。桂皮の温性効果は代謝を促し、冷えによる血行不良や代謝の低下を改善するため、瘀血や体内にこもる冷えに効果を発揮します。特に便秘による不快感があり、体内で熱が滞っている状態を和らげるのに役立ちます。

桃核承気湯の効果と適応例

桃核承気湯は、下剤作用を持つ大黄と芒硝、そして甘草による穏やかな緩和作用に、活血化瘀作用を持つ桃仁と体を温める桂皮を加えた薬です。これにより、体内の熱を排出し、血の流れを良くして便秘を改善することができます。

効果的な使用例

  1. 便秘を伴う瘀血

    • 便秘があり、体の中に熱がこもっていると感じる人に有効です。特に便秘が続き、体にこもった熱が原因で瘀血が悪化するような場合に適しています。

  2. 便秘による腹痛や体のだるさ

    • 瘀血と熱のこもりにより、腹痛や体のだるさ、便秘時の不快感が強い場合に向いています。便秘がつらいと感じることが多く、体内に熱が溜まりやすい実証体質の人に特に適しています。

  3. 便秘による発熱感や肌の不調

    • 瘀血が原因の便秘が長期化すると、肌に不調が現れることもあります。また、発熱感や不快な熱がこもる感覚がある場合も、桃核承気湯が有効です。

桃核承気湯が適していないケース

  1. 虚証の便秘

    • 体が虚弱であり、便秘に対して特に不快感を感じないタイプには不向きです。虚証タイプの便秘は慢性的で便が硬くならないことも多く、瘀血や熱が原因ではないため、別の処方が推奨されます。
      ※実証でかなり強めの薬なので、医師薬剤師と相談の上 体調に変化がある場合は使用をやめてください。

  2. 元からお腹が緩い人

    • 桃核承気湯は強めの下剤効果があるため、腸が元から緩い人や便が出やすい人には不適切です。使用すると、便がゆるくなりすぎたり、腸の働きが乱れたりする可能性があります。

中医学的視点での特徴と注意点

桃核承気湯は、体内に滞った「熱証の瘀血(血熱血瘀)」を取り除くための処方です。熱証とは、体内に過剰な熱がこもり、身体にさまざまな悪影響を及ぼす状態を指します。このような場合、体内で循環する血がドロドロして停滞しやすくなるため、桃核承気湯によって、便通を促進しつつ、血流を改善することが重要です。

さらに、桃核承気湯を使用する際には、食生活や生活習慣の改善も重要です。血液の循環不良や便秘は、栄養バランスや生活リズムが乱れた生活を続けることでも悪化するため、規則正しい生活リズムを保ち、油っこい食事や加工食品なども避けることが推奨されます。また、十分な水分摂取や軽い運動を日常に取り入れることで、瘀血による便秘の改善が促進されます。

桃核承気湯と他の活血化瘀剤との比較

桃核承気湯は、瘀血が原因の便秘に対する即効性がある一方で、日常的な便通のケアが必要な場合には、もう少し穏やかな処方が向いていることもあります。桂枝茯苓丸などの処方は瘀血改善に効果的でありながらも、桃核承気湯ほどの下剤作用は持たず、便秘のない人にも適しています。

また、虚証や慢性的な体質改善が必要な方には、補血作用を持つ漢方薬と組み合わせることで、瘀血改善の相乗効果が期待できるケースもあります。

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