【早く寝るメリット】中医婦人科学

中医学には「子午流注(しごるちゅう)」という理論があります。これは1時から12時を12個の枠で区切って、どの臓腑に当てはまるのかということを考えたものです。夜11時から翌朝3時までの時間帯は「胆」と「肝」の経絡が主に活動する時間とされており、この時間帯に休息することが肝胆の働きにとって重要とされています。特に肝は、血を貯蔵し、全身に供給する役割を持っています。また、血や津液は「陰」の一部であり、夜更かしが続くと「陰」が消耗しやすくなるため、特に卵胞期には避けるべきと考えられます。

具体的には、以下のような理由があります:

1. 肝胆系の休息による血の回復

肝は、血を貯蔵し、必要に応じて全身へ供給する役割を持っています。このため、肝が十分に休息できないと、血の貯蔵や生成に支障が出る可能性があり、血虚(血の不足)につながる場合があります。卵胞期は、卵胞が育つために血が必要な時期であるため、この時間帯に肝が休息することで、体内の血がより充実し、健康な卵胞が育ちやすくなります。

2. 肝の「陰」を守る

肝は、血(陰)を貯蔵し、その陰のバランスが保たれていることで肝が正常に機能します。夜更かしによって陰が消耗すると、肝の働きが乱れる原因になります。特に卵胞期では、陰と血を充実させることが重要であるため、肝が十分な休息を取ることが欠かせません。

3. 陰陽のバランス維持

夜は「陰」の時間帯であり、体もこの時間に休息することで、陰を養います。夜更かしにより陰の消耗が続くと、身体の陰陽バランスが乱れ、卵胞期に必要な陰が不足する可能性があります。卵胞期は「陰血滋長(いんけつじちょう)」の時期とされ、陰が充実していることで健康な卵胞が育ち、正常な排卵が促されます。

「気」は陽の特性を持つ

中医学では、陰陽の概念を通して体のエネルギーや物質のバランスを捉えます。この中で、「気」と「血」は陰陽の関係として理解されており、「血」は物質的で形があり、「気」は動きやエネルギーのような目に見えないものとされます。

気と陽

  • 気は陽に属する:気は体内を巡り、動きや温かさ、活動のエネルギーを生み出すとされ、これは陽の性質に似ています。気が不足すると、体の活力が低下したり、冷えやすくなったりします。逆に気が充実すると、体に温かさや動きをもたらし、活力がみなぎります。

  • 気と血の関係:気は陽の側面が強く、血は陰の側面が強いです。気が血を巡らせ、血が気を支える関係にあります。例えば、気が不足すると血の巡りが悪くなり、血虚(血の不足)に繋がることもありますし、血が不足すると気が停滞しやすくなります。

気と陽の例

気が体に与える陽の作用には、次のようなものがあります:

  1. 温める作用:気が十分にあると体が温まりやすく、体温調整に寄与します。気虚(気の不足)があると冷え性になることが多いです。

  2. 運動・推動作用:気は全身に流れて活動を促します。血液や津液(体液)を巡らせるのも気の働きです。

  3. 防衛作用:気は「衛気(えき)」として体の表面に存在し、外邪(外からの病気の原因)から体を守る役割を持っています。

気は陽の特性を持ち、体にエネルギー、温かさ、動きを与える存在です。一方で、陰の特性を持つ「血」や「津液(体液)」とバランスを保ちながら、体内の様々な機能を支えています。この陰陽のバランスが保たれることで、健康が維持されます。

まとめ

卵胞期に夜更かしを避け、特に11時から3時の間にしっかりと休息を取ることで、肝胆が正常に血を生成・貯蔵し、陰の消耗を防ぐことができます。この習慣は、卵胞の健康な発育を支え、全体的な生理のリズムの安定にも寄与します。

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