【乾く!】陰虚(いんきょ)の症状について解説!

陰虚(いんきょ)は、体内の陰液(水分や体の潤い成分)が不足した状態を指します。この状態が続くと、体に乾燥や熱感(虚熱)が現れ、さまざまな不調を引き起こします。今回は陰虚の症状をさらに詳しく解説します。

1. 陰虚の代表的な症状

乾燥と渇き

陰虚に陥ると、体内の潤いが不足して、以下のような乾燥症状が現れます。

  • 喉や口の渇き:陰液が不足すると喉が乾きやすくなり、口の中もパサつく感じが続きます。乾燥が強いと、口臭が出やすくなり、特に口内炎や口内トラブルも増えがちです。

  • 乾燥肌:体の潤いが足りないために肌が乾燥し、カサカサやシワが増えることがあります。

  • 尿量の減少と色の変化:陰液が少なくなるため、尿量が減少し、色が濃くなることがあります。また、尿が少ないため、体内の老廃物が排出しにくくなる場合もあります。

  • 便秘と乾燥便:腸内の潤いも失われがちで、便が固くなりやすく、排便が難しくなる乾燥便の便秘症状が見られます。

虚熱の症状

陰虚による乾燥は、体内で「虚熱」と呼ばれる熱感を生みます。この虚熱は、体内に冷却水が足りず生じる熱感で、実際に発熱することもありますが、外から触っても分かりにくい場合もあります。

  • ほてりやのぼせ:特に夕方から夜間に、手のひらや足の裏が熱っぽく感じられたり、顔や頬がほてったりすることがあります。これを「午後の虚熱」と呼ぶこともあり、体が自らを冷やせず熱をため込みやすい状態です。

  • 夜間の寝汗:陰液が足りず、体が乾燥した熱感を持っているため、夜中に汗をかくことがあります。寝汗は体を冷やそうとする反応の一環ですが、体の陰が足りないために起きるのが特徴です。

2. 陰虚の特徴的な体質傾向

痩身と体重減少

陰虚が進むと体内の水分が失われ、乾燥と痩せが目立つようになります。

  • 体重減少と筋肉のしぼみ:潤いが足りないことで、筋肉や肌の弾力が低下し、体重が落ちたり、痩せた見た目になったりします。たとえば、おもちゃの「恐竜の卵」が乾燥すると縮んでしまうように、陰虚の人も体の潤いが抜けることでシワシワとやせ細ってしまうことがあります。

水太りと代謝低下

陰虚の人でも体質によっては、水分代謝が悪く、むくみが生じる「水太り」タイプもあります。この場合、体に潤いが足りないのに、水が溜まりやすい状態で、次のような特徴が現れます。

  • 水分の排出がうまくできない:陰虚の水太り体質では、水分代謝が悪いため、摂取した水分が体内に溜まりやすく、手足や顔がむくむことが多くなります。

  • 食事制限でもむくみが改善しにくい:食事量を減らしても体重が減りにくく、むしろ代謝が落ちて体が冷えて水分が溜まりやすくなり、むくんでしまいます。こうしたむくみは「水太り」と呼ばれ、体全体が重だるく、ぽちゃぽちゃとした見た目になります。


3. 陰虚の原因と生活習慣

陰虚の原因

陰虚の主な原因としては、過剰なストレス、過労、体を温める飲食物の摂りすぎ、加齢による潤い不足などが挙げられます。日々の生活習慣が影響して陰虚を引き起こしやすくします。

  • ストレスと過労:心身のストレスや過労により体内の潤いが消耗され、陰虚になりやすくなります。

  • 体を温めすぎる飲食:香辛料やアルコールなど、体を温める作用の強い飲食物を頻繁に摂ると、陰が消耗しやすくなります。

  • 加齢による水分不足:年齢とともに、体内の水分保持力が低下し、陰虚体質になりやすくなります。特に更年期以降の女性は陰が不足しがちです。

陰虚体質の改善に役立つ生活習慣

陰虚を改善するためには、体を乾燥させない生活を心がけ、潤いを補う飲食や休養を意識することが大切です。

  • 十分な水分補給:乾燥しやすいため、こまめな水分補給が大切です。冷たい水ではなく、常温か温かい水を摂取して体に負担をかけないようにします。

  • 適度な休養:疲労が陰を消耗させるため、睡眠時間を確保し、心身をリラックスさせるようにしましょう。特に夜の睡眠は陰を補うために大切です。

  • 体を冷やしすぎない:冷たい飲食物や過度の冷房は避け、体を内側から温めるように心がけましょう。ただし、過剰に温めると陰が不足するため、適度な温度で。

潤いを補う食べ物

陰虚改善には、体の潤いを補う食材が効果的です。

  • 白きくらげ:滋陰作用があり、乾燥肌や喉の渇きに有効です。スープやデザートとして摂取できます。※正式名称は白いきくらげというのはあまり知られていません。

  • :水分が多く、のどの乾きや熱感を和らげます。加熱しても効果があるので、梨の煮物やコンポートなどで摂取すると、陰の不足を補えます。

  • 山芋:滋陰効果があり、胃腸の働きをサポートし、潤いを保ちます。

  • 百合根:滋陰作用があり、特に乾燥による咳や喉の痛みに効果的です。


4. 陰虚と似た症状を持つ他の体質との違い

陰虚の症状は、乾燥や熱感、痩せなどが特徴ですが、同様の症状が見られる他の体質と混同しないように注意が必要です。

  • 虚熱と実熱との違い:実熱は、外部からの病邪(病気の原因となるもの)によって体が熱を生み出す状態で、発熱や赤み、炎症が強く現れることが多いです。陰虚の虚熱は、体の潤い不足による「熱のように感じる症状」であり、実際の体温が高くなるとは限りません。
    ※八綱弁証にて虚実を判断する際に使います。詳しくは中医診断学で解説。

  • 湿熱との違い:湿熱は体内に湿気と熱がこもることで発生するもので、炎症や重だるさ、体臭や肌の油っぽさが特徴です。陰虚とは異なり、湿熱体質では潤いが過剰なこともあります。


まとめ

陰虚は、体の潤い成分が不足することで乾燥や虚熱が発生し、喉や口の渇き、乾燥肌、尿の減少、便秘、ほてりやのぼせ、体重減少などさまざまな症状が現れる状態です。日常生活において陰虚を予防・改善するためには、こまめな水分補給、滋陰作用を持つ食材の摂取、適切な休養が重要です。陰虚の原因や体質に合ったケアを心がけ、体の潤いを保つことで、陰虚の症状を緩和することが可能です。

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