【血が足りん!】補血・活血の生薬を徹底解説!

補血と活血の作用を持つ生薬について、詳細に解説いたします。それぞれの生薬がどのような特徴を持ち、どのような症状や体質に適しているかを掘り下げて説明します。


1. 阿膠(あきょう)

  • 効果:補血、活血、止血

  • 特徴と成分:阿膠は古来より補血・活血の効能で知られ、ロバの皮から作られる生薬です。漢方では「ニカワ」として扱われ、特に血を補う作用が強力で、出血の予防や血の循環を助ける効果が期待されます。阿膠の主成分はコラーゲンですが、近年価格が高騰しているため、漢方メーカーによっては他のコラーゲンで代用していることもあります。

  • 応用:阿膠は血虚や貧血症状、冷え性、月経不順の改善に多く用いられます。血が不足しがちな人や体温が低い人に適しており、慢性的な血液不足に対処する効果が期待されます。止血効果もあり、外傷や鼻血、月経過多にも使われることが多いです。

  • 注意点:阿膠は高価であり、信頼できるメーカーを選ぶことが重要です。
    質の低いコラーゲンは阿膠の本来の効果を発揮しないことがあるため、伝統的な製法にこだわった製品を選ぶことが望ましいです。
    ※ちなみに私は信頼できるメーカーの選定はできませんので、生薬問屋さんや漢方薬局での相談をお勧めします。イスクラの婦宝当帰膠に入っています。ロバのにかわというと引かれてしまうので聞かれたら答えるのが吉かも。

2. 当帰(とうき)

  • 効果:補血、活血

  • 特徴と成分:当帰はセリ科の植物の根で、漢方において「女性の生薬」として有名です。当帰は補血作用とともに血流を促進する活血作用を持つため、血の不足や滞りに幅広く対応します。特に女性にとっては、冷え性や月経の悩み、産後の体調回復などに使われることが多いです。

  • 応用:当帰は女性の健康に多大な影響を与える生薬であり、月経痛や不規則な月経周期の改善に効果的です。また、産後の体力回復や、貧血の予防にも役立ちます。当帰は血流を良くし、冷え性の改善に効果があるため、冷えによる倦怠感やむくみにも効果が期待されます。

  • 注意点:当帰は女性の健康に非常に良い影響を与えますが、体質によっては過度な活血作用により症状が悪化する場合もあるため、用量や使用方法に注意が必要です。
    ※胃腸の弱い人は使用に不適切な場合もあります。奈良の大和当帰が有名ですが、当帰だけ摂取していればよいというわけではありません。

3. 枸杞子(くこし)

  • 効果:補肝腎、間接的な補血

  • 特徴と成分:枸杞子はナス科の植物の実で、赤い色が特徴です。肝と腎を補う作用があり、特に視力改善や肝腎を養うために用いられます。枸杞子は直接的な補血ではなく、肝と腎の働きを整えることで間接的に血の生成を助けます。赤い色素が含まれており、造血や抗酸化作用が期待されることからも、血虚の予防に適しています。

  • 応用:視力が衰えがちな人、年齢と共に腎が弱りがちな人に適しています。血虚によって疲労感や視力低下が起こっている場合、枸杞子は効果的です。また、抗酸化作用があるため、美容やエイジングケアにも使われ、滋養強壮に役立つ食品やお茶にも含まれることが多いです。

  • 注意点:枸杞子は食用にも適していますが、過剰摂取は肝腎に負担をかける可能性があるため、適量を守ることが重要です。
    ※クコの実は美味しいですが、結構甘いので食べ過ぎると脾胃に負荷をかけることもあります。

4. 地黄(じおう)

  • 効果:補血、止血、涼血

  • 特徴と成分:地黄はゴマノハグサ科の植物で、血を補い、血熱を冷ます涼血作用も持ちます。地黄は熱を帯びた血(血熱)を冷やす働きがあるため、血の滞りや熱を持った状態(湿熱)に有効です。地黄はまた止血作用もあり、血液が固まりやすくなることで、過剰な出血を防ぎます。

  • 応用:地黄は貧血や血虚の改善のほか、血熱が関係する病状に用いられます。湿熱により血液が滞りがちな場合や、血流が悪化している場合に効果があります。特に、血の滞りが原因で発熱や炎症を引き起こしている時には涼血作用が効果を発揮し、症状を和らげると考えられます。

  • 注意点:地黄の使用には注意が必要で、体質によっては冷えを引き起こすことがあります。また、湿熱が進行しすぎている場合は、症状を悪化させる恐れがあるため、慎重に使用することが望ましいです。
    ※胃腸の弱い人は使用に不適切な場合もあります。

5. 紫根(しこん)

  • 効果:活血

  • 特徴と成分:紫根はムラサキ科の植物で、紫色の色素を持つことから活血作用が強いとされています。特に皮膚や血行に関する効果が期待され、「紫雲膏(しうんこう)」などの外用薬に配合されることが多いです。皮膚の炎症を鎮め、血流を改善することで、瘀血や血虚の症状を和らげます。

  • 応用:紫根は皮膚の血流が悪く、湿疹や炎症が出やすい場合に適しており、また、冷えや血行不良からくる肩こりなどにも有効です。紫雲膏として外用されることが多く、皮膚の炎症や傷の治癒促進にも効果を発揮します。

  • 注意点:紫根は主に外用薬として使われますが、肌が弱い場合やアレルギー体質の人は、使用前に少量で試してから使うことが推奨されます。

6. 芍薬(しゃくやく)

  • 効果:補血(白芍)、活血(赤芍)

  • 特徴と成分:芍薬には、白芍と赤芍の2種類があり、白芍は補血、赤芍は活血の効果が強いとされています。白芍は貧血の改善や肌の潤いを保つのに適し、赤芍は血行を改善して血の滞りを和らげます。両者とも血を調整する力を持つため、症状に応じて選ばれることが多いです。

  • 応用:白芍は補血作用が強いため、乾燥肌や貧血、冷え性の改善に効果的です。一方、赤芍は血行不良からくる筋肉の痛みやこり、頭痛などの症状に適しています。いずれも血の巡りを整え、血虚の改善に用いられます。

  • 注意点:芍薬は胃腸に負担がかかりやすいため、摂取量を守ることが重要です。また、胃腸が弱い人には白芍を用いることが推奨されることが多いです。

7. 川芎(せんきゅう)

  • 効果:活血

  • 特徴と成分:川芎はセリ科の植物で、特に活血作用が強力で、血行を促進し、頭痛や肩こりの改善に役立ちます。川芎は「気血を巡らせる」として、滞っている血や気を流す効果があるため、血瘀(けつお)の症状改善に多用されます。

  • 応用:川芎は頭痛や肩こり、冷えによる血行不良、女性の月経痛など、気血の滞りが原因で起こる不調に効果を発揮します。当帰と組み合わせて使われることが多く、血の巡りを整えて活力を高めるのに適しています。

  • 注意点:川芎は強力な活血作用があるため、出血が多い状態や、血が巡りすぎているときには控えることが望ましいです。
    ※川芎茶調散(頂調顆粒)という漢方薬に使用されています。この漢方薬は緑茶で飲みます(日本茶インストラクター正答率0.1%予想)

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