【腎と肺にアプローチ】味麦地黄丸(みばくじおうがん)はほぼ六味丸+生脈散!
味麦地黄丸(みばくじおうがん)は、加齢による体の潤い不足に対応する漢方薬で、特に腎と肺の陰虚に対して効果的です。以下、各生薬の役割や、味麦地黄丸がどのように作用していくのかについて詳しく説明します。
味麦地黄丸の構成と作用
この処方は、もともと腎の陰虚に対する「六味丸(ろくみがん)」を基礎としており、それに「生脈散(しょうみゃくさん)」の構成要素を加えることで、肺と腎の両方の陰虚に対応できるようになっています。六味丸が腎を中心に陰を補うのに対し、生脈散が肺の陰を補い、体の潤いをさらに支えます。
主な生薬の働き
麦門冬(ばくもんどう) – 潤肺作用
麦門冬は、肺の陰を補う働きが強く、体の潤いを保つ役割があります。これにより、空咳や乾燥した喉、皮膚の乾燥など、肺の陰虚による症状を和らげます。特に、乾燥した空気や加齢によって肺の潤いが不足しがちな方に適しています。
五味子(ごみし) – 収斂作用
五味子は、体の内部にある水分を閉じ込めて逃がさないようにする「収斂作用」を持っています。これは特に、汗や体液の過剰な流出を防ぎ、体の潤いを保持するために役立ちます。陰虚の方は体内の潤いが失われやすく、五味子がそれを防ぐため、加齢による乾燥や陰虚が進行している方に良い効果を発揮します。
地黄(じおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬(さんやく) – 補腎益精(ほじんえきせい)作用
これらの生薬は腎を補い、精(生命エネルギー)を養います。腎は体全体の潤いを蓄える「陰」の中心であり、腎の陰が不足すると、体の潤いが減少し、肌の乾燥や便秘、関節の硬さ、慢性的な疲労などが現れやすくなります。
※腎と精の関係については中医基礎理論と中医診断学で解説します。特に加齢に伴って腎陰が不足するため、これらの生薬が腎の陰を補うことで、体全体に潤いを与え、エネルギーを蓄えます。
牡丹皮(ぼたんぴ)、沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう) – 清虚熱作用、利水作用
牡丹皮と沢瀉は清虚熱作用を持ち、陰虚により発生する「虚熱」を冷ます働きがあります。虚熱とは、陰が不足して体内に余分な熱がこもり、ほてりや微熱、寝汗などを引き起こす状態です。
茯苓と沢瀉には利水作用があり、体内の余分な水分を排出し、むくみの軽減や水分代謝の改善をサポートします。特に陰虚と水分滞りが同時に発生している場合に、清熱と利水を同時に行うことで、身体のバランスを整えます。
味麦地黄丸の効果と適応症状
味麦地黄丸は、加齢による腎の陰虚に加え、肺の陰虚も併発しているケースで用いられます。加齢に伴う乾燥やエネルギー不足を改善し、体全体の潤いと活力を保つ効果があります。次のような症状に対して特に有効です。
空咳:潤い不足により、乾いた咳が出やすくなります。麦門冬と五味子が肺の潤いを補い、空咳を和らげます。
皮膚の乾燥:特に加齢により皮膚が乾燥しやすくなる人に効果的です。地黄や山茱萸が腎の陰を補うことで、皮膚の潤いを取り戻します。
呼吸困難:肺と腎の陰虚が進むと、息切れや呼吸が浅くなることがあります。麦門冬の潤い作用が肺を助け、呼吸を楽にします。
虚熱症状:陰虚によって体に余分な熱がこもると、ほてりや微熱、寝汗などが現れます。牡丹皮と沢瀉がこの虚熱を冷まし、体をリフレッシュさせます。
味麦地黄丸の利用方法と組み合わせ
この漢方薬は、加齢による肺と腎の両方に陰虚が見られる場合に非常に適しており、皮膚や呼吸器の乾燥が気になる方に幅広く利用されます。
加齢による陰虚が顕著でない場合
腎陰虚だけが顕著であれば「六味丸」、肺陰虚のみが顕著な場合は「生脈散」だけで対応することもあります。
※薬の数が少ない(生薬が少ない)ほど体に対しては切れ味が上がる。
六味丸と生脈散の併用
味麦地黄丸が手に入りにくい場合、六味丸と生脈散を組み合わせて使用することで、同じような効果を期待できます。
※六味丸=地黄+山茱萸+山薬+牡丹皮+沢瀉+茯苓
生脈散=人参+五味子+麦門冬 ※(人参が余計に入っている)
何とか地⻩丸は六味丸ベースになっている率が高いのでそこからアプローチします。