【夏の体調不良の食事と対策】食養生薬膳
今回は夏の体調不調やトラブルについての対策について解説していきます。
1. 夏の心のトラブル
夏は五行説において「火」に対応する季節であり、この火は心に関連しています。心は感情や精神の活動に深く関わる臓器であり、夏はそのエネルギーが高まり、心の不調が現れやすいです。具体的な症状としては以下のようなものがあります:
ほてり:体内の火が強くなることで、体温が上昇しやすく、特に顔や上半身が熱く感じます。
動悸や寝付きが悪い:心の火が乱れると、安眠を妨げることが多く、興奮や不安感から夜間の眠りが浅くなります。
顔面紅潮、舌が赤い:心の熱が顔に現れ、舌にも炎症が現れることがあります。舌が赤く、白苔が少ないのは熱が体内にこもっている証拠です。
口内炎:心火が上がることで、口腔内に熱が溜まりやすく、口内炎や舌の痛みが発生します。
これらの症状は、夏の暑さや湿気により心の火が過剰になり、精神的にも不安定になりやすいことが原因です。
※特に昨今は熱中症がかなり多いので、危険だと思ったらすぐに休憩しましょう。
2. 夏に見られる不調
夏は「湿熱」が体内にたまりやすい時期です。湿気と熱が組み合わさることで、以下のような体調不良が現れます:
胸苦しさ、下痢、嘔吐:湿熱が内臓に影響を与え、胃腸の機能を低下させることがあります。特に湿気は消化を悪くし、下痢や胃腸風邪を引き起こす原因になります。
ニキビ、吹き出物、汗疹:湿気が皮膚に影響を与え、皮脂腺が過剰に分泌され、ニキビや吹き出物が発生します。また、湿疹や汗疹も多く見られます。
膀胱炎、発熱:湿熱が体内にこもることで、炎症を引き起こしやすく、特に尿路感染症や発熱を引き起こします。
イライラ、体のだるさ、食欲低下、不眠:湿熱の影響で、気の流れが悪くなり、体が重く感じられ、イライラや食欲不振、そして睡眠障害が引き起こされることがあります。
3. クーラー病と冷たいものの影響
現代の冷房は非常に低温で設定されており、これが体に冷えを引き起こすことがよくあります。昔は井戸水や清流で冷やした食材程度だった冷たいものも、現在では冷蔵庫で氷のように冷やした飲み物が日常的に消費されています。これが、胃腸を冷やして消化機能を低下させる原因になります。
冷房や冷たい食べ物・飲み物は、胃腸の「脾」を傷めるため、消化不良や体調不良を引き起こしやすいです。特に、クーラーの効いた室内と外の暑さの差が大きいと、体が温度差に対応できず、冷えを感じにくい人でも体内に冷えが蓄積されます。
4. 冷えの見抜き方
冷えは自覚しにくい場合が多いですが、実際には体内に冷えが蓄積されることがあります。特に、冷たい飲み物や食事、冷房によって内臓が冷えると、血流が悪化し、エネルギーの流れが滞ることになります。冷えを見抜くためには、以下の点に注意することが重要です:
触診:お腹や足など、普段あまり冷えを感じない部位を触ってみると、実際には冷たくなっていることがあります。自分では気づきにくい冷えを、他人の手や専門家の手で確認することが有効です。
体調の変化:冷えが溜まると、消化不良やエネルギー不足、慢性的なだるさ、倦怠感などが現れます。これらは冷えが原因となっている場合が多いです。
5. 冷えから体を守る方法
夏の冷えを防ぐためには、以下の方法が効果的です:
冷房の温度設定を適切に保つ:冷房は温度が低すぎないように設定し、体が冷え過ぎないようにしましょう。また、外気温との温度差が大きくならないように心掛けます。
冷たい食べ物や飲み物を避ける:冷たい飲み物やアイスクリームなどは控え、常温や温かい飲み物を選びましょう。特に、胃腸の冷えは消化機能を低下させ、体調不良を引き起こします。
足元やお腹を温める:冷えやすい部位である足元やお腹を温めることで、体の冷えを防ぐことができます。軽く温かい服装や靴下を活用し、体を冷やさないように気をつけます。
適度な運動:軽い運動やストレッチをすることで、血流が促進され、冷えが解消されます。
このように、夏は湿熱が体内にたまりやすく、心と体のバランスを保つためには冷えから守ることが非常に大切です。また、冷房や冷たい食べ物が体を冷やす原因となりやすいため、注意深く生活を調整することが健康を保つための鍵となります。