【暑さは天敵 六淫の暑邪】中医基礎理論

今回は暑いときに発生する六淫の暑邪について解説していきます。毎年毎年唸るような暑さが更新されていますので、今回これについて対策を練っていきます。

暑邪の詳細解説

1. 季節性

  • 暑邪は夏に特有の外邪であり、主に夏至(6月下旬)から立秋(8月上旬)に見られます。
    これは夏の高温多湿な環境が原因となります。
    時に9月や10月の初めにも症状が見られることがありますが、これは気温や湿度の条件に影響されます。

  • 自然界の変化: 夏の後半、特にお盆の頃(8月中旬)を境に湿気の性質が徐々に減り、乾燥が目立ち始めるため、症状が軽減することもあります。

2. 特徴

暑邪には以下の主要な性質があります。

(1) 陽邪と炎熱の性質

  • 暑邪は陽性で、体を熱くさせる特徴があります。

  • 体内に侵入すると、気血や津液を消耗し、以下の症状を引き起こします。

    • 発熱: 高熱や微熱が続く。

    • 発汗過多: 大量の汗が出て、体内の水分が失われます。

    • 口渇: 水分が不足している状態を示します。

    • 顔のほてり: 熱が体内で上昇するため、顔が赤くなったり熱を感じたりします。

(2) 津液の消耗と気の消耗

  • 暑邪は発汗を促し、津液(体液)を大量に消耗します。

    • 津液の消耗: 汗、排泄物、唾液などを通じて体内から失われる。

    • 気の漏れ: 津液とともに気も失われ、エネルギー不足を引き起こします。

  • 結果として、以下の症状が現れます。

    • 倦怠感

    • 体力の低下

    • 脱水症状

(3) 昇散の性質

  • 陽邪のため、熱が上昇する傾向があります。

    • 頭部や顔に熱がこもることで、頭痛や目の充血が起こることがあります。

    • のぼせやふらつきといった症状も伴うことがあります。

(4) 湿を挟む

  • 夏の気候は湿度が高いため、暑邪には湿邪が伴うことが多いです。

    • 湿邪が加わることで、以下の症状が引き起こされます。

      • 体が重くだるい。

      • むくみ。

      • 消化不良や食欲不振。

3. 気血津液の関係

  • 津液が傷つくと:

    • 津液(体液)は血液や気(エネルギー)の基盤でもあるため、津液の減少が血液の不足や気の不足を招きます。

    • 具体的には、津液が乾燥すると血流が滞り、臓腑の働きが低下します。

  • 連鎖的な影響:

    1. 津液が不足 → 血の不足(血虚) → 気の不足(気虚)。

    2. 気虚はさらに汗を止められなくなり、症状が悪化する可能性があります。

4. 具体的な症状

(1) 炎熱による症状

  • 高熱、口渇、のぼせ、発汗過多、頭痛、ほてり。

  • 汗を大量にかくことで、脱水症状が出現します。

(2) 湿邪を伴う症状

  • 重だるさ、むくみ、倦怠感。

  • 湿邪は体内の消化器系に影響を与え、以下の症状を引き起こします。

    • 食欲不振

    • 消化不良

    • 便がゆるくなる(湿熱の場合は悪臭を伴うこともある)。

5. 暑邪の養生法

(1) 水分補給

  • こまめな水分補給で津液を保ちます。

    • 冷たいものは控えめにし、体温に近い飲み物を飲むことが理想的です。
      ※冷たいものを飲むと脾胃を弱らせます。でもこれが辞められないからこまっちゃうのも事実。

(2) 気を補う

  • 消耗したエネルギー(気)を補うために、栄養価の高い食事を摂取します。

    • 夏野菜(きゅうり、トマト、スイカなど)や滋養強壮の食材(鶏肉や豆腐)が有効です。

(3) 湿を取り除く

  • 湿邪の対策として、利尿作用のある食品(とうもろこしのひげ茶、はとむぎなど)を摂るのが良いです。

(4) 外出時の注意

  • 強い日差しや高温多湿を避けるようにし、日陰や涼しい場所で過ごす。

  • 扇風機やエアコンで適度に湿度を調整する。

6. 暑邪の予防と治療

  • 漢方薬や中薬では、以下の方法が用いられます。

    • 清熱薬: 熱を冷ます薬(例: 石膏、知母)。

    • 祛湿薬: 湿邪を取り除く薬(例: 蒼朮、茯苓)。

    • 養陰薬: 津液を補う薬(例: 沙参、麦門冬)。

  • 鍼灸では、陽明経や少陰経の経穴を用いて、熱を下げ、津液を補います。

まとめ:
暑邪は陽性の邪気であり、体内の津液と気を消耗し、炎熱や湿邪の影響を同時に受けることが多いです。
養生や適切な治療で早めに対処することで、症状の悪化を防ぐことが重要です。

いいなと思ったら応援しよう!