【気は現実にある!】脾の前提知識③脾気虚(ひききょ)
脾については超重要なので、他の五藏に比べてもう少し詳細に解説していきたいと思います。今回は脾気虚証について。
脾気虚の概念
「脾気虚」は中医学の考え方で、「脾」に必要なエネルギー(気)が不足し、脾の機能が弱まった状態を指します。脾は消化・吸収を司り、気血の生成や全身のエネルギー循環に関わる重要な臓器です。脾気虚が起こると、体内の栄養供給や水分代謝に問題が生じ、全身のバランスが崩れます。
※ドラゴンボールの気、ハンターハンターの念、鬼滅の刃の呼吸 これら言っていることはすべて気(エネルギー)の概念です。
症状の詳細
食欲不振・空腹感の低下
脾気虚の人は食べたい気持ちが湧かず、満腹感や空腹感が感じにくくなります。食べても味が薄く感じられ、食事を楽しめないことが多いです。
食後の眠気
食後にエネルギーが消化に集中するため、脾気虚の人は食後に激しい眠気を感じます。脾の働きが弱いと、消化に多くのエネルギーが必要になるため、他の部分がエネルギー不足になり、疲労感が強くなります。
腹部の張り
消化不良により、腹部にガスが溜まったり、食後にお腹が張る感覚が続くことがあります。
便通障害
脾気虚の影響で腸の動きが弱くなり、便秘や下痢、あるいは交互に便通が乱れることがあります。特に便がコロコロした形状になったり、軟便になることがよく見られます。
疲労感・手足の重だるさ
エネルギー不足のため、常に疲れを感じ、手足が重く動きにくくなります。活動する気力が湧かず、日常生活のさまざまな場面でエネルギー不足を実感します。
声を出すのがおっくう
脾気虚の人は、声を出すのもエネルギーが必要で、声を張るのが難しく感じます。日常の会話や発声に力が入らず、話すのが億劫になることがあります。
体重や筋肉量の減少
消化吸収が不十分なため、必要な栄養が体に行き渡らず、体重が減ったり筋肉が衰えることがあります。筋トレをしても筋肉がつきにくく、体のコンディションが改善されにくいです。
脾気虚の原因
過労・ストレス
長時間の働きすぎや慢性的なストレスが脾に負担をかけ、エネルギーを消耗してしまいます。
不規則な食生活
冷たい食べ物や脂っこい食事、食べ過ぎ・食べなさすぎは脾の働きを乱し、消化不良を引き起こします。
遺伝的要因
生まれつき胃腸が弱い人も脾気虚になりやすいです。
加齢
年を重ねると消化吸収力が衰え、脾の機能も低下します。
脾気虚の改善方法
食事療法
温かい、消化に良い食べ物を中心に摂るのが大切です。例えば、温かいスープやおかゆ、蒸した野菜などが勧められます。
冷たい飲み物や生もの、消化に悪い脂っこいものは控えるべきです。
適度な運動
軽いストレッチや散歩など、体に負担をかけない運動を取り入れると、エネルギー循環が良くなります。激しい運動は逆効果なので、無理をしない範囲で行いましょう。
ストレスケア
リラックスする時間を作り、ストレスを発散することが大事です。例えば、瞑想や呼吸法、趣味に没頭することで心を落ち着かせましょう。
漢方薬
脾気虚に効果的な漢方薬には、以下のような処方があります:
四君子湯(しくんしとう): 脾を元気にしてエネルギーを補います。
六君子湯(りっくんしとう): 四君子湯に痰を除去する生薬を加えた処方で、胃腸の機能を改善します。
啓脾湯(けいひとう): 脾の働きをサポートし、消化吸収を助けます。
参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん): エネルギー不足を改善し、体力を回復させます。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう): 慢性的な疲労や倦怠感を改善し、全身のエネルギーを補います。
生活習慣のポイント
食べ過ぎないこと
適量の食事を心がけ、腹八分目に抑えることで脾への負担を減らします。
温める習慣
脾は冷えに弱いため、体を温める食事や温かい飲み物を取り入れましょう。冷たいものは避けて、内側から体を温めることが大切です。
リラックス
緊張やストレスが脾に負担をかけるので、気を抜ける時間を意識的に作りましょう。
脾気虚を改善するには、日常の食事や生活習慣を整えることが重要です。脾の働きが良くなると、体全体のエネルギーが巡り、より健康的な生活が送れるようになります。